オトギリソウ花/葉/茎エキスとは…成分効果と毒性を解説

色素沈着抑制 抗アレルギー 抗炎症
オトギリソウ花/葉/茎エキス
[化粧品成分表示名称]
・オトギリソウ花/葉/茎エキス

[医薬部外品表示名称]
・オトギリソウエキス

オトギリソウ科植物オトギリソウ(学名:Hypericum erectum)の花、葉および茎からエタノールBG、またはこれらの混液で抽出して得られる抽出物植物エキスです。

オトギリソウ(弟切草)は日本各地、朝鮮半島、中国などに分布し、日本や中国においては民間薬として広く知られています(文献1:2011)

オトギリソウ花/葉/茎エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
タンニン 詳細不明
ポリケタイド エモジン型アントラキノン ヒペリシン

これらの成分で構成されていることが報告されています(文献1:2011)

オトギリソウの全草の化粧品以外の主な用途としては、民間療法分野において主に切り傷や腫れ物の塗布薬や打ち身や捻挫の湿布薬として用いられています(文献1:2011;文献2:2016)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、シート&マスク製品、クレンジング製品、頭皮ケア製品などに使用されています。

メラニン生成抑制による色素沈着抑制作用

メラニン生成抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン色素生合成のメカニズムについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

メラニン生合成のメカニズム図

皮膚が紫外線に曝露されると、細胞や組織内では様々な活性酸素が発生するとともに、様々なメラノサイト活性化因子(情報伝達物質)がケラチノサイトから分泌され、これらが直接またはメラノサイト側で発現するメラノサイト活性化因子受容体を介して、メラノサイトの増殖やメラノサイトでのメラニン生合成を促進させることが知られています(文献3:2002;文献4:2016;文献5:2019)

また、メラノサイト内でのメラニン生合成は、メラニンを貯蔵する細胞小器官であるメラノソームで行われ、生合成経路としてはアミノ酸の一種かつ出発物質であるチロシンに酸化酵素であるチロシナーゼが働きかけることでドーパに変換され、さらにドーパにも働きかけることでドーパキノンへと変換されます(文献3:2002;文献5:2019)

ドーパキノンは、システイン存在下の経路では黄色-赤色のフェオメラニン(pheomelanin)へ、それ以外はチロシナーゼ関連タンパク質2(tyrosinaserelated protein-2:TRP-2)やチロシナーゼ関連タンパク質1(tyrosinaserelated protein-1:TRP-1)の働きかけにより茶褐色-黒色のユウメラニン(eumelanin)へと変換(酸化・重合)されることが明らかにされています(文献3:2002;文献5:2019)

そして、毎日生成されるメラニン色素は、メラノソーム内で増えていき、一定量に達すると樹枝状に伸びているデンドライト(メラノサイトの突起)を通して、周辺の表皮細胞に送り込まれ、ターンオーバーとともに皮膚表面に押し上げられ、最終的には角片とともに垢となって落屑(排泄)されるというサイクルを繰り返します(文献3:2002)

正常な皮膚においてはメラニンの排泄と生成のバランスが保持される一方で、紫外線の曝露、加齢、ホルモンバランスの乱れ、皮膚の炎症などによりメラニン色素の生成と排泄の代謝サイクルが崩れると、その結果としてメラニン色素が過剰に表皮内に蓄積されてしまい、色素沈着が起こることが知られています(文献3:2002)

このような背景から、紫外線による過剰なメラニンの生成を抑制することは色素沈着の抑制において重要なアプローチのひとつであると考えられています。

1997年にノエビアによって報告されたオトギリソウ花/葉/茎エキスのメラニンおよびヒト皮膚色素沈着に対する影響検証によると、

in vitro試験においてマウス由来メラノーマ細胞系に、終濃度2-50μg/mLとなるように1%オトギリソウ花/葉/茎エキス(50%エタノール抽出)溶液を添加し、3日間培養後に吸光度を測定しメラニン生成抑制率を算出したところ、以下の表のように、

