アーチチョーク葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

美白成分 抗炎症成分 抗老化成分 収れん成分
アーチチョーク葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・アーチチョーク葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・アーティチョークエキス

キク科植物アーティチョーク(学名:Cynara scolymus 英名:Artichoke)の葉からBG(1,3-ブチレングリコール)で抽出して得られるエキスです。

アーチチョーク葉エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • テルペノイド類:シナロピクリン
  • フラボノイド類:ルテオリン、スコリモサイド
  • フェニルプロパノイド類:クロロゲン酸、カフェ酸、シナリン

などで構成されています(文献1:2016)

アーティチョークは国内ではイタリア料理の食材として知られていますが、薬用ハーブとしての歴史は古く、ギリシャ・ローマ時代から肝機能の促進や利胆(胆汁分泌促進)の目的で用いられてきました(文献1:2016)

今日では科学的にその効果も証明され、作用の中心となる成分はカフェ酸誘導体であるシナリンや苦味のあるセスキテルペンラクトン類のシナロピクリンとされています(文献1:2016)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品をはじめ、ボディ&ハンドケア製品、日焼け止め製品、化粧下地、ファンデーション、洗顔料、洗浄製品、マスク&パック製品などに使用されます(文献2:2008;文献3:2008)

NF-κB活性抑制による抗炎症作用および色素沈着抑制作用

NF-κB活性抑制による抗炎症作用および色素沈着抑制作用に関しては、主にセスキテルペンラクトン類のシナロピクリンによるもので、NF-κB活性を抑制することで結果的にNF-κBの活性に起因するメラノサイト活性化抑制、炎症性物質産生抑制などの作用を有しています。

作用機序は、以下の紫外線によるNF-κBの活性化の仕組み図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

紫外線によるNF-κBの活性の仕組み

紫外線を浴びた皮膚はまず最初に活性酸素が発生し、活性酸素の働きによって様々な遺伝子の発現を誘導するタンパク質(転写因子)であるNF-κBが活性化します。

NF-κBが活性化すると、炎症性サイトカインの産生が誘導され、様々な段階を経て炎症を発生させたり、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトに届けてメラニンの生合成を活性化させたりするため、NF-κBの活性を抑制することで炎症やメラニン生合成、そして結果的に光老化抑制など複数の皮膚トラブルを抑制できます(文献2:2008;文献3:2008)

2008年に一丸ファルコスによって報告されたアーチチョーク葉エキスのメラニン生成抑制検証によると、

試験用メラノーマ細胞を試験管に入れ、一方には0.5ppmのシナロピクリンを、もう一方には50ppmのアルブチンを加えて3日間培養し、メラニンの生成量を比較測定したところ、以下のグラフのように、

シナロピクリンとアルブチンのメラニン生成抑制率比較

シナロピクリンはアルブチンの100分の1の濃度であるにもかかわらず、強いメラニン生成抑制作用が認められた。

このような検証結果が明らかになっており(文献4:2008)、アーチチョーク葉エキスには強いメラニン抑制作用を有していると考えられます。

ただし、これはin vitro試験であり、化粧品に配合される場合のアーチチョーク葉エキスのシナロピクリン含有量は消費者には知りえないため、試験よりは穏やかなメラニン抑制作用傾向であると考えられます。

エンドセリン-1およびCOX-2抑制による色素沈着抑制作用

メラニン抑制の作用機序は、上記の紫外線によるNF-κBの活性化の仕組み図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、NF-κB抑制による情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)の抑制によるものであり、情報伝達物質には様々なものがありますが、アーチチョーク葉エキスは情報伝達物質であるエンドセリン-1およびCOX-2の抑制が認められています(文献3:2008)

補足ですが、エンドセリン-1は直接メラノサイトに届きますが、COX-2は律速酵素としてプロスタグランジンの産生を触媒し、メラノサイトにはプロスタグランジンが届きます。

