メントールとは…成分効果と毒性を解説

冷感
メントール
[化粧品成分表示名称]
・メントール

[医薬部外品表示名称]
・l-メントール
・dl-メントール(旧称)

シソ科植物ハッカに多く含まれる成分で、ペパーミント油やハッカ油の主成分であり、ハッカ臭の芳香と清涼感がある無色柱状もしくは針状の結晶または白色の結晶性の粉末です。

清涼感が強い成分で、約26℃で冷たいという信号を発する冷刺激受容体に作用して、より高い温度でも冷たく感じさせ、成分が肌の上にある間は効果が持続します。

化粧品に配合される場合は、清涼感目的で洗顔製品、シャンプー、ボディソープ、シートパック、デオドランド、制汗剤、リップ、日焼け止めなどに使用されたり、引き締め効果が期待できるアストリンゼントローションなどに使い効果実感を促進させたり、鎮静効果、細胞賦活効果や配合成分の浸透促進効果もあるため、頭皮ケア、育毛化粧品にも使われます。

昇華性(∗1)があるため、メントールをシクロデキストリンで包み込み、徐々にメントールを放出させることでメントールの効果を長時間持続させるシクロカプセル化メントールが広く使用されています。

∗1 昇華性とは、液体を経ずに固体から気体へ相転移する現象のことです。

成分表示一覧でメントールより後ろにシクロデキストリンが表示されていればシクロカプセル化メントールを採用している可能性が高いです。

また、医薬品として筋肉痛や捻挫などの症状を緩和する配合剤やかゆみ止め鎮痒薬、うがい薬としても広く使用されています。

メントールは医薬品成分のため配合上限があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 7.0g/100g
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 7.0g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 1.0g/100g

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メントールの安全性(刺激性・アレルギー)について

メントールの現時点での安全性は、5%を目安に濃度が高くなるほど皮膚刺激(燃焼感覚)が起こる可能性が高くなり、濃度が低くなるほど皮膚刺激が起こる可能性が低くなります。

眼刺激性に関してはデータ不足のため詳細不明ですが、健康な皮膚の場合はアレルギー(皮膚感作)もほとんど起こらないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、アレルギーおよびアレルギー性皮膚炎を有している方は、まれに皮膚感作(アレルギー)が起こる可能性があるので注意してください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの「Final Report on the Safety Assessment of Mentha Piperita (Peppermint) Oil, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Extract, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf, and Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Water」(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] 5%および10%メントールは強い燃焼感覚を生じ、刺激性が示された。メントールは冷刺激受容体を刺激するだけでなく、その後に血管拡張性ペプチドを放出する侵害受容器を刺激することが示唆された。局所的に適用された成分や薬物の浸透率の増加は、血管拡張とメントールの親油性の組み合わせによってもたらされた可能性がある
  • [動物試験] ウサギの無傷および擦過した皮膚へ8%および10%メントールを含むタイガーバーム製剤を23時間閉塞パッチ下で合計21回適用し、Draize法に基づいて刺激性を評価したところ、8%メントールはウサギにほとんど無害であったが、10%ではわずかに刺激が認められた。皮膚を顕微鏡検査したところ、重度の損傷は認められず、毒性の兆候も認められなかった(Guppy, Lowes, and Walker,1982)

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2014)によると、

  • [動物試験] 未希釈のメントールをウサギに適用した試験 (OECD TG 404準拠) で、紅斑と浮腫の平均スコアがそれぞれ3.0、2.9で、適用後14日で回復がみられたとの報告があることから (SIDS,2004) 、区分2(軽度~中等の皮膚刺激)とした

と記載されています。

試験結果をみるかぎりでは、5%以上の濃度で皮膚刺激がみられますが、メントールの刺激性は清涼感による燃焼感覚がほとんどで、配合量が少なければ少ないほど刺激性もなくなるため、配合量に比例して刺激性が増え、5%以上では清涼感による燃焼感覚の刺激性を感じる可能性があり、5%以下では刺激性が低くなると考えられます。

眼刺激性について

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2014)によると、

  • [動物試験] 29%メントールと64%フタル酸ジエチル溶液による2つの眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、中等度の刺激性と評価されている(SIDS,2004)。29%メントールと64%溶液の平均スコアは29%溶液で角膜混濁0.2、結膜発赤0.6、結膜浮腫0.1、64%溶液で角膜混濁1.0、結膜発赤2.0、結膜浮腫0.6であり、64%溶液で全ての所見が7日以内に回復した。また、SIDS (2004) には未希釈の液体のメントール (異性体の種類不明) において軽度の刺激性を示したとの報告がある。以上の結果に基づき、区分2Bとした

と記載されています。

現時点で試験に用いられているメントールはすべて濃度が高く、参考になるとはいえないため、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの「Final Report on the Safety Assessment of Mentha Piperita (Peppermint) Oil, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Extract, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf, and Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Water」(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] アレルギー性接触皮膚炎を患う3人の患者にペパーミントオイルの個々の成分をパッチテストしたところ、メントールがアレルゲンであったことが明らかになった(Saito and Oka,1990)
  • [ヒト試験] アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息性皮膚炎および湿疹を患う877人の患者に5%メントールを含むパラフィンをパッチテストしたところ、96時間以内に患者の1%において皮膚反応が認められた(Rudzki and Kleniewska,1970)

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献2:2014)によると、

  • [動物試験] SIDS (2004) には、ビューラー試験、LLNA試験、改変ドレイズ試験の結果が記載されている。ビューラー試験 (OECD TG 406準拠) では10匹の全ての動物に対し陰性である。1群あたり6-8匹の動物を用いたLLNA試験では陰性の結果が得られている。改変ドレイズ試験では再惹起、感作のみ陽性で不明瞭な結果としている。SIDS (2004) ではこれらの結果に基づき、本物質は感作性なしと評価していることから区分外(皮膚感作性なし)とした

と記載されています。

動物試験の結果では、共通して皮膚感作性なしとなっているため、健康な皮膚において皮膚感作(アレルギー)はほとんど起こらないと考えられます。

ただし、ヒト試験をみるかぎり、アレルギーおよびアレルギー性皮膚炎を有する方はまれに皮膚感作反応(アレルギー)が起こる可能性があるので注意が必要です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
メントール

参考までに化粧品毒性判定事典によると、メントールは△(∗3)となっており、毒性に関してはほとんどないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

メントールは温冷感成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:温冷感成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Mentha Piperita (Peppermint) Oil, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Extract, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf, and Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Water」International Journal of Toxicology(20)(3_Suppl),61-73.
  2. “職場のあんぜんサイト”(2014)「安全データシート (1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-オール」,<http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/2216-51-5.html> 2017年11月28日アクセス.

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