アスコルビルグルコシドとは…成分効果と毒性を解説

美白成分 抗酸化成分
アスコルビルグルコシド
[化粧品成分表示名称]
・アスコルビルグルコシド

[医薬部外品表示名称]
・L-アスコルビン酸 2-グルコシド

[慣用名]
・アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸2グルコシド、持続型ビタミンC誘導体

1994年に資生堂によって医薬部外品に承認されたアスコルビン酸(ビタミンC)グルコース(糖)を結合させた水溶性ビタミンC誘導体です(文献2:1997)

ビタミンCは、酸化しやすく安定性に欠けて壊れやすいのが難点なのですが、グルコースと結合させることで熱、光に強くなり、酸化されにくく安定性が高くなるため、広く使用されています。

効果はあくまでもアスコルビン酸の効果ですが、開発元の株式会社林原では以下のような研究結果が公開されています。

黒色メラニンの淡色化作用のin vitro試験(∗1)として、黒色反応が終了したメラニンゲルを用いて各種試験物質を添加し、3日後の状態を観察したところ、

∗1 in vitro試験とは、試験管内などの人工的に構成された条件下、つまり各種の実験条件が人為的にコントロールされた環境で行われる試験のことです。

黒色メラニンの淡色化作用

①コントロール(無添加)と③2%アスコルビルグルコシドは変化がありませんでしたが、②アスコルビン酸は淡色化が観察され、④アスコルビルグルコシドにα-グルコシダーゼを添加したものでもアスコルビン酸単体ほどではありませんが、淡色化が観察されました。

また、紫外線による細胞ダメージ抑制作用のin vitro試験として、ヒト皮膚線維芽細胞を1日培養後1mmol/Lのアスコルビルグルコシドを添加または無添加で引き続き1日培養し、その後紫外線(20mL/c㎡)を照射し、2日培養した後、細胞数を計測したところ、

紫外線による細胞ダメージ抑制作用

無添加よりアスコルビルグルコシドを添加したほうがヒト皮膚線維芽細胞のダメージを抑えることが認められました。

線維芽細胞とは、以下の肌図をみてもらうとわかるように、

皮膚の構造と皮膚の主要成分図

表皮の奥の真皮にあるのは、皮膚の張りを保っているコラーゲン、弾力を維持しているエラスチン、強力な保水を行うヒアルロン酸で、これらの成分を産生するのが線維芽細胞なので、線維芽細胞のダメージを抑えるということは真皮の張りや弾力、保水のダメージを抑制するということでもあります。

ヒト線維芽細胞のダメージ抑制のほかにもコラーゲン産生促進作用のin vitro試験として、正常ヒト線維芽細胞にアスコルビルグルコシドを0.05mmol/Lを添加し、3~7日間培養後、総タンパク質量あたりのコラーゲン量(%)を測定したところ、

コラーゲン産生促進作用

無添加の場合は当然ながらコラーゲンを促進しませんが、アスコルビルグルコシドを添加した場合では7日後には3%コラーゲン量が増加しているのが認められました。

ただし、注意してほしいのは、これらの試験結果がすべてin vitro試験であることです。

アスコルビルグルコシドは、もともと哺乳動物の酵素によるビタミンC配糖体に関する研究の過程で発見され、そのメカニズムは、アスコルビン酸をグルコースで包み、表皮でα-グルコシダーゼという分解酵素によって徐々にグルコースが分解されていき、むき出しになったアスコルビン酸が効果を発揮するというものです。

ここで問題となってくるのは、ラットにはα-グルコシダーゼの存在が確認されているため、アスコルビルグルコシドの効果が期待できるのはわかりますし、またin vitro試験ではアスコルビルグルコシドにα-グルコシダーゼを添加すれば効果が表れるのはわかるのですが、ヒトの皮膚にはα-グルコシダーゼの存在がほとんど確認されていないため、アスコルビルグルコシドの効果が発揮されない、またされたとしてもごくわずかではないかということです。

ヒト皮膚での効果が明らかにされていないにもかかわらず、なぜ医薬部外品として認められているのかというと、アスコルビルグルコシドの効果が明らかになったのは前述のとおり、ラットによる研究の過程によるものですが、当時の医薬部外品の承認は現在ほど厳しくはなく、ラットの皮膚で美白効果が明らかになった試験結果でその効果が認められ、ヒト皮膚で効果測定を行わずに医薬部外品に登録されたといういきさつがあります。

現在ではこのような承認はありえませんが、このような経緯でヒトでの美白効果が明らかにされていない医薬部外品の美白成分が現在でも使用され続けているということです。

また、なぜヒトでの美白効果が明らかにされていないにもかかわらず使用され続けているのかというと、必ずしもネガティブな理由ではなく、

  1. 医薬部外品はマーケティングとして強い訴求になるため、アスコルビルグルコシドを配合することで医薬部外品を取得し、美白効果は他の美白成分で設計する
  2. 医薬部外品はマーケティングとして強い訴求になるため、医薬部外品を取得することだけを目的としてアスコルビルグルコシドを配合する
  3. 低価格で安全性の高い「美白化粧品」がつくれる
  4. in vitroでの美白効果を期待して配合している

などの理由が考えられます。

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アスコルビルグルコシドの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アスコルビルグルコシドの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性は刺激性なしまたはわずかな刺激が起こる可能性があるものの、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題ない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

Charkitの安全データシート(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギの無傷の皮膚にアスコルビルグルコシドを単一閉塞パッチ適用したところ、皮膚刺激なし

と記載されています。

試験結果は動物試験ひとつのみなので、根拠としては弱いのですが、皮膚刺激なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Charkitの安全データシート(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼にアスコルビルグルコシド0.1gを点眼したところ、すべてのウサギで結膜の赤化および腫脹、水分排泄が観察されたが、すべての影響は7日以内におさまったため、眼刺激性なしと判断された

と記載されています。

試験結果は動物試験ひとつのみなので、根拠としては弱いのですが、すべてのウサギで数日赤化および腫脹が観察されているため、眼刺激性は刺激性なしまたはわずかな眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Charkitの安全データシート(文献1:2012)によると、

  • 75%濃度のアスコルビルグルコシドで非増感剤であった

と記載されています。

試験結果の詳細は記載されておらず、根拠としては弱いのですが、非増感剤と報告されており、時用実績が長く、また重大なアレルギーの報告もみあたらないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アスコルビルグルコシド 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アスコルビルグルコシドは毒性なし(∗3)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アスコルビン酸グルコシドは美白成分、抗酸化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 抗酸化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Charkit”(2012)「Safety Data Sheet AA2G」, <https://www.charkit.com/downloadfile.aspx?pid=2982&type=sds> 2018年1月23日アクセス.
  2. 江川 麻里子,坂本 哲夫,熊野 可丸(1997)「ビタミンCおよびその誘導体の美白作用」Fragrance Journal(9),28-36.

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