2008年に一丸ファルコスによって報告されたアーチチョーク葉エキスのCOX-2発現抑制試験によると、

ヒト腎臓細胞をコントロール(無添加)として、COX-2の発現を測定したところ、以下のグラフのように、

アーチチョーク葉エキスのCOX-2抑制作用

アーチチョーク葉エキス添加群は、濃度依存的に発現が抑制された。

このような検証結果が明らかになっており(文献3:2008)、アーチチョーク葉エキスには濃度依存的なCOX-2抑制作用を有していると考えられます。

ただし、これはin vitro試験であり、化粧品に配合される場合は一般的に1%未満であることが多く、かなり穏やかな抑制作用であると考えられます。

またエンドセリン-1抑制作用に関しては、同じく2008年の一丸ファルコスのエンドセリン産生抑制試験によると、

アーチチョーク葉エキス添加群は3時間後にUVBを照射し、さらに18時間後に培地を回収しエンドセリン量を測定したところ、以下のグラフのように、

アーチチョーク葉エキスのエンドセリン産生抑制作用

0.5%および1.0%添加の双方で有意にエンドセリン量が抑制された。

このような検証結果が明らかになっており(文献3:2008)、アーチチョーク葉エキスにはエンドセリン-1抑制作用を有していると考えられます。

ただし、これはin vitro試験であり、化粧品に配合される場合は一般的に1%未満であることが多く、穏やかな抑制作用であると考えられます。

OCA2遺伝子発現抑制による色素沈着抑制作用

OCA2遺伝子発現抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まずOCA2遺伝子について解説しておきます。

OCA2ならびにSLC45A2は、近年ヒトの見た目に関するゲノム関連解析によって肌色の決定に寄与していることが明らかになった遺伝子で、メラニン生合成量にも深く関わっていることが明らかになっています(文献5:2017)

2017年にロート製薬によって報告されたOCA2ならびにSLC45A2発現抑制によるメラニン生合成量の検証および植物エキスによるOCA2発現抑制作用検証によると、

ヒトメラノーマ細胞を用いてOCA2ならびにSLC45A2遺伝子の発現を抑制し、細胞内メラニン含有量を測定したところ、以下のグラフのように、

OCA2ならびにSLC45A2遺伝子発現抑制時のメラニン生合成量

有意にメラニン生合成量が低下することが認められた。

次に植物エキスライブラリを用いてSLC45A2遺伝子発現抑制作用を検証したところ、以下のグラフのように、

アーティチョークエキスの肌色遺伝子発現への影響

アーティチョークエキスに有意なOCA2遺伝子発現抑制作用が認められました。

このような検証結果が明らかになっており(文献5:2017)、アーティチョークエキス(アーチチョーク葉エキス)にOCA2発現抑制によるメラニン生合成量低下作用(色素沈着抑制作用)が認められています。

ただし、試験はin vitroで濃度や期間なども不明であり、一般的に化粧品配合量は1%未満であるため、試験よりも穏やかな抑制作用であると考えられます。

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アーチチョーク葉エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アーチチョーク葉エキスの現時点での安全性は、重大な皮膚刺激またはアレルギーの報告はなく、10年以上の使用実績があるため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

また、アーチチョーク葉エキスの主成分であるシナロピクリンは、キク科アレルギー原因物質であるセスキテルペンラクトン類であり、通常の化粧品原料であればアレルギー原因物質を除去していることも少なくありませんが、シナロピクリンは作用の中心であるため、除去していない可能性も高く、キク科アレルギーの場合は販売メーカーに問い合わせて安全性を確認することを推奨します。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

重大な皮膚刺激またはアレルギーの報告はなく、10年以上の使用実績があるため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

また、アーチチョーク葉エキスの作用の中心であるシナロピクリンは、キク科アレルギー原因物質であるセスキテルペンラクトン類であり、通常の化粧品原料であればアレルギー原因物質を除去していることも少なくありませんが、シナロピクリンは作用の中心であるため、除去していない可能性も高く、キク科アレルギーの場合は販売メーカーに問い合わせて安全性を確認することを推奨します。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アーチチョーク葉エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アーチチョーク葉エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アーチチョーク葉エキスは美白成分、抗炎症成分、抗老化成分、収れん成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 抗炎症成分 抗老化成分 収れん成分

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文献一覧:

  1. 林真一郎(2016)「アーティチョーク」メディカルハーブの事典 改定新版,2-3.
  2. “日経ヘルス online Special”(2008)「アーティチョーク葉エキスが医薬部外品として承認 内外美容の新・美容成分として応用に期待」, <http://sangyo.jp/foodhealth/article/20080930.html> 2018年7月26日アクセス.
  3. “日経ヘルス online Special”(2008)「メラニン合成の促進因子を抑制 肌の光老化を改善するアーティチョーク葉エキス」, <http://sangyo.jp/foodhealth/article/20081104.html> 2018年7月26日アクセス.
  4. “日経ヘルス online”(2008)「アーティチョーク葉エキス」, <http://wol.nikkeibp.co.jp/nh/report/artichoke0808/02.html> 2018年7月26日アクセス.
  5. “ロート製薬株式会社”(2017)「美容施術「IPL治療」による美白作用の新たなメカニズムを発見」, <https://www.rohto.co.jp/news/release/2017/1218_01/> 2018年8月10日アクセス.

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