リン酸アスコルビルMgとは…成分効果と毒性を解説

美白成分 抗酸化成分 抗シワ成分
リン酸アスコルビルMg
[化粧品成分表示名称]
・リン酸アスコルビルMg

[医薬部外品表示名称]
・リン酸L-アスコルビルマグネシウム

[慣用名]
・アスコルビルリン酸Mg、MAP、ビタミンC誘導体

アスコルビン酸(ビタミンC)にリン酸とマグネシウムを結合させて水溶性と安定性を高めた医薬部外品商品の安定型ビタミンC誘導体のひとつです。

効果の似たビタミンC誘導体としてアスコルビルリン酸Naがあり、効果は類似していますが、アスコルビルリン酸Naは水溶性をさらに高めているため水溶性基剤に最適で、リン酸アスコルビルMgは安定性が高く、長時間ジワジワ効果を発揮します。

ビタミンCは単体では壊れやすくて肌に浸透しにくいため、ビタミンC誘導体にすることで肌に浸透しやすく長時間皮膚にとどまることができるようになります。

リン酸アスコルビルMgは水溶性ビタミンC誘導体のひとつで、肌に浸透しやすいMg(マグネシウム)というミネラル部分を結合することで、角質層の基底層近くまで浸透しやすく、ビタミンCと比べて約8倍の量が皮膚に取り込まれます。

また、ビタミンCそのものは、自分が酸化することで他の酸化を防止するため、周りに酸素があると作用が半減してしまいますが、リン酸アスコルビルMgのようにリン酸やMgがあると安定するようになり、皮膚の角質層にとどまることができるようになり、その持続時間は12時間以上になります。

リン酸アスコルビルMgのはたらきは、メラニン色素の生成を抑制してシミやソバカスを防ぐことと強い抗酸化力による抗シワや抗老化作用、コラーゲンの産生を促進する作用や過酸化脂質抑制作用などがあります。

開発元の日光ケミカルズの1996年の色素沈着に関する試験結果によると、

  • [ヒト試験] そばかす、肝斑、老人性色素斑、太田母斑、または健康な皮膚を有する34人の患者の皮膚に10%リン酸アスコルビルMgを含むクリームを1日2回塗布し(期間は不明)、色素沈着の軽減の有効性を色差計によって判断したところ、34人のうち19人で効果的またはかなり効果的であった
  • [ヒト試験] 25人の患者の健康な皮膚に10%リン酸アスコルビルMgを含むクリームを適用(期間は不明)したところ、有効1例、かなり有効2例、わずかな効果8例、効果がない12例、褐色化2例であった

と記載されています(文献1:2005)

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

リン酸アスコルビルMgの配合製品数と配合量の調査結果(2000-2001年)

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リン酸アスコルビルMgの安全性(刺激性・アレルギー)について

リン酸アスコルビルMgの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性は無刺激または軽度の眼刺激が起こる可能性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)も陰性であるため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

開発元の日光ケミカルズの安全データシート(文献2:2018)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に10%リン酸アスコルビルMgを含む精製水を24時間閉塞パッチ適用したところ、皮膚反応はなく、安全品だと考えられた
  • [動物試験] ウサギにリン酸アスコルビルMg0.5gを4時間半閉塞パッチ適用したところ、刺激はなかった

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚刺激性なしと記載されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

開発元の日光ケミカルズの安全データシート(文献2:2018)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に100%リン酸アスコルビルMgを点眼し、非洗眼で評価したところ、軽度の眼刺激性が認められた
  • [in vitro試験] 三次元組織ヒト角膜上皮組織に10%リン酸アスコルビルMgを含む精製水を添加し、30分間曝露した後、皮膚モデルを洗浄し、PBS(-)に30分浸漬し、MTTアッセイを用いて細胞生存率を測定(HCE法)したところ、無刺激に分類された

と記載されています。

試験結果では、無刺激または軽度の刺激の記載があるため、眼刺激性は無刺激または軽度の眼刺激性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

開発元の日光ケミカルズの安全データシート(文献2:2018)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いて10,25,50%リン酸アスコルビルMg0.5mLの皮膚感作性を評価したところ、皮膚反応は認められなかった
  • [in vitro試験] リン酸アスコルビルMgを最大5,000μg/mL曝露24時間後に、ヒト単球性白血病細胞株のTHP-1細胞の細胞表面マーカー発現の変化をOECD442Eテストガイドラインに従って定量(h-CLAT法)したところ、陰性であった

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚感反応が認められなかった(陰性であった)ため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
リン酸アスコルビルMg 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、リン酸アスコルビルMgは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

リン酸アスコルビルMgは美白成分と抗シワ(抗老化)成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 抗シワ(抗老化)成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2005)「Final Report of the Safety Assessment of L-Ascorbic Acid, Calcium Ascorbate, Magnesium Ascorbate, Magnesium Ascorbyl Phosphate, Sodium Ascorbate, and Sodium Ascorbyl Phosphate as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/> 2018年1月25日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2018)「安全性データシート NIKKOL VC-PMG」, <https://www.chemical-navi.com/product_search/detail5.html> 2018年1月25日アクセス.

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