ウワウルシ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

美白成分
ウワウルシ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ウワウルシ葉エキス

ツツジ科植物ウワウルシ(学名:Arctostaphylos uva-ursi 英名:Uva-ursi = Bearberry)の葉から、またはエタノールで抽出して得られるエキスです。

ウワウルシ葉エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • フェノール配糖体:アルブチン、メチルアルブチン
  • タンニン
  • フラボノイド類:クエルセチン

などで構成されています(文献1:2017;文献2:2011)

ウワウルシの名は、「熊のブドウ」という意味であり、英語ではベアベリー、日本ではクマコケモモ(熊苔桃)と呼ばれており、ヨーロッパ、アジア、北米など北半球の寒冷地に分布しています。

ヨーロッパでは17世紀ごろより実が薬用とされ、18世紀ごろから葉が治療に用いられるようになりました。

ウワウルシの葉には、主成分のフェノール配糖体であるアルブチンのほか、メチルアルブチン、ハイドロキノン、タンニン、クエルセチンなどが含まれています(文献2:2011)

アルブチンは尿中で分解されてハイドロキノンを生じ、ハイドロキノンには殺菌作用のほか、腎細胞を刺激することによる利尿作用があり、またクエルセチンにも利尿作用が認められています(文献2:2011)

葉の煎液は尿路消毒薬、利尿薬として膀胱炎腎炎などの尿路感染症、尿路結石などに用いられ、家庭薬として膀胱炎などに用いられる利尿剤にはウワウルシが配合されたものも少なくありません(文献2:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、シート&マスク製品などに使用されます(文献3:1995)

チロシナーゼ活性阻害およびメラニン産生抑制による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性阻害およびメラニン産生抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムとチロシナーゼについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をてみもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合することでドーパ、ドーパキノンへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

1994年に第一三共(旧第一製薬)によって報告されたウワウルシ葉抽出物のチロシナーゼ活性阻害およびメラニン産生抑制検証によると、

ウワウルシ葉50%エタノール抽出物およびウワウルシに含有されているアルブチンの抗チロシナーゼ活性を検討したところ、以下のグラフのように、

ウワウルシ葉エキスの抗チロシナーゼ活性

アルブチンの抗チロシナーゼ活性

ウワウルシ葉エキスに濃度依存的なチロシナーゼ阻害作用が認められたが、含有成分のアルブチンには認められなかった。

また、基質ドーパとチロシナーゼを反応させ、ドーパクロムが産生された後にウワウルシ葉エキスを添加し、産生されたメラニン量を測定したところ、以下のグラフのように、

ウワウルシ葉エキスのドーパクロムからメラニンへの自動酸化阻害活性

アルブチンのドーパクロムからメラニンへの自動酸化阻害活性

ウワウルシ葉エキスにはドーパクロムからの自動酸化によるメラニン産生を抑制する作用が認められた。

一方でウワウルシに含有されるアルブチンにはドーパクロム以後の自動酸化によるメラニン産生に対する抑制作用はまったく認められなかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:1995)、ウワウルシ葉エキスにチロシナーゼ阻害作用による色素沈着抑制作用が認められています。

捕捉として、この試験ではウワウルシ葉エキスにチロシナーゼ活性阻害作用が認められ、一方でウワウルシ含有成分であるアルブチンにチロシナーゼ活性阻害作用が認められていないため、ウワウルシ葉エキスのチロシナーゼ活性阻害作用はアルブチン以外の含有成分である可能性が高いと考えられます。

ただし、この試験においてウワウルシ葉エキスだけでなく含有成分であるアルブチンも試験したのは、アルブチンそのものにはチロシナーゼ活性阻害作用がすでに知られており、ウワウルシ葉エキスのチロシナーゼ活性阻害作用がアルブチンによるものであることを確認する意図があったのだと推察されますが、アルブチンにチロシナーゼ活性作用が認められなかったのは疑問が残ります。

またメラニン生合成のメカニズム図をみてもらうとわかるように、ドーパとチロシナーゼを反応させるとドーパキノンに変化しますが、試験ではドーパクロムが産生された後にウワウルシ葉エキスを添加した反応を検証しているので、ドーパキノンからユーメラニンまでの詳細な反応をいかに掲載します。

ドーパキノンがユウメラニンに変化するまでの詳細な仕組み

この図をみるとわかるように、ドーパクロムからユーメラニンまでの酸化過程(反応過程)においてチロシナーゼは存在しないため、アルブチンに抑制作用が認められないのは理解できます。

一方でウワウルシ葉エキスにはチロシナーゼ活性阻害ほど明確ではありませんが、ドーパクロム以降の酸化過程において抑制作用が認められているため、TRP-2またはTRP-1の活性阻害作用または酸化重合抑制などのメカニズムで活性を阻害していると考えられます。

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ウワウルシ葉エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ウワウルシ葉エキスの現時点での安全性は、医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載されており、10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ウワウルシ葉エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ウワウルシ葉エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ウワウルシ葉エキスは美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分

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文献一覧:

  1. 原島 広至(2017)「ウワウルシ」生薬単 改訂第3版,28-29.
  2. 鈴木 洋(2011)「ウワウルシ(Uva-Ursi)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,30.
  3. 久保 道徳(1995)「メラニン産生阻害活性生薬の化粧品および医薬品への応用」Fragrance Journal(23)(8),48-55.

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