リノール酸とは…成分効果と毒性を解説

美白成分 エモリエント成分
リノール酸
[化粧品成分表示名称]
・リノール酸

[医薬部外品表示名称]
・リノール酸

サフラワー油ヒマワリ油などにトリグリセリドとして多く存在する不飽和脂肪酸です。

必須脂肪酸のひとつですが、不飽和脂肪酸のため酸化しやすい性質を有しており、酸化しにくくした誘導体として使用するか単体で使用する場合はトコフェロールなどの酸化防止剤と一緒に使用されます。

化粧品としての作用は、角質細胞間脂質の主成分であるセラミドの構成成分であり、角層から水分が蒸発することを防ぎ肌を柔軟にするエモリエント効果、チロシナーゼタンパクの分解を促進し、色素沈着の淡色化(シミを薄くする)作用と皮膚のターンオーバーを促進する作用が認められています(文献1:1993,文献2:2004)

1993年にサンスター株式会社、神戸大学医学部皮膚科学教室、三嶋皮膚科学研究所によって報告された試験によると、培養ヒト正常メラノサイトを用いたリノール酸におけるメラニン量およびチロシナーゼ活性の減少率の試験では、

ヒト正常メラノサイトを6日間培養後に細胞数をカウントし、また細胞が最も増殖した培養液に6.24μM-25μMのリノール酸を添加し、6日の培養後にメラニン量およびチロシナーゼ活性を測定したところ、

培養ヒト正常メラノサイトを用いたリノール酸添加におけるメラニン量およびチロシナーゼ活性の減少率

上記グラフのように、濃度依存的なメラニン量およびチロシナーゼ活性の減少が認められ、25μMのリノール酸で6日間処理したヒトメラノサイトのメラニン量は処理前と比べて60%に減少し、チロシナーゼ活性は処理前の63%に低下した。

なお、細胞増殖には影響は認められなかった。

ただし、この作用はヒトメラノサイトが活発に増殖する培養条件において発現した現象であり、通常メラノサイトが皮膚の中で増殖することがほとんどないことを考えると、正常な状態で評価されているとはいいがたい。

このように報告されており(文献1:1993)、またモルモットを用いたリノール酸における色素沈着の淡色化測定では、

UVB照射により茶色モルモットの背部皮膚に形成された色素沈着部位に1%リノール酸エタノール溶液を4週間累積塗布したところ、肉眼的に明らかな色素沈着の淡色化が認められた。

なお、試験期間中に紅斑などの皮膚炎症症状は認められなかった。

色彩色差計の測定による色素沈着部位のL値(明度)の増加は、リノール酸を2週間塗布した時点より顕著に認められ始めた。

また、リノール酸により色素沈着が淡色化した部位においてリノール酸塗布を停止すると、再び色素沈着が形成されてくる傾向があり、このこととリノール酸がin vitroでメラノジェネシスを抑制する作用を持つことからリノール酸による色素沈着の淡色化作用に、活性化したメラノサイトが新たに作り出すメラニン色素の生成を制止する作用が働いていることが示唆される。

また、色素沈着を淡色化する他の要因としてすでにケラチノサイトに分布しているメラニン色素を表皮のターンオーバーを促進して皮膚の外部に排出することが必要であり、リノール酸にこのような作用があるかどうか現時点でデータは得られていないが、リノール酸の塗布期間中にわずかな落屑が認められることやリノール酸による色素沈着の淡色化作用が2週間という短期間で顕著に認められることから、リノール酸による淡色化作用に表皮のターンオーバー促進作用が関与している可能性がある。

このように2週間という短期間で顕著な色素沈着の淡色化が認められており、さらにターンオーバー促進作用の可能性も示唆しています(文献1:1993)

ヒト皮膚での色素沈着の淡色化の試験データはみあたりませんが、美白目的で配合される場合は、ヒト皮膚でも色素沈着の改善が期待されて配合されています。

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リノール酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

リノール酸の現時点での安全性は、化粧品での配合量において、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

サンスター株式会社、神戸大学医学部皮膚科学教室、三嶋皮膚科学研究所の「リノール酸のメラノジェネシスに対する抑制効果」(文献1:1993)によると、

  • [動物試験] UVB照射により茶色モルモットの背部皮膚に形成された色素沈着部位に1%リノール酸エタノール溶液を4週間累積塗布したところ、試験期間中に紅斑などの皮膚炎症症状は認められなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、皮膚刺激はなく、またリノール酸を主成分として70%以上含むサフラワー油の安全データでも一次刺激性なしと記載されている(文献3:2018)ことから、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験データおよび安全データがみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

試験データはみあたりませんが、リノール酸を主成分として70%以上含むサフラワー油の安全データでモルモットによる皮膚感作性はなしと記載されており(文献3:2018)、また重大なアレルギーの報告もないため、化粧品での配合量において、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
リノール酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、リノール酸は毒性なし(∗1)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

リノール酸は美白成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 安藤 秀哉, 橋本 晃, 政本 幸三, 市橋 正光, 3 三嶋 豊(1993)「リノール酸のメラノジェネシスに対する抑制効果」, <https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj1979/27/3/27_3_415/_article/-char/ja/> 2018年4月12日アクセス.
  2. Ando H, et al.(2004)「Fatty acids regulate pigmentation via proteasomal degradation of tyrosinase a new aspect of ubiquitin-proteasome function.」, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14739285> 2018年4月12日アクセス.
  3. 日光ケミカルズ(2018)「安全データシート NIKKOL サフラワー油」, <https://www.chemical-navi.com/product_search/view405.html> 2018年4月12日アクセス.

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