オトギリソウ花/葉/茎エキスのメラニン生成抑制作用

オトギリソウ花/葉/茎エキスはメラニン生成抑制作用を示した。

次に、色素沈着の気になる80人の被検者のうち20人に0.5%オトギリソウ花/葉/茎エキス(50%エタノール抽出)を含む化粧水を、別の20人に対照として未配合化粧水を、また別の20人に0.5%オトギリソウ花/葉/茎エキス(70%エタノール抽出出)を含む乳液を、残りの20人に対照として未配合乳液をそれぞれ二重盲検法に基づいて6ヶ月にわたって顔面または手に塗布してもらった。

6ヶ月後に「改善」「やや改善」「変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 皮膚の色素沈着に対する評価
改善 やや改善 変化なし
オトギリソウ花/葉/茎エキス配合化粧水 20 20 0 0
オトギリソウ花/葉/茎エキス配合乳液 20 19 1 0
化粧水のみ(対照) 20 0 1 19
乳液のみ(対照) 20 0 1 19

0.5%オトギリソウ花/葉/茎エキス配合化粧水および乳液は、皮膚の色素沈着に対して改善効果を示した。

このような試験結果が明らかにされており(文献6:1997)、オトギリソウ花/葉/茎エキスにメラニン生成抑制による色素沈着抑制作用が認められています。

ヒスタミン遊離抑制およびヒアルロニダーゼ活性阻害による抗アレルギー作用

ヒスタミン遊離抑制およびヒアルロニダーゼ活性阻害による抗アレルギー作用に関しては、まず前提知識として皮膚におけるアレルギーの種類およびⅠ型アレルギー性皮膚炎のメカニズムについて解説します。

皮膚におけるアレルギー反応は、

種類 名称 抗体 抗原 皮膚反応 考えられる主な疾患
Ⅰ型 即時型
アナフィラキシー型
IgE 化粧品、薬剤、洗剤、ダニ、カビ、ハウスダスト、金属、花粉、ほか 15-20分で最大の発赤と膨疹 アナフィラキシーショック、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、ほか
Ⅳ型 遅延型
細胞性免疫
感作T細胞 細菌、真菌、自己抗原 24-72時間で最大の紅斑と硬結 アレルギー性接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ほか

主にこの2種類に分類されています(∗1)(文献7:2010;文献8:1968;文献9:1999)

∗1 アレルギーの分類としてはⅠ型-Ⅳ型まで4種類が存在し、Ⅰ型-Ⅲ型までの3種類が即時型に分類されていますが、皮膚に関連するものはⅠ型とⅣ型であることから、ここではⅠ型とⅣ型のみで構成しています。

Ⅰ型アレルギーは、即時型アレルギーまたはアナフィラキシー型とも呼ばれ、皮膚反応としては15-20分で最大に達する発赤・膨疹を特徴とする即時型皮膚反応を示しますが、このⅠ型アレルギー性炎症反応が起こるメカニズムは、以下のアレルギー性皮膚炎のメカニズム図をみてもらうとわかるように、

Ⅰ型アレルギー性皮膚炎のメカニズム

まず、アレルギーを起こす原因物質(抗原)が皮膚や粘膜から体内に侵入すると、抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞や真皮樹状細胞)がその抗原の一部を自らの細胞表面に提示し、次にヘルパーT細胞の一種であるTh2細胞が抗原提示細胞の提示した抗原情報を認識し、抗原と結合して抗炎症性サイトカインの一種であるIL-4(Interleukin-4)を分泌します(文献9:1999)

次に、Th2細胞から分泌されたIL-4によりB細胞が刺激を受けIgE抗体を産生し、このIgE抗体が肥満細胞の表面にある受容体に結合することによりIgE抗体と抗原が反応し、肥満細胞に貯蔵されていたケミカルメディエーターであるヒスタミンが放出(脱顆粒)され、同時に細胞膜からはアラキドン酸が遊離し、ケミカルメディエーターであるロイコトリエンやプロスタグランジンに代謝されます(文献9:1999)

そして、放出されたヒスタミンはヒアルロニダーゼを活性化し、アラキドン酸から代謝されたロイコトリエンやプロスタグランジンとともに血管透過性を亢進させて浮腫を起こし、好酸球など炎症細胞の遊走を誘導し、炎症を引き起こします(文献9:1999;文献10:2009)

