ハイドロキノンとは…成分効果と毒性を解説

美白成分
ハイドロキノン
[化粧品成分表示名称]
・ハイドロキノン

ハイドロキノンは、麦芽やいちごなど天然に存在する成分で、メラニン色素を淡色化する還元作用と高いメラニン合成抑制作用をもつ美白剤です。

よく間違える成分として、ハイドロキノンモノペンジルエーテル(モノベンゾン)があり、これはメラニン色素の合成を強カに抑制しますが、色素細胞に対する毒性が強く、アレルギーを起こしやすい性質であり、長期継続的に使うと不可逆的白斑を引き起こすことが知られているため配合禁止成分となっています。

ハイドロキノンは、以前は化粧品に配合できませんでしたが、2001年の化粧品規制緩和の際に配合禁止リストに収録されず、厚生労働省によって2%までの配合が認可されています。

ただし、日本では一次刺激やアレルギー(皮膚感作性)の問題や成分自体が不安定なことから、ネット上でアメリカ産のハイドロキノン配合化粧品を販売しているものはみかけますが、日本の化粧品メーカーがハイドロキノンを配合した化粧品をつくったということはないようです。

およそ100日以上の日常的な使用で肌に耐性ができて効果が薄れることがわかっており、シミや色素沈着の解消などが目的の場合は、3ヶ月ほどの集中ケアで解消する必要があります。

刺激や炎症などの副作用が心配されるため、高い濃度が配合されたものは医者の指導下で使用するのが無難です。

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ハイドロキノンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ハイドロキノンの現時点での安全性は、2%以下の配合において毒性や発がん性は問題ないとされており、まれに軽度の皮膚刺激を起こす可能性があるものの総合的に皮膚刺激はほとんどありませんが、重度の眼刺激性があり、強い皮膚感作性があるため、安全性の低い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Hydroquinone and Pyrocatechol」(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 840人の黒人被検者に1%,2.5%,3.5%,5%,7%ハイドロキノンを含むローション、クリームおよび軟膏を48時間閉塞パッチ適用したところ、3%までの影響は無視できるとし、経度の刺激剤および感作剤に分類された
  • [ヒト試験] 200人のインド人被検者に5%,6%,7%ハイドロキノンを含むパラフィンを24時間開放パッチ適用したところ、72時間で200人のうち6人に5%濃度において経度の紅斑が観察された
  • [ヒト試験] 19人の被検者に2%ハイドロキノン製剤を用いて一次刺激テストを行ったところ、最大刺激スコア4.0のうち0.89であった
  • [ヒト試験] 90人の被検者に2%ハイドロキノン製剤を用いて反復パッチテストを実施したところ、誘導期間において90人のうち69人にひとつまたはそれ以上の軽度の皮膚反応がみられた。またチャレンジパッチでは90のうち22人に軽度の感作反応がみられた
  • [ヒト試験] 53人の被検者に1%ハイドロキノンを含むワセリンを24時間閉塞パッチ適用したところ、53人のうち1人の被検者に紅斑と丘疹なしの湿潤が観察された
  • [ヒト試験] 137人の被検者(白人94人、黒人43人)に2%,3%,5%ハイドロキノンを含む軟膏を適用したところ、すべての濃度で脱色がみられ、脱色量は濃度とともに増加した。また脱色が始まる前に多くの患者で一過性の炎症がみられた。皮膚反応は2%,3%濃度では0だったが、5%では39人のうち3人が観察された
  • [ヒト試験] 56人の黒人と白人の患者に2%および5%ハイドロキノンを含むブリーチクリームを日焼け止めとともに色素沈着した皮膚に適用したところ、56人のうち4人は両方の濃度で脱色し、2%濃度では56人のうち5人に紅斑がみられ、5%濃度では56人のうち18人に紅斑がみられた
  • [ヒト試験] 100人の黒人患者に5%ハイドロキノンを含む軟膏を適用したところ、すべての被検者に脱色がみられ、適用の最初の月に刺激が観察された。また照射した脱色部位が色素沈着した
  • [ヒト試験] 8人の患者(黒人5人、白人3人)に10%および30%ハイドロキノンを含むワセリンを1ヶ月連続でパッチテストしたところ、黒人5人のうち2人に10%の色素脱色がみられ、また黒人5人のうち2人に皮膚刺激が示された

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献4:2013)によると、

  • [ヒト試験] 皮膚の脱色剤として調合使用されている本物質の5%剤の使用はしばしば皮膚症、紅斑、灼熱感を伴う(DFGMAK-Doc.10,1998)。また、2%ハイドロキノンを含む脱色クリームを使用した事例で、白斑が4例みられたが、炎症性のものではなく、1%ハイドロキノン製剤のパッチテストでは72時間後に陽性結果は得られなかった(化学物質の初期リスク評価書 114,2008)。これらの結果に基づきGHS分類基準で区分外とした
  • [動物試験] モルモットに10%ハイドロキノン水溶液を適用した試験で、軽度の刺激性(EHC 157,1994)。また、モルモットに0.25~1.0g/kgのハイドロキノンを適用したところ、24時間後に軽度~中等の浮腫および中等の紅斑が観察されたが、それ以降は皮膚反応を認めなかった(SIDS,2012)。さらに、ウサギにハイドロキノン(濃度不明)を閉塞適用した試験では、刺激性の平均スコアは1.22(1~4のスケール)で刺激性なしと結論付けられた(IUCLID,2001)。これらの結果に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3相当)とした

