エラグ酸とは…成分効果と毒性を解説

美白成分
エラグ酸
[化粧品成分表示名称]
・エラグ酸

[医薬部外品表示名称]
・エラグ酸

フラボノイドの一種であり、1996年にライオンによって医薬部外品として承認されたポリフェノール構造を有する化合物です。

はじめはイチゴから発見され、ラズベリー、ザクロ、リンゴなどの植物中に存在していますが、抽出量が微量であるため、現在は南米ペルーのマメ科植物であるタラの実から抽出されています。

美白作用は、チロシナーゼ銅イオンに対するキレート作用による活性阻害が報告されており(文献1:1995)、また紫外線による色素沈着に対する予防効果も報告されています(文献2:1995)

チロシナーゼ活性阻害に関してわかりやすく解説すると、以下の図のように、

メラニンが合成される仕組み

紫外線を浴びた皮膚は基底層のメラノサイトに存在するチロシンというアミノ酸にチロシナーゼという活性酵素が結合することでドーパに変化し、ドーパでもチロシナーゼがくっつくことでドーパキノンに変化し、ドーパキノンの一部がユウメラニン(黒色メラニン)に変わっていきますが、エラグ酸はチロシナーゼに存在する銅イオンを閉じ込めて不活性化し、チロシナーゼの活性を阻害することで、チロシンがドーパおよびドーパキノンに変化できず、結果的にユウメラニン(黒化メラニン)の生成を抑制します。

東京慈恵会医科大学皮膚科、徳島大学医学部皮膚科、帝京大学医学部皮膚科 、ワタナベ皮膚科によって実施されたエラグ酸配合製剤の紫外線照射による色素沈着に対する予防効果に関する臨床評価試験によると、

70人の被検者を対象に0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤と対照製剤としてエラグ酸だけを除いた同様のクリーム製剤をそれぞれ片腕に6週間塗布する二重盲検群間比較法で評価した。

その結果、上腕内側部に形成された色素沈着度の改善比較において、エラグ酸配合製剤塗布部は対照製剤塗布部に比べ高い改善を示し、またエラグ酸配合製剤の塗布による副作用は試験期間中すべての被検者において認められなかった。

さらに、試験終了後に被検者に改善度ならびに副作用の両面から有用度を求めたところ、極めて有用である(5)、有用である(46)、やや有用である(9)となり、70人のうち60人(86%)が「やや有用である」以上の有用性を示した。

以上の成績により、0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤は紫外線照射による色素沈着に対して予防効果を有し、かつ安全性の高い製剤であると考えられた。

また、0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤が対照製剤に比べ高い有用性を示したことによりエラグ酸は日焼けによるしみ・そばかすの予防剤として有用度の高い薬剤であると考えられた。

このように報告されており(文献2:1995)、紫外線による色素沈着およびしみ・そばかすの予防効果が明らかにされています。

また、横山皮フ科クリニックによって実施された色素沈着症に対するエラグ酸配合製剤の有用性試験によると、

肝斑、炎症後色素沈着、雀卵斑、老人性色素班を有する70人の女性被検者に0.5%エラグ酸配合製剤を1日2回1ヶ月以上から3ヶ月以内の期間毎日被検部位に塗布してもらい、2週間に1回経過観察を行い、総合評価を「極めて有用」「有用」「やや有用」「有用とは思われない」「悪化」の5段階で判定した。

試験の結果、雀卵斑を除き、使用1ヶ月で有意に改善効果が認められ、主ににきびによる炎症後色素沈着では開始時の平均スコアが3.04±0.36であったが、1ヶ月後にはすでに2.35±0.56に、最終的には1.65±0.63にまで改善がみられた。

肝斑では、開始時2.73±0.57であったが、1ヶ月後には2.37±0.67に、最終的には1.97±0.74に、老人性色素斑では開始時2.50±0.76であったが、1ヶ月後には2.31±0.69に、最終的には2.00±0.50に、それぞれ改善した。