このような背景から、アレルギー性皮膚炎や肌荒れなどバリア機能が低下している場合に、ヒスタミンの遊離やヒアルロニダーゼの活性を抑制することはアレルギー性炎症の抑制において重要であると考えられます。

1998年に一丸ファルコスによって報告されたオトギリソウ花/葉/茎エキスのヒスタミン、ヒアルロニダーゼおよびヒト皮膚における影響検証によると、

in vitro試験においてラット由来肥満細胞浮遊液1.2mLに固形分濃度0.01%,0.02%,0.1%および0.5%となるように調整したオトギリソウ花/葉/茎エキス水溶液0.2mLまたは対照として同濃度のグリチルリチン酸ジカリウム水溶液、ヒスタミン放出促進剤であるcompound48/80溶液を最終濃度1μg/mLとなるように加え、培養後に上澄から遊離したヒスタミンを抽出・精製し吸光度を測定しヒスタミン遊離抑制率を算出したところ、以下の表のように、

オトギリソウ花/葉/茎エキスのヒスタミン遊離抑制作用

オトギリソウ花/葉/茎エキスは、グリチルリチン酸ジカリウムと比較して非常に優れたヒスタミン遊離抑制作用を示した。

次に、in vitro試験において固形分濃度0.5%オトギリソウ花/葉/茎エキス水溶液または陽性対照として同濃度のグリチルリチン酸ジカリウム水溶液それぞれ0.1mLに、0.4mg/mL濃度のヒアルロニダーゼ溶液0.05mLを加え、その後にヒスタミン放出促進剤であるcompound48/80溶液を最終濃度0.1mg/mLとなるように加え、20分の放置後にさらに0.4mg/mL濃度のヒアルロン酸溶液0.25mLを加えて処理した後に吸光度を測定しヒアルロニダーゼ活性阻害率を算出したところ、以下の表のように、

オトギリソウ花/葉/茎エキスのヒアルロニダーゼ活性阻害作用

オトギリソウ花/葉/茎エキスは、抗アレルギー剤としてひろく知られているグリチルリチン酸ジカリウムには及ばないものの、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有することが確認された。

次に、湿疹やアトピー性皮膚炎で悩む20人(2-30歳)の被検者のうち10人に2%オトギリソウ花/葉/茎エキス(30%BG抽出)配合クリームを1日2回(朝晩)1ヶ月にわたって顔面に塗布してもらい、別の10人には対照としてオトギリソウ花/葉/茎エキス未配合クリームを同様に塗布してもらった。

また、頭皮や生え際に同様の皮膚炎症がみられる20人(2-10歳)の被検者のうち10人に2%オトギリソウ花/葉/茎エキス(30%BG抽出)配合ヘアトニックを洗髪後1ヶ月にわたって頭皮に塗布してもらい、別の10人には対照としてオトギリソウ花/葉/茎エキス未配合ヘアトニックを同様に塗布してもらった。

それぞれ1ヶ月後に「有効:湿疹などの症状にともなう赤みやかゆみ、肌荒れが改善された」「やや有効:湿疹などの症状にともなう赤みやかゆみ、肌荒れがやや改善された」「無効:使用前と変化なし」の3段階で評価したところ、以下の表のように、

試料 症例数 アトピー性皮膚炎・湿疹に対する評価
有効 やや有効 無効
オトギリソウ花/葉/茎エキス配合クリーム 10 7 3 0
クリームのみ(対照) 10 0 1 9
オトギリソウ花/葉/茎エキス配合ヘアトニック 10 6 3 1
ヘアトニックのみ(対照) 10 0 2 8

2%オトギリソウ花/葉/茎エキス配合クリームおよびヘアトニックは、皮膚・頭皮の炎症などの改善に対して良好な効果が確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献11:1997)、オトギリソウ花/葉/茎エキスにヒスタミン遊離抑制およびヒアルロニダーゼ活性阻害による抗アレルギー作用が認められています。

リパーゼ阻害による抗炎症作用

リパーゼ阻害による抗炎症作用に関しては、まず前提知識として皮膚常在菌、アクネ菌およびリパーゼについて解説します。

皮膚表面および皮脂腺開口部には多数の微生物が存在しており、その中でも健康なヒトの皮膚に高頻度で検出される病原菌をもたない微生物を皮膚常在菌と呼んでいます(文献12:1986;文献13:1994)

