イタドリ根エキスとは…成分効果と毒性を解説

美白 抗老化成分
イタドリ根エキス
[化粧品成分表示名称]
・イタドリ根エキス

タデ科植物イタドリ(学名:Fallopia japonica = Polygonum Cuspidatum 英名:Japanese knotweed)の根茎からエタノールで抽出して得られるエキスです。

イタドリ根エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • エピカテキン

などで構成されています(文献1:2006;文献2:2011)

イタドリは、日本各地、朝鮮半島、台湾、中国などの山野に自生する多年草で、その名は「痛み取り」に由来するといわれています。

成分にはアントラキノン誘導体のポリゴニンなどが含まれ、またポリフェノールの一種であるレスベラトロールも多く含まれており、sプリメント用レスベラトロールの原料として利用されています(文献3:2011)

漢方では虎杖根と呼ばれ、清熱解毒・止痛・退黄・活血などの効能があり、関節痛や黄疸、生理不順、火傷などに用いられます(文献2:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディケア化粧品、日焼け止め製品、シート&マスク製品などに使用されます(文献4:1993;文献5:1997;文献6:1999)

チロシナーゼ活性阻害および生合成阻害による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性阻害および生合成阻害による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムとチロシナーゼについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユーメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

メラノサイト内でのメラニン生合成は、まずアミノ酸であるチロシンに活性酵素であるチロシナーゼが結合することでドーパ、ドーパキノンへと変化し、最終的に黒化メラニンが合成されます。

1993年にノエビアによって公開された技術情報によると、

植物抽出物の中から有効かつ穏和な皮膚美白作用を有し、さらに安定性の高いものをスクリーニングしたところ、イタドリのエタノール抽出物に高いチロシナーゼ活性阻害効果を見出した。

イタドリ抽出物は、皮膚刺激生、接触感作性といった皮膚への悪影響もなく、また化粧料に配合した場合もチロシナーゼ活性阻害作用の不活化は起こらず、品質も安定していた。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:1993)、イタドリ根エキスにチロシナーゼ活性阻害作用による色素沈着抑制作用が認められています。

また1997年にノエビアによって報告されたイタドリ抽出物の美白剤としての作用評価によると、

B16メラノーマ細胞におけるイタドリ抽出物のチロシナーゼ生合成抑制作用を調査したところ、以下のグラフのように、

B16メラノーマ細胞におけるイタドリ抽出物のチロシナーゼ生合成抑制作用

イタドリ抽出物は、細胞毒性を示さない範囲で濃度依存的にチロシナーゼ生合成の抑制作用を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:1997)、またヒト正常メラノサイトを用いた試験においても同様にチロシナーゼの生合成を抑制する作用も確認されており(文献5:1997)、イタドリ根エキスにチロシナーゼ生合成抑制作用による色素沈着抑制作用が認められています。

エンドセリン-1またはα-MSH阻害による色素沈着抑制作用

エンドセリン-1またはα-MSH阻害による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムとエンドセリン-1およびα-MSHについて解説します。

メラニン生合成のメカニズムについてはすでに解説していますが、わかりやすさを重視し、改めて解説します。

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びた皮膚は、最初に活性酸素を発生し、紫外線による様々な情報伝達物質(メラニン活性化因子)をメラノサイトに伝達し、メラノサイトが情報伝達物質を受け取るとメラノサイト内でメラニンの生合成が始まります。

エンドセリン-1(ET-1)およびα-MSHは、この情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)の一種であり、イタドリ根エキスにはこのエンドセリン-1またはα-MSHを阻害する作用が明らかにされており、エンドセリン-1またはα-MSHのメラノサイトへの伝達を阻害することで、メラノサイト内でのメラニン合成抑制作用が認められています(文献6:1999)

イタドリ根エキスには、チロシナーゼ活性阻害および生合成抑制作用が認められていますが、その作用メカニズムはこのエンドセリン-1またはα-MSH阻害を介していると考えられます。

エラスターゼ活性阻害による抗老化作用

エラスターゼ活性阻害による抗老化作用に関しては、まず前提知識として皮膚の構造とエラスターゼを解説します。

以下の皮膚の構造図をみてもらうとわかるように、

皮膚の構造と皮膚の主要成分図

皮膚は大きく表皮と真皮に分かれており、表皮は主に紫外線や細菌・アレルゲン・ウィルスなどの外的刺激から皮膚を守る働きと水分を保持する働きを担っており、真皮はプロテオグリカン(ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸含む)・コラーゲン・エラスチンで構成された細胞外マトリックスを形成し、水分保持と同時に皮膚のハリ・弾力性に深く関与しています。

エラスチンは、2倍近く引き伸ばしても緩めるとゴムのように元に戻る弾力繊維で、コラーゲンとコラーゲンの間にからみあうように存在し、コラーゲン同士をバネのように支えて皮膚の弾力性を保っています(文献8:2002)

エラスターゼは、エラスチンを分解する酵素であり、通常はエラスチンの産生と分解がバランスすることで一定のコラーゲン量を保っていますが、皮膚に炎症や刺激が起こるとエラスターゼが活性化し、エラスチンの分解が促進されることでエラスチンの質的・量的減少が起こり、皮膚老化の一因となると考えられています。

2000年にノエビアによって公開された技術情報によると、

in vitro試験においてエタノール抽出したワレモコウ根、イタドリ根、メリッサ葉ローズマリー葉ベニバナ花ショウガ根茎それぞれ100μg/mLのエラスターゼ活性阻害率を測定したところ、以下の表のように、

試料 エラスターゼ阻害率(%)
ワレモコウ根 68.7
イタドリ根 20.2
メリッサ葉 23.4
ローズマリー葉 20.3
ベニバナ花 20.2
ショウガ根茎 22.1

イタドリ根エキスは100μg/mLで20%以上の有意なエラスターゼ阻害率を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献7:2000)、イタドリ根エキスにエラスターゼ活性阻害による抗老化作用が認められています。

スポンサーリンク

イタドリ根エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

イタドリ根エキスの現時点での安全性は、10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、詳細な試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

イタドリ根エキスは美白成分、抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 抗老化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,362.
  2. 鈴木 洋(2011)「虎杖根(コジョウコン)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,158-159.
  3. 鈴木 洋(2011)「イタドリ」カラー版健康食品・サプリメントの事典,18.
  4. 関原 くみこ(1993)「美白化粧料」特開1993-294819
  5. 岡野 由利(1997)「植物由来成分の美白剤としての作用評価」Fragrance Journal(25)(9),56-62.
  6. 落合 康宣(1999)「紫外線による色素沈着症状の防止,改善に有効な皮膚外用剤 」特開1999-349435
  7. 株式会社 ノエビア(2000)「エラスターゼ阻害剤、及びこれを含有して成る老化防止用皮膚外用剤」特開2000-319189.
  8. 朝田 康夫(2002)「真皮の構造は」美容皮膚科学事典,30.

スポンサーリンク

TOPへ