エラグ酸とは…成分効果と毒性を解説

美白成分
エラグ酸
[化粧品成分表示名称]
・エラグ酸

[医薬部外品表示名称]
・エラグ酸

1996年に医薬部外品美白有効成分として承認された、マメ科植物タラ(学名:Caesalpinia spinosa 英名:tara)の鞘から抽出して得られるタラタンニンを微アルカリ下で酸化し精製して得られるポリフェノール構造を有する化合物です(文献1:1997)

エラグ酸は、タラに多量に含まれていますが、天然には他にもイチゴ、リンゴ、ユーカリ、ゲンノショウコ、茶などに含まれています(文献1:1997)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、主に美白を訴求するスキンケア化粧品に使用されます。

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムおよびチロシナーゼについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユーメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合し、チロシンが酸化することでドーパ、ドーパキノンへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

このような背景からチロシナーゼ活性を抑制・阻害し、チロシンとの結合を阻害またはチロシンとの結合量を減らすことは、色素沈着防止という点で重要であると考えられます。

1995年に東京慈恵会医科大学皮膚科、徳島大学医学部皮膚科、帝京大学医学部皮膚科 、ワタナベ皮膚科によって報告されたチロシナーゼに対するエラグ酸への影響検証によると、

in vitro試験において、様々な濃度のエラグ酸を添加し、チロシナーゼ活性のIC₅₀(50%阻害に必要な濃度)を求めたところ、以下の表のように、

エラグ酸濃度(μM) チロシナーゼ活性阻害率(%)
30 32
40 37
50 42
60 46
70 48
78 50

エラグ酸のIC₅₀(50%阻害に必要な濃度)は、78μgであった。

このような検証結果が明らかになっており(文献3:1995)、エラグ酸にチロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用が認められています。

また、エラグ酸のチロシナーゼ活性阻害のメカニズムは、チロシナーゼに存在する銅イオンに結合し、不活性化するキレート作用によるものであることが確認されています(文献3:1995)

次に1995年に東京慈恵会医科大学皮膚科、徳島大学医学部皮膚科、帝京大学医学部皮膚科 、ワタナベ皮膚科によって報告された紫外線照射による色素沈着に対するエラグ酸の有用性検証によると、

70人の被検者を対象に0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤と対照製剤としてエラグ酸だけを除いた同様のクリーム製剤をそれぞれ片腕に6週間塗布する二重盲検群間比較法で評価した。

その結果、上腕内側部に形成された色素沈着度の改善比較において、エラグ酸配合製剤塗布部は対照製剤塗布部に比べ高い改善を示した。

さらに、試験終了後に被検者に改善度ならびに副作用の両面から有用度を求めたところ、以下の表のように、

エラグ酸有用度
極めて有用 有用 やや有用 やや有用以上合計
5人 46人 9人 60人(86%)

0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤は、対照製剤に比べて高い有用性を示したことにより、エラグ酸は日焼けによるしみ・そばかすの予防剤として有用度の高い薬剤であると考えられた。

このような検証結果が明らかになっており(文献3:1995)、エラグ酸に紫外線による色素沈着およびしみ・そばかすの予防効果が認められています。

さらに2001年に横山皮フ科クリニックによって報告された色素沈着症に対するエラグ酸の有用性検証によると、

肝斑、炎症後色素沈着、雀卵斑、老人性色素班を有する72人の女性被検者に、0.5%エラグ酸配合製剤を1日2回1ヶ月以上から3ヶ月以内の期間毎日被検部位に塗布してもらい、2週間に1回経過観察を行い、総合評価は試験終了時に最終改善度をそれぞれ5段階で評価したところ、以下の表のように、

症例 合計人数 最終改善度
かなり改善 改善 やや改善 不変 悪化
肝斑 15 2 4 5 4 0
炎症後色素沈着 24 12 7 4 1 0
雀卵斑 18 0 1 5 12 0
老人性色素斑 13 0 4 5 4 0

0.5%エラグ酸配合製剤は、とくに炎症後色素沈着に対する改善度が顕著であり、不変の事例は24人のうち1人のみであった。

肝斑や老人性色素斑に対しても高い改善効果が認められたが、雀卵斑に対しては、他の症例ほど改善度が高くはなかった。

なお試験を通じて悪化した例はまったく認められなかった。

このような検証結果が明らかになっており(文献4:2001)、エラグ酸に紫外線による色素沈着およびしみ・そばかすの改善効果が認められています。

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エラグ酸の安全性(刺激性・アレルギー)について

エラグ酸の現時点での安全性は、

  • 医薬部外品有効成分
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性について

ライオンの臨床データ(文献2:1998)によると、

  • [ヒト試験] 15人の被検者に1.0%エラグ酸を含む乳液を1日2回5週間にわたって塗布し、皮膚反応を評価したところ、使用期間中および使用期間後において皮膚の状態に異常は認められなかった
  • [ヒト試験] 10人の被検者に0.2%エラグ酸を含むパック剤を3日に1回の割合で6ヶ月間使用してもらい、皮膚反応を評価したところ、使用期間中および使用期間後において皮膚の状態に異常は認められなかった

東京慈恵会医科大学皮膚科、徳島大学医学部皮膚科、帝京大学医学部皮膚科 、ワタナベ皮膚科によって報告された有用性評価レポート(文献3:1995)によると、

  • [ヒト試験] 70人の被検者を対象に0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤と対照製剤としてエラグ酸だけを除いた同様のクリーム製剤をそれぞれ片腕に6週間塗布する二重盲検群間比較法で評価したところ、いずれの被検者においても副作用はまったく認められなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験データがみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

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エラグ酸は美白成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分

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文献一覧:

  1. S Tachibana, et al(1997)「Inhibitory effect of ellagic acid on melanogensis」Fragrance Journal(25)(9),37-42.
  2. 丸井 幸子, 他(1998)「皮膚外用組成物」特開平10-081618.
  3. 上出 良一, 他(1995)「XSC-29製剤の紫外線照射による色素沈着に対する予防効果に関する臨床評価成績」西日本皮膚科(57)(1),136-142.
  4. 横山 美保子, 他(2001)「色素沈着症に対するエラグ酸配合製剤の有用性評価」皮膚科(43)(4-5),286-291.

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