健常な皮膚表面およびの主な皮膚常在菌の種類としては、20-69歳までの健常女性84人の頬より菌を採取し分離同定したところ、以下の表のように(∗2)

∗2 好気性とは、酸素を利用した代謝機構を備えていること、嫌気性とは増殖に酸素を必要としない性質のことです。

分類 名称 性質 検出率(%)
グラム陽性桿菌 アクネ菌(cutibacterium acnes) 嫌気性 100.0
グラム陽性球菌 表皮ブドウ球菌(staphylococcus epidermidis) 好気性 79.1
グラム陽性細菌 ミクロコッカス属(micrococcus) 好気性 41.2
グラム陽性球菌 黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus) 好気性 8.7
グラム陽性細菌 枯草菌(bacillus subtilis) 好気性 6.1

すべての人からアクネ菌が検出され、次いで表皮ブドウ球菌が79.1%の人から検出されたことから、これらが主要な皮膚常在菌であると考えられます(文献13:1994)

皮膚常在菌の平均的な菌数については、被検者の頬1c㎡あたりの平均菌数を検討したところ、以下のグラフのように、

健常皮膚における皮膚常在菌の平均数

最も多く検出されたのはアクネ菌、次いで表皮ブドウ球菌であり(文献13:1994)、この試験結果は従来の試験データ(文献12:1986)とも同様であることから、一般に健常な皮膚状態かつこれらの皮膚常在菌が存在する場合はこれらの皮膚常在菌が大部分を占めていると考えられます。

皮膚常在菌は、皮膚上の皮表脂質(∗3)やアミノ酸などを生育のための栄養源とし、1000種もの菌がお互いに競合と調和関係を構築しながら安定した叢(フローラ)を形成することで、通常は病原性を示すことなく、むしろ外部からの病原菌の侵入を防ぐ一種のバリア機能を発揮していると考えられています(文献12:1986;文献14:2018)

∗3 皮表脂質とは、皮脂腺から分泌される皮脂と表皮細胞由来の脂質であるコレステロール類が皮膚表面で混合したものをいいます。

アクネ菌は嫌気性菌であり、酸素のある環境ではほとんど増殖できないため、毛穴や皮脂腺に存在しており、皮脂分解酵素であるリパーゼ(lipase)を産生・分泌し、皮表脂質の構成成分であるトリグリセリドを脂肪酸とグリセリンに分解することによって皮膚を弱酸性に保ち、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)など病原性の強い細菌の増殖を抑制する役割を担っています(文献15:2011)

一方で、以下のニキビ(尋常性ざ瘡)(∗4)の種類・重症度図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

∗4 ざ瘡とは、毛を包んでいる毛包と呼ばれる細長い管に生じる様々な炎症を伴った症状の総称であり、尋常性ざ瘡とはニキビの学術的な名称であり、いろいろなざ瘡の中で最も一般的な標準型という意味です(文献16:2002)。

ニキビの種類・重症度

様々な要因から皮脂の分泌量が過剰に増えることにより、毛穴開口部の角層が硬くなって毛穴を塞ぐことや角質細胞と脂質の混合物が毛穴に詰まり狭められて皮脂が溜まることなど、酸素が少なく栄養が多いアクネ菌にとって理想的な環境となった場合に、アクネ菌が過剰に増殖することが知られています。

アクネ菌が増殖するメカニズムとしては、アクネ菌がリパーゼを分泌しトリグリセリドを分解することによって生じる脂肪酸の一種であるオレイン酸が毛穴開口部の角層を硬くし、アクネ菌の生育を促進することから(文献17:1970)、アクネ菌がリパーゼを分泌することでオレイン酸を産生し、閉塞環境を強化しながら増殖していくというものになります(文献13:1994)

アクネ菌は、過剰に増殖しなければニキビの原因菌になりませんが、皮脂の分泌量が増えて何かの理由で毛穴が塞がり過剰に増殖すると、増殖したアクネ菌の数に比例して分泌されるリパーゼによって産生された過剰な脂肪酸や増殖した菌体の成分が毛穴に炎症を引き起こすことから(文献18:1970;文献19:1980;文献20:1972)、ニキビの発生から悪化の要因であると考えられています。

