パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)とは…成分効果と毒性を解説

美白成分 抗酸化成分 抗シワ成分
パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na
[化粧品成分表示名称]
・パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na

[慣用名]
・アプレシエ、APPS、浸透型ビタミンC誘導体、進化型ビタミンC誘導体

リン酸型ビタミンC誘導体に脂質のパルミチン酸を結合させて親油性(油溶性)を与えた両親媒性ビタミンC誘導体(∗1)です。

∗1 両親媒性とは親水性と親油性の両方を持ち合わせていることです。

ビタミンCは水溶性で肌への吸収が難しく持続しにくいのですが、パルミチン酸は皮脂と馴染みがいい脂肪酸として有名で、パルミチン酸を結合させることで親油性として吸収性や持続性の問題をクリアしています。

従来のビタミンC誘導体と比べてビタミンCを肌の内部へ容易に浸透させることができ、優れた美白効果を発揮するだけでなく、真皮内で発生する活性酸素を除去し、シワの原因となるコラーゲンのダメージを防止し、真皮の線維芽細胞に働きかけてコラーゲン合成を促進するなどの抗シワ効果が期待できます。

また、ビタミンCの欠点である塗布後のツッパリ感やべたつき感も改善されており、刺激も少ないのが特徴です。

アプレシエを開発した昭和電工株式会社が公開している試験データによると、アスコルビルグルコシドとの比較で細胞への浸透率は以下のように、

アプレシエの細胞膜浸透率の比較

6時間~18時間の間でも浸透率が維持されているので持続性もあると言えそうです。

活性酸素の除去効果は以下の画像をみる限りでは、

APPS濃度による細胞内の活性酸素除去比較

APPS無添加に比べて0.1mM添加しただけでも明らかな除去効果が確認できます。

また、コラーゲン合成促進においてもアスコルビルグルコシドと比較すると、

APPSのコラーゲン合成促進比較

アスコルビルグルコシドとは異なり、明らかにコラーゲン合成促進量が増えています。

3mMと10mMではあまり変わりはなく、活性酸素除去効果と同じように少しの量でもそれなりの効果が期待できるのがわかります。

ただ、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naには分解性が高いという特徴があり、化粧品の場合はこれがデメリットになります。

なぜなら、あらかじめ化粧品に配合されてる場合は、購入した時点で最低でも数ヶ月たっているので、すでにパルミチン酸アスコルビルリン酸3Naが分解されていて効果が期待できないからです。

効果が期待できないだけでなく、酸化してしまったビタミンC誘導体が他の成分に影響を与えたり、肌への悪影響を及ぼす可能性もあるため、あらかじめ化粧品に配合されているタイプの化粧品はほとんどみかけなくなりました。

代わりにでてきたソリューションとして、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naを化粧品にあらかじめ配合しておくのではなく、粉末のまま化粧品とセットで販売するタイプ製品やパルミチン酸アスコルビルリン酸3Na粉末の単品販売があり、これらの場合は使用者が自身で精製水や化粧品に混ぜることになります。

使用者が化粧品に混ぜる場合は、使用時にその都度混ぜるのが確かな効果が期待できる方法ですが、複数の販売メーカーに問い合わせたところ、あらかじめ精製水および所有している化粧品に混ぜておいても目安として1ヶ月以内であればAPPSの効果が期待できると回答がありました(試験データはなく、厳密には徐々に分解されるので早めの使い切り推奨)。

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パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足により詳細不明ですが、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

試験結果や安全データはみあたりませんが、開発元の昭和電工の論文(文献1:2015)によると、安全性が高いことが確認されており、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全データがみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Naは化粧品毒性判定事典出版以降につくられたため、掲載なしとなっています。

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パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)は美白成分と抗シワ(抗老化)成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 抗シワ(抗老化)成分

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文献一覧:

  1. 加藤詠子,井口里紗,佐伯夕子(2015)「親油性を付与した水溶性ビタミンC誘導体:パルミチン酸アスコルビルリン酸(APPS)」Fragrance Journal(43)(9)(423),51-55.

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