トラネキサム酸セチル塩酸塩(TXC)とは…成分効果と毒性を解説

美白成分
トラネキサム酸セチル塩酸塩(TXC)
[化粧品成分表示名称]
・トラネキサム酸セチルHCl

[医薬部外品表示名称]
・トラネキサム酸セチル塩酸塩

[慣用名]
・TXC

シャネルの申請により2008年10月にメラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ医薬部外品有効成分として承認されており、トラネキサム酸セタノールで構成され、トラネキサム酸の浸透性と持続力をより高めたトラネキサム酸誘導体です。

認められた効果は、

  • メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ
  • 皮膚を健やかに保つ
  • 皮膚にうるおいを与える
  • 皮膚を保護する
  • 皮膚の乾燥を防ぐ

の5つですが、トラネキサム酸はすでに「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」効果効能を有する有効成分として承認されており、セタノールも薬用化粧品のクリーム類の基剤として多くの使用前例があります。

また、作用そのものは、トラネキサム酸セチル塩酸塩がエステラーゼという加水分解酵素により加水分解されてトラネキサム酸に変換され、表皮下層でトラネキサム酸となって作用することが推察されているため、トラネキサム酸の作用であるといえます。

ヒトにおける色素沈着抑制作用においては、以下の試験が実施されており、

健康な成人被検者27人の左上腕内側の4箇所に1.4MED(真夏に日常的に浴びる紫外線量)に相当する紫外線量を擬似太陽光照射用ソーラーシミュレーター(波長領域290~400nm)を用いて照射した。

各紫外線照射部位にトラネキサム酸セチル塩酸塩●%配合製剤、●%配合製剤、基剤、アスコルビン酸リン酸ナトリウム(すでにメラニン生成抑制剤として承認されている有効成分)配合製剤を紫外線照射直後から朝夕1日2回3週間連続塗布し、皮膚科専門医が皮膚の色素沈着の程度を観察する方法および客観的改善効果の観察として分光測色計を用いて皮膚色の明度差を求める方法が実施された。

皮膚科専門医の観察においては、全評価日でトラネキサム酸セチル塩酸塩配合製剤およびアスコルビン酸リン酸ナトリウム配合製剤の色素沈着の程度が、基剤と比較して少ない傾向が観察されており、皮膚の明度差については、照射1週間後にトラネキサム酸セチル塩酸塩配合製剤およびアスコルビン酸リン酸ナトリウム配合製剤において、基剤に比べ有意に減少し、色素沈着の抑制作用が観察されている。

参照元:医薬品医療機器総合機構の審議結果報告書(文献1:2008)

色素沈着の抑制効果が明らかになっています。

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トラネキサム酸セチル塩酸塩の安全性(刺激性・アレルギー)について

トラネキサム酸セチル塩酸塩の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、わずか~軽度の眼刺激性が起こる可能性はありますが、皮膚感作(アレルギー)が起こる可能性も低く、光感作性もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

