プルーン分解物とは…成分効果と毒性を解説

美白成分 保湿成分 抗老化成分
プルーン分解物
[化粧品成分表示名称]
・プルーン分解物

[医薬部外品表示名称]
・プルーン酵素分解物

バラ科植物セイヨウスモモ(学名:Prunus domestica 英名:Prune)の果肉を繊維素分解酵素で分解して得られるエキスです。

プルーン分解物の成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • アミノ酸
  • 糖類
  • ミネラル
  • ポリフェノール

などで構成されています(文献1:2006;文献3:2000)

セイヨウスモモは、コーカサス地方からイラン北部原産で、スモモには中国や日本を原産とする日本スモモ(学名:Prunus salicina)と欧米で栽培されている西洋スモモがあります。

セイヨウスモモは古代からヨーロッパで食用にされ、日本にも明治初期に渡来しましたが、風土に適さず栽培はまれです。

スモモのことを英語でPlumといい、プラムを乾燥させたものをPlune、また乾燥に適したプラムの品種もプルーンと呼び、このプルーンは19世紀にアメリカに伝わり、現在ではカリフォルニアで全世界の70%が栽培されています。

プルーンには、ビタミンA,B群,CおよびEなどのビタミン類、鉄分をはじめカルシウム、カリウム、銅、マンガンなどのミネラル、水溶性および不溶性の食物繊維、ポリフェノールのネオクロロゲン酸などが含まれています(文献2:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、美白化粧品をはじめとするスキンケア化粧品、日焼け止め製品、ボディケア製品、洗顔料、シート&マスク製品などに使用されます。

メラニン輸送抑制による色素沈着抑制作用

メラニン輸送抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン合成の仕組みと合成されたメラニン輸送の仕組みについて解説します。

以下のメラニン合成の仕組み図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合することでドーパ、ドーパキノンへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

合成されたメラニンは、以下の図のように、

メラニン輸送の仕組み

メラノソームという細胞小器官に貯蔵され、デンドライトというメラノサイトの触手を通り、表皮ケラチノサイトへ輸送されますが、プルーン分解物には表皮ケラチノサイトへの輸送を抑制する、つまり合成された黒化メラニンを表皮細胞に取り込ませないことで皮膚表面に黒化メラニンが現れないという作用が明らかになっており(文献4:2010)、結果的に表皮の色素沈着抑制作用として認められています。

ミトコンドリアトランスファー促進による抗老化作用

ミトコンドリアトランスファー促進による抗老化作用に関しては、まず前提知識としてミトコンドリアについて解説します。

ミトコンドリアは細胞全体の10~20%を占める細胞内にある小器官のひとつで、最も重要な役割としてエネルギーの産生がありますが、細胞の老化にも関与します。

そのミトコンドリアは、細胞間で受け渡されることが明らかになっており、ダメージを受けた細胞に健康なミトコンドリアを多く受け渡すことでダメージからの回復を導き、その現象は「ミトコンドリアトランスファー」と呼ばれ、とくに幹細胞で起こりやすいといわれています。

2018年にロート製薬によって報告された脂肪幹細胞からのミトコンドリアトランスファーによる線維芽細胞の老化度改善検証およびミトコンドリアトランスファー促進成分の検証によると、

薬剤で老化処理した線維芽細胞を培養し、またミトコンドリアトランスファーが起こるように健常な脂肪幹細胞とともに培養した老化処理線維芽細胞の老化度を測定したところ、以下のグラフのように、

ミトコンドリアトランスファーによる線維芽細胞の老化度への影響

健常な脂肪幹細胞からミトコンドリアトランスファーが起こることで、老化した線維芽細胞の老化度が40%の改善を示した。

また、培養した線維芽細胞と、ミトコンドリアトランスファーが起こるように脂肪幹細胞とともに培養した線維芽細胞のうち、活性酸素であるSOD2遺伝子の発現を確認したところ、以下のグラフのように、

ミトコンドリアトランスファーによる線維芽細胞の抗酸化力比較

線維芽細胞の抗酸化力が167%に増加し、ミトコンドリアトランスファーが起こると細胞の抗酸化力が高まることが示された。

さらに、ミトコンドリアトランスファーを促進する成分の組み合わせを検討したところ、以下のグラフのように、

 アロエベラ葉エキスとプルーン分解物によるミトコンドリアトランスファー促進作用への影響

アロエベラ葉エキスとプルーン分解物の組み合わせで、ミトコンドリアトランスファー率が130%に向上したため、これらの成分の組み合わせにミトコンドリアトランスファー促進作用が示された。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2018)、プルーン分解物はアロエベラ葉エキスと組み合わされた場合にミトコンドリアトランスファー促進作用が認められており、ミトコンドリアトランスファー促進作用によって線維芽細胞の老化度の改善率が高まる抗老化作用が考えられます。

ただし、試験における濃度や期間は明らかにされていないため、化粧品への配合においては試験よりも穏やかな作用である可能性が考えられます。

またこの作用はアロエベラ葉エキスとの組み合わせで生じるもので、プルーン分解物単体では起こりません。

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プルーン分解物の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

プルーン分解物の現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
プルーン分解物 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、プルーン分解物は毒性なし(∗1)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

プルーン分解物は美白成分、保湿成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 保湿成分 抗老化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,382.
  2. 鈴木 洋(2011)「プルーン」カラー版健康食品・サプリメントの事典,163-164.
  3. 深井 洋一, 他(2000)「プルーンの成分特性と抗酸化能」日本食品科学工学会誌(47)(2),97-104.
  4. “一丸ファルコス株式会社”(2010)「プルーン分解物開発ストーリー」, <https://www.ichimaru.co.jp/research/story1.html> 2018年9月8日アクセス.
  5. “ロート製薬株式会社”(2018)「ミトコンドリアトランスファーで肌細胞(線維芽細胞)の老化度が改善」, <https://www.rohto.co.jp/news/release/2018/0831_01/> 2018年9月8日アクセス.

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