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、濃度にかかわらず一定の割合で軽度の皮膚刺激が起こっていますが、厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”で区分外(皮膚刺激なし)と結論づけているため、まれに濃度にかかわらず皮膚刺激を起こす可能性がありますが、総合的に皮膚刺激はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Hydroquinone and Pyrocatechol」(文献1:1986)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に2%ハイドロキノンを適用したところ、1日目に6匹のうち3匹で軽度の結膜炎が生じたが、結膜炎は2日目までに消失した。眼刺激スコアは最大110のうち1が報告された

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献4:2013)によると、

  • [ヒト試験] ハイドロキノンの粉塵ばく露により、眼の刺激、角膜上皮などの傷害及び角膜潰瘍が現れ、長期間のばく露では角膜及び結膜の着色、角膜の混濁から、視力の喪失、乱視を生じる事例もみられた(環境省リスク評価第3巻,2004)ため、GHS分類として区分1(重度の眼刺激性)とした
  • [動物試験] ウサギの結膜嚢にハイドロキノン100mgを適用し、腐食性の傷害に至ったと(DFGMAK-Doc. 10,1998)の報告に基づき、区分1(重度の眼刺激性)とした

と記載されています。

試験結果によると、厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”でヒトおよび動物試験の両方で区分1と結論づけているため、重度の眼刺激性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Hydroquinone and Pyrocatechol」(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 66人の患者(肝斑19人、ニキビ25人、須毛部仮性毛包炎11人、ほくろ11人)に5%ハイドロキノンを含む軟膏を適用したところ、すべての患者に医療的な改善効果を示し、皮膚感作および光感作反応は観察されなかった
  • [ヒト試験] 536人の皮膚炎患者に5%ハイドロキノン水溶液を48時間閉塞パッチ適用したところ、536人のうち48人に陽性の皮膚感作反応が示された

“Cosmetic Ingredient Review”の「Addendum to the Final Report on the Safety Assessment of Hydroquinone」(文献2:1994)によると、

  • [動物試験] モルモットの肩領域に2%ハイドロキノンを含む0.9%生理食塩水をMaximization試験において6回皮内注射して感作を誘導した。6~8日後に注射した部位の上に1%ハイドロキノンを含むアセトン-ポリエエチレングリコール溶液の閉塞パッチを48時間適用した。また未処置部位の脇腹に最大非刺激性濃度である0.5%ハイドロキノンの閉塞チャレンジパッチを24時間適用し、パッチ除去24および48時間後に評価したところ、すべてのモルモットが14および48時間後に陽性反応を示し、ハイドロキノンは極端な感作剤として分類された(Basketter et al.,1991)

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Amended Safety Assessment of Hydroquinone as Used in Cosmetics」(文献3:2010)によると、

  • [ヒト試験] アロマ化合物に敏感である80人の患者において0.5%ハイドロキノンは感作反応を誘発しなかった
  • [ヒト試験] 1%ハイドロキノンは交差反応性試験において陽性反応を生じなかった

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献4:2013)によると、

  • ハイドロキノンは接触アレルギー物質としてContact Dermatitis (5th, 2011)に記載されており、GHS分類として区分1(強い接触感作)とした
  • [動物試験] モルモットのmaximization試験(OECD TG 406)で陽性率は70%(7/10)を示し、強い感作性との評価結果(EHC 157,1994)に基づき区分1(強い皮膚感作性)とした。なお、その他にもモルモットのmaximization試験は実施され、陽性率50%(5/10)との結果(EHC 157,1994)、あるいは強い感作性との結果(EHC 157,1994)が得られている

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”でヒトおよび動物試験の両方で区分1(強い皮膚感作性)と結論づけているため、強い皮膚感作性(アレルギー性)があると考えられます。

安全性についての捕捉

5%以下のハイドロキノンでは白い色抜け(白斑)は報告されていません。

また、ハイドロキノン使用期間に、無防備に日光を浴びて色素沈着が起こった例が報告されているので、試用期間中は必ずUVケアを行ってください。

ちなみに、世界保健機関(WHO)の外部機関である国際がん研究機関(IARC)はグループ3(ヒトに対しる発がん性は分類できない)と定評しましたが、2006年8月29日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、発がん性の懸念があるとしてアメリカ国内での一般用医薬品への店頭販売禁止を提案し、現在は2%以下が店頭にて販売、4%以上は処方箋が必要となっています。

一方で、2001年からヨーロッパの多くの国では人体への使用が禁止されています。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ハイドロキノン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ハイドロキノンは■(∗2)となっており、やや毒性ありの判定となっています。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ハイドロキノンは美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1986)「Final Report on the Safety Assessment of Hydroquinone and Pyrocatechol」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818609141928> 2017年11月26日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(1994)「Addendum to the Final Report on the Safety Assessment of Hydroquinone」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915819409141000> 2017年11月26日アクセス.
  3. “Cosmetic Ingredient Review”(2010)「Final Amended Safety Assessment of Hydroquinone as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581810385957> 2017年11月26日アクセス.
  4. “職場のあんぜんサイト”(2013)「安全データシート」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/123-31-9.html> 2017年11月26日アクセス.

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