なお、トラネキサム酸セチル塩酸塩の製品への配合量は非公開のため、安全性試験でも濃度は非公開となっており、伏せ字として●で記載しています。

皮膚刺激性について

医薬品医療機器総合機構の審議結果報告書(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] 健康な成人女性50人の上背部にトラネキサム酸セチル塩酸塩を白色ワセリンで●%に調整した調剤を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去1および24時間後の皮膚反応を評価したところ、パッチ除去1時間後に+(明らかな紅斑)が1人、±(わずかな紅斑)が2人、24時間後で±が1人観察された。これらの陽性反応の発生状況は陰性対照の白色ワセリン、注射用蒸留水と同程度であり、トラネキサム酸セチル塩酸塩の皮膚刺激性は安全な範囲と判断された
  • [ヒト試験] 健康な成人42人(男性4人、女性38人)の上背部にクリームTX(トラネキサム酸セチル塩酸塩配合美白クリーム)を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去1時間および24時間後の皮膚反応を観察する方法で試験を実施した結果、いずれの観察時点においても皮膚反応は観察されなかったため、クリームTXにヒト皮膚に対して刺激性ではないと判断された
  • [動物試験] 3匹ウサギを用いてトラネキサム酸セチル塩酸塩●gをプロピレングリコール●mLに溶解させて(●%)皮膚一次刺激性試験を実施した。24時間閉塞パッチ適用し、Draize法に従って評価したところ、健常な皮膚においては適用24時間で評点1~2の紅斑、評点2~3の浮腫がすべてのウサギに認められた。これらの症状はその後軽減し、7日後に2匹で消失し、10日後に残りの1匹も消失した。一次刺激性スコアは2.7(中等の刺激)であった。損傷皮膚についても試験が実施され、適用24時間で評点1~2の紅斑、評点2~3の浮腫がすべてのウサギに認められた。これらの症状はその後軽減し、7日後に1匹で消失し、10日後に残りの2匹も消失した。一次刺激性スコアは2.7(中等の刺激)であった。これらの結果から、トラネキサム酸セチル塩酸塩の皮膚一次刺激性は濃度約●%(クリームTXの配合量の20倍濃度)では中等の刺激性に分類されると判断された
  • [動物試験] ウサギを用いてトラネキサム酸セチル塩酸塩●%配合プロピレングリコールの連続皮膚刺激性試験を実施した。試験物質を1日1回14日連続塗布し、Draize法に従って評価したところ、観察期間を通じていずれのウサギにおいても皮膚反応、一般状態の異常は認められなかった。以上の結果からトラネキサム酸セチル塩酸塩は濃度●%(配合濃度の約9倍)では連続皮膚刺激性を示さないと判断された

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、化粧品配合量の約20倍では皮膚刺激性はみられますが、約9倍の連続使用では刺激性が認められず、また実際の配合濃度で皮膚刺激性なしと結論付けられているため、医薬部外品配合量において皮膚刺激性はほとんど起こらないと考えられます。

眼刺激性について

医薬品医療機器総合機構の審議結果報告書(文献1:2008)によると、

  • [動物試験] ウサギにトラネキサム酸セチル塩酸塩●%を含むヒドロキシエチルセルロースを点眼し、Draize法に従って評価したところ、点眼後24時間で1匹の結膜にスコア3(分泌物)の刺激反応が認められたが、48時間後には回復した。他にスコア1(発赤)の刺激反応が4日後まで観察されたが、その後は軽減し、点眼7日後にはすべて消失した。角膜や虹彩に刺激反応は認められなかった。平均眼刺激性スコアの最大値は6.7であり、トラネキサム酸セチル塩酸塩の眼刺激性は弱いと判断された

と記載されています。

試験結果によると、弱い眼刺激性があると結論付けられているため、わずか~軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬品医療機器総合機構の審議結果報告書(文献1:2008)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いてトラネキサム酸セチル塩酸塩の皮膚感作性試験を行ない、Adjuvant and Patch法に従って判定したところ、いずれのチャレンジパッチ部位においても皮膚反応は認められなかったことから、この試験物質は皮膚感作性を示さないと判断された

と記載されています。

試験結果は動物のものひとつですが、いずれのチャレンジパッチ部位においても皮膚反応は認められなかったため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

光感作性について

医薬品医療機器総合機構の審議結果報告書(文献1:2008)によると、

  • 安定性試験における過酷試験において分解生成物が検出されなかったこと、トラネキサム酸セチル塩酸塩に紫外部の吸収がないことから、光化学反応による活性はないと判断され、試験は省略された

と記載されています。

試験によると、光化学反応による活性はないと判断されているため、光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
トラネキサム酸セチル塩酸塩 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、トラネキサム酸セチル塩酸塩は掲載なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

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トラネキサム酸セチル塩酸塩は美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分

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文献一覧:

  1. 医薬品医療機器総合機構(2008)「審議結果報告書 クリームTX」, <http://www.pmda.go.jp/quasi_drugs/2009/Q200900001/340109000_22100DZX00896000_Q100_1.pdf> 2017年12月14日アクセス.

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