雀卵斑では、開始時2.50±0.50で、1ヶ月後には2.44±0.47であったが、2ヶ月後には有意に効果が認められ、最終的には2.31±0.60となった。

効果が発現した時期は、以下の表にまとめたように、

効果発現時間 総数 肝斑 炎症後色素沈着 雀卵斑 老人性色素班
1ヶ月以内 30 9 14 2 5
1~2ヶ月以内 16 2 9 2 3
2~3ヶ月以内 3 0 0 2 1

使用1ヶ月以内が70人のうち30人(42.9%)、2ヶ月以内が70人のうち46人(65.7%)、3ヶ月以内が70人のうち49人(70%)であった。

副作用は、使用1~2ヶ月以内でわずかなにきびの発生が4人に認められたが、これらは体質的なものでエラグ酸配合製剤に起因するものではないと判断された。

また、色素沈着の悪化や対象の周囲の健常部位の脱色はまったく認められなかった。

有効性と副作用から総合的に判断した有用性は、

  • 肝斑:極めて有用(6.7%)、有用(33.3%)、やや有用(33.3%)、有用とは思われない(26.7%)、悪化(0%)
  • 炎症後色素斑:極めて有用(33.3%)、有用(33.3%)、やや有用(26.7%)、有用とは思われない(6.7%)、悪化(0%)
  • 雀卵斑:極めて有用(0%)、有用(0%)、やや有用(33.3%)、有用とは思われない(66.7%)、悪化(0%)
  • 老人性色素斑:極めて有用(0%)、有用(30.8%)、やや有用(38.4%)、有用とは思われない(30.8%)、悪化(0%)

となっており、悪化した例は認められなかった。

このように報告されており(文献3:2001)、とくに肝斑、炎症後色素沈着に有用であることが明らかにされています。

また、肝斑に関しては、2008年にトルコのEGE大学医学部皮膚科学科で行われた研究で、9人の肝斑患者に合成エラグ酸を塗布したところ8人にメラニン色素の低下が確認されており、肝斑の改善効果が明らかになっています(文献4:2008)

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エラグ酸の安全性(刺激性・アレルギー)について

エラグ酸の現時点での安全性は、医薬部外品として承認されており、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

東京慈恵会医科大学皮膚科、徳島大学医学部皮膚科、帝京大学医学部皮膚科 、ワタナベ皮膚科によって報告された有用性評価レポート(文献2:1995)によると、

  • [ヒト試験] 70人の被検者を対象に0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤と対照製剤としてエラグ酸だけを除いた同様のクリーム製剤をそれぞれ片腕に6週間塗布する二重盲検群間比較法で評価したところ、いずれの被検者においても副作用はまったく認められなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、6週間の連続使用で皮膚に副作用がまったく認められないため、配合範囲内において、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験データがみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

東京慈恵会医科大学皮膚科、徳島大学医学部皮膚科、帝京大学医学部皮膚科 、ワタナベ皮膚科によって報告された有用性評価レポート(文献2:1995)によると、

  • [ヒト試験] 70人の被検者を対象に0.5%エラグ酸を含むクリーム製剤と対照製剤としてエラグ酸だけを除いた同様のクリーム製剤をそれぞれ片腕に6週間塗布する二重盲検群間比較法で評価したところ、いずれの被検者においても副作用はまったく認められなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、6週間の連続使用において皮膚に副作用がまったく認められないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
エラグ酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、エラグ酸は毒性なし(∗1)となっており、配合範囲内において、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

エラグ酸は美白成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分

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文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2016)「美白剤」パーソナルケアハンドブック,542-543.
  2. 上出 良一, 他(1995)「XSC-29製剤の紫外線照射による色素沈着に対する予防効果に関する臨床評価成績」西日本皮膚科(57)(1),136-142.
  3. 横山 美保子, 伊藤 祐成(2001)「色素沈着症に対するエラグ酸配合製剤の有用性評価」皮膚科(43)(4-5),286-291.
  4. Ilgen ERTAM, et al.(2008)「Efficiency of ellagic acid and arbutin in melasma: A randomized, prospective, open-label study」The Journal of Dermatology(35)(9),570-574.

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