α-アルブチンとは…成分効果と毒性を解説

美白成分
α-アルブチン
[化粧品成分表示名称]
・α-アルブチン

ハイドロキノンとグルコース(糖)をα結合してつくられるハイドロキノン誘導体(美白剤)です。

一般的に、化粧品表示名および医薬部外品名にアルブチンと記載されているアルブチンは、医薬部外品に承認されている美白剤のβ-アルブチンであり、α-アルブチンは江崎グリコによって開発されたβ-アルブチンの10倍以上のチロシナーゼ活性阻害作用を有するアルブチンですが、医薬部外品には承認されていないため、医薬部外品には使用されません。

基本的なアルブチンの美白の仕組みや効果は、上記のβ-アルブチンのリンクを参照してください。

α-アルブチンはハイドロキノン誘導体ですが、α-アルブチンのチロシナーゼ活性阻害作用は、α-アルブチンが皮膚に浸透していく過程で分解によって遊離したハイドロキノンによるものではなく、α-アルブチン自身によるものであることが明らかになっています。

江崎グリコによってα-アルブチン、コウジ酸、β-アルブチンそれぞれ1%濃度で各20人合計60人の被検者に1日2回1ヶ月間塗布してもらい、1ヶ月後にメラニン生成抑制効果(明度差)を比較したところ、

各美白剤の1ヶ月後のメラニン生成抑制効果比較

α-アルブチンのメラニン抑制効果が最も高く、β-アルブチンとは10倍近い明度差がありました。

また、すべての美白剤で3ヶ月ほど効果が持続していたと報告されています(文献2:2017)

さらに、ヒト皮膚3次元モデルにおけるα-アルブチンの濃度によるメラニン生成抑制比較in vitro試験として、α-アルブチン溶液(500μgのα-アルブチンを0.1mLの純水に溶解)0,125μg,250μgを1日おきに投与し、13日間培養したヒト皮膚モデルのメラニン量を測定した結果、

α-アルブチンのヒト皮膚3次元モデルにおけるメラニン生成抑制効果の比較

α-アルブチンのヒト皮膚3次元モデルにおけるメラニン生成抑制効果の比較

無添加に比べて125μgでは70%、250μgでは40%に抑制されていることが認められた(文献1:2005)

他にも紫外線による日焼けの抑制効果を23人の被検者に紫外線を照射し、クリーム基剤(無添加)、1%α-アルブチンクリーム、2%α-アルブチンクリーム、アスコルビルリン酸Naを1日2回塗布した比較した臨床試験において、

紫外線照射日数による明度差比較試験

14日および21日経過時点で2%α-アルブチンが最も日焼けを抑制しており、濃度が高いほうが抑制効果が高いことが認められた(文献2:2017)

化粧品に配合される場合は、美白化粧品のほかにも日焼け抑制効果があることから、メイクアップ化粧品、日焼け止めなどにも広く使用されます。

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α-アルブチンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

α-アルブチンの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、最小限の眼刺激性が起こる可能性があるものの、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、ヒト皮膚では1%濃度までの安全性データしかなく、2%濃度での安全性データは詳細不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性について

欧州委員会の”Scientific Committee on Consumer Safety”の「OPINION ON α-arbutin」(文献3:2015)によると、

  • [ヒト試験] 20人の健康な女性被検者の前腕の内側に1%α-アルブチン、コウジ酸、β-アルブチンを1日2回30日間適用し、皮膚科医によって評価したところ、すべての試験物質は試験の間十分な耐用性を示し、安全性に問題はなかった
  • [ヒト試験] 20人のボランティアの前腕内側に1%α-アルブチンまたは6%メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールまたは1%α-アルブチンと6%メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールまたはプラセボ製剤のいずれかを含む4種類の製剤を1日1回12週間適用し、加えて日光曝露の20分および40分前に製剤は適用された。評価の結果、皮膚反応は観察されず、試験物質はUV曝露と組み合わせても良好な耐用性を示し、試験期間中にアレルギー反応や偽アレルギー反応を含む皮膚変化は起こらなかった
  • [動物試験] 6匹のモルモットにα-アルブチン水溶液0.1mLを解放パッチで14日間毎日適用し、Draize法に従って評価したところ、14日間毎日1匹のモルモットにおいて紅斑が認められた。最大刺激スコアは0.03であり、この試験物質は14日の反復投与で非刺激性であることを示した

DSMニュートリションの安全性データシート(文献4:2015)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いてOECDテストガイドライン404に従った皮膚刺激性試験の結果、刺激性なしであった。ただし、長時間の皮膚接触は皮膚刺激を引き起こす可能性がある
  • [動物試験] モルモットを用いてOECDテストガイドライン406に従った皮膚感作性試験の結果、この物質は弱い皮膚感作物質であることが示された

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、ヒト試験において共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

ただし、ヒト試験は1%濃度で行われており、2%での安全性に関してはデータ不足により詳細不明となっています。

また、長時間の皮膚接触が皮膚刺激を引き起こす可能性があるという記述がみられるため、注意が必要だと考えられます。

眼刺激性について

欧州委員会の”Scientific Committee on Consumer Safety”の「OPINION ON α-arbutin」(文献3:2015)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼で10%α-アルブチン溶液の眼刺激性を評価したところ、最小限の眼刺激性であった

DSMニュートリションの安全性データシート(文献4:2015)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いてOECDテストガイドライン405に従った眼刺激性試験の結果、わずかな眼刺激性がある

と記載されています。

試験結果はひとつですが、10%濃度まで眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
α-アルブチン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、α-アルブチンは毒性なし(∗2)となっており、安全性データをみる限り、安全性に問題ないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

α-アルブチンは美白成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 杉本 和久, Heidi Moser, 西村 隆久(2005)「ハイドロキノン配糖体のチロシナーゼ阻害効果および
    α-アルブチンのメラニン生成抑制効果」Fragrance Journal(33)(5),p60-66.
  2. “グリコ栄養食品株式会社”(2017)「α-アルブチン」, <https://www.glico.com/nutrition/product/finechemical/arbutin/> 2018年2月3日アクセス.
  3. “Scientific Committee on Consumer Safety”(2015)「OPINION ON α-arbutin」, <https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_169.pdf> 2018年2月3日アクセス.
  4. DSMニュートリション(2015)「Safety Data Sheet」, <https://www.lotioncrafter.com/reference/sds_alpha_arbutin.pdf> 2018年2月3日アクセス.

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