このような背景から、皮膚常在菌がバランスした健常な皮膚状態であればアクネ菌の存在は問題ではありませんが、毛穴開口部の閉塞などによりアクネ菌が増殖し皮膚常在菌バランスが崩れた場合において、過剰に増殖したアクネ菌が分泌するリパーゼを阻害することは、毛穴の炎症の抑制、ひいてはニキビの発生・悪化の抑制にとって重要なアプローチのひとつであると考えられます。

2003年に一丸ファルコスによって報告されたオトギリソウ花/葉/茎エキスのリパーゼおよびニキビ・湿疹・肌荒れにおける影響検証によると、

in vitro試験において固形分濃度0.5%オトギリソウ花/葉/茎エキス溶液(50%エタノール抽出)40%、0.2unitsリパーゼ溶液50%および精製水10%の混合液を検体とし、また対照としてオトギリソウ花/葉/茎エキス溶液の代わりに50%エタノール溶液を用いてそれぞれリパーゼキットSの試験法に従い試験を実施した。

対照を100%と設定しリパーゼ活性阻害率を算出したところ、以下のグラフのように、

オトギリソウ花/葉/茎エキスのリパーゼ阻害作用

オトギリソウ花/葉/茎エキスはリパーゼ活性阻害作用を有することが確認された。

次に、ニキビ、湿疹、肌荒れに悩む20人の女性被検者(20-40歳)のうち10人に5%オトギリソウ花/葉/茎エキス(50%エタノール抽出)配合乳液を1日2回(朝晩)3ヶ月にわたって洗浄後の顔面に塗布してもらい、別の10人には対照としてオトギリソウ花/葉/茎エキス未配合乳液を同様に塗布してもらった。

3ヶ月後に「有効:ニキビ、湿疹、肌荒れが改善された」「やや有効:ニキビ、湿疹、肌荒れがやや改善された」「無効:使用前と変化なし」の判定基準で評価したところ、以下の表のように、

試料 被検者数 ニキビ・湿疹・肌荒れに対する評価
有効 やや有効 無効
オトギリソウ花/葉/茎エキス配合乳液 10 2 8 0
乳液のみ(対照) 10 0 0 10

5%オトギリソウ花/葉/茎エキス配合乳液の塗布により、ニキビ、湿疹、肌荒れが改善することが確認された。

このような試験結果が明らかにされており(文献21:2003)、オトギリソウ花/葉/茎エキスにリパーゼ阻害による抗炎症作用が認められています。

オトギリソウ花/葉/茎エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

オトギリソウ花/葉/茎エキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

一丸ファルコスの安全性試験データ(文献11:1997;文献21:2003)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの剪毛した皮膚に乾燥固形分濃度20%オトギリソウ花/葉/茎エキス水溶液0.03mLを塗布し、塗布24,48および72時間後に紅斑および浮腫を指標として一次刺激性を評価したところ、いずれのウサギも紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚一次刺激性に関して問題がないものと判断された
  • [動物試験] 3匹のウサギの剪毛した背部に乾燥固形分濃度1%オトギリソウ花/葉/茎エキス水溶液を塗布し、塗布24,48および72時間後に紅斑および浮腫を指標として一次刺激性を評価したところ、いずれのウサギも紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚一次刺激性に関して問題がないものと判断された
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した側腹部に乾燥固形分濃度20%オトギリソウ花/葉/茎エキス水溶液0.5mLを1日1回週5回、2週にわたって塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日に紅斑および浮腫を指標として皮膚刺激性を評価したところ、いずれのモルモットも2週間にわたって紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚累積刺激性に関して問題がないものと判断された
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剪毛した側腹部に乾燥固形分濃度1%オトギリソウ花/葉/茎エキス水溶液0.5mLを1日1回週5回、2週にわたって塗布し、各塗布日および最終塗布日の翌日に紅斑および浮腫を指標として皮膚刺激性を評価したところ、いずれのモルモットも2週間にわたって紅斑および浮腫を認めず、この試験物質は皮膚累積刺激性に関して問題がないものと判断された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

オトギリソウ花/葉/茎エキスは美白成分、抗アレルギー・抗炎症成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 抗アレルギー・抗炎症成分

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参考文献:

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