アスコルビルリン酸Naとは…成分効果と毒性を解説

美白成分 抗酸化成分 抗シワ成分
アスコルビルリン酸Na
[化粧品成分表示名称]
・アスコルビルリン酸Na

[医薬部外品表示名称]
・リン酸L-アスコルビルナトリウム

[慣用名]
・APS、安定型ビタミンC誘導体

アスコルビン酸(ビタミンC)にリン酸とナトリウムを結合させて水溶性と安定性を高めた医薬部外品承認の安定型ビタミンC誘導体のひとつです。

効果の似たビタミンC誘導体としてリン酸アスコルビルMgがあり、効果は類似していますが、リン酸アスコルビルMgのほうが安定性が高く、アスコルビルリン酸Naは水溶性をさらに高めており、水溶性基剤に最適です。

アスコルビン酸は、単体では壊れやすく肌に浸透しにくいので効果が期待できないため、ビタミンC誘導体の形にすることで肌に浸透していき、皮膚内でビタミンCに代謝され、メラニンの合成抑制と還元作用の効果を発揮できるようになります。

開発元のひとつであるDSMニュートリションジャパンのin vitro試験よると、メラノサイトに0.14%アスコルビルリン酸Naを添加し、5-6日培養した色素沈着抑制作用を観察したところ、

アスコルビルリン酸Naの色素沈着抑制率

左のグラフは常時で無添加に比べて57%のメラニン抑制、右はUVAを照射した後で無添加に比べて43%のメラニン抑制が認められており、メラノサイトの成長を阻害することなくメラニン量を減少させることも明らかになりました(文献1:2015)

この抑制率はリン酸アスコルビルMgと同等、もしくはそれ以上の抑制率になり、また、ビオチンと併用することで相乗効果も認められています。

さらに、3D皮膚モデルを用いたin vitro色素沈着阻害試験では、13日目の色素沈着度を観察したところ、

ヒト表皮モデルを用いたアスコルビルリン酸Naの相対色素沈着度(13日目)

無添加と比較して色素沈着度は約50%程度に抑制されており、皮膚の明度が高まることが明らかになっています(文献1:2015)

また、アスコルビルリン酸Naを配合したクリームを塗布する美白作用の有効試験では、

  • [ヒト試験] 30~45歳の女性39人に3%アスコルビルリン酸Naを配合したクリームを1日2回、12週間の使用で皮膚の色を均一にし、かつ明るくするという結果がでた
  • [ヒト試験] ビオチンとアスコルビルリン酸Naを5%配合したクリームによるエイジングスポットの色の軽減に関する有効試験では、有意に肌を明るくすることが判明した

と記載されています(文献1:2015)

他にも、抗老化に対する高い抗酸化作用、Ⅰ型およびⅢ型コラーゲンの合成促進作用が確認されており、また紫外線からの皮膚保護作用、臨床試験による皮膚の弾力性改善、カラーリングした毛髪の紫外線による退色からの保護効果などが期待できます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

アスコルビルリン酸Naの配合製品数と配合量の調査結果(2000-2001年)

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アスコルビルリン酸Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アスコルビルリン酸Naの現時点での安全性は、皮膚刺激性は非刺激またはわずかな刺激が起こる可能性があり、眼刺激性もわずかな眼刺激が起こる可能性がありますが、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性の報告はないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of L-Ascorbic Acid, Calcium Ascorbate, Magnesium Ascorbate, Magnesium Ascorbyl Phosphate, Sodium Ascorbate, and Sodium Ascorbyl Phosphate as Used in Cosmetics」(文献2:2005)によると、

  • アスコルビルリン酸Naは現在の使用実践において化粧品成分として安全であることが判明している

オーストラリアの公的機関であるNICNASが公開しているFull Public Report(文献3:2002)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギにアスコルビルリン酸Naを48時間半閉塞パッチ適用し、OECD404テストガイドラインに基づいて24,48および72時間で皮膚反応を評価したところ、一次刺激スコアは0~4のスケールで0.75であり、わずかな刺激剤であると判断された(BASF,1997a)

開発元であるDSMニュートリションの安全データシート(文献4:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECDテストガイドライン404に基づいた皮膚刺激試験を実施したところ、皮膚刺激性なしと結論づけられた。ただし、皮膚に長時間接触すると皮膚刺激を引き起こすことがある

と記載されています。

試験は非刺激またはわずかな刺激ありと記載されているため、皮膚刺激性は非刺激またはわずかな刺激性があると考えられます。

眼刺激性について

オーストラリアの公的機関であるNICNASが公開しているFull Public Report(文献3:2002)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼にアスコルビルリン酸Naを点眼し、処置後24時間後に眼をすすいだ。OECD405テストガイドラインに基づいて72時間観察したところ、48時間でわずかな発赤とケモーシスがみられたが、72時間では正常に戻った。この試験物質はわずかな眼刺激剤であると結論付けられた(BASF,1997b)

開発元であるDSMニュートリションの安全データシート(文献4:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECDテストガイドライン405に基づいた眼刺激評価試験を実施したところ、眼刺激性なしと結論付けられた。ただし、眼に触れると機械的刺激を引き起こすことがある

と記載されています。

試験結果はひとつですが、わずかな眼刺激性が報告されているため、わずかな眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Safety Assessment of L-Ascorbic Acid, Calcium Ascorbate, Magnesium Ascorbate, Magnesium Ascorbyl Phosphate, Sodium Ascorbate, and Sodium Ascorbyl Phosphate as Used in Cosmetics」(文献2:2005)によると、

  • アスコルビルリン酸Naは現在の使用実践において化粧品成分として安全であることが判明している

オーストラリアの公的機関であるNICNASが公開しているFull Public Report(文献3:2002)によると、

  • [動物試験] 23匹のモルモットにアスコルビルリン酸Na水溶液を誘導期間前に5%濃度で皮内注射し、誘導期間およびチャレンジ期間において50%濃度で適用したところ、1回目のチャレンジパッチの24および48時間後に23匹のうち4匹に皮膚反応がみられ、2回目のチャレンジパッチではいずれのモルモットにも皮膚反応はみられなかった。この皮膚反応はこの条件下に限定されたもので感作と関連がないと判断された(BASF,1997c)

開発元であるDSMニュートリションの安全データシート(文献4:2012)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いてOECDテストガイドライン406に基づいた皮膚感作性評価試験を実施したところ、皮膚感作を引き起こさなかった
  • [動物試験] モルモットを用いて光感作性評価試験を実施したところ、光感作剤ではなかった

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚感作性なしと記載されており、また光感作剤ではないと記載されているため、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アスコルビルリン酸Na 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アスコルビルリン酸Naは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アスコルビルリン酸Naは美白成分と抗シワ(抗老化)成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分 抗シワ(抗老化)成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. DSMニュートリション(2015)「安定型ビタミンC誘導体「ステイ-C 50」に期待」C&T(4)(163),p44.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2005)「Final Report of the Safety Assessment of L-Ascorbic Acid, Calcium Ascorbate, Magnesium Ascorbate, Magnesium Ascorbyl Phosphate, Sodium Ascorbate, and Sodium Ascorbyl Phosphate as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/> 2018年1月26日アクセス.
  3. NICNAS(2002)「Full Public Report Sodium Ascorbyl Phosphate」, <https://www.nicnas.gov.au/__data/assets/word_doc/0019/18433/STD1010FR.docx> 2018年1月26日アクセス.
  4. DSMニュートリション(2012)「Safety Data Sheet STAY-C50」, <-> 2018年1月26日アクセス.

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