ハッカ油とは…成分効果と毒性を解説

冷感
ハッカ油
[化粧品成分表示名称]
・ハッカ油(改正名称)
・セイヨウハッカ油(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・ハッカ油

シソ科植物ハッカ、またはその同属植物を水蒸気蒸留して得られる精油です。

株式会社北見ハッカ通商が公開している成分組成は、

  • メントール:65~85%
  • メントン:18~31%
  • リモネン:1~5%
  • αピネン、βピネン:0.5~2%
  • 3‐オクタノール:1%
  • d-イソメントン:1~11%
  • d-ネオメントール:4~6%
  • ピペリトン:1%
  • d-プレゴン:1~11%

となっており(文献1:2011)、成分の大部分をメントールが占めています。

ハッカ油は、セイヨウハッカや和ハッカなど複数の種類があり、種類によって成分組成の構成成分や成分比率が異なりますが、化粧品成分表示としては共通して「ハッカ油」と表示されるため、種類については製品ページに情報が掲載されていたり、各製品販売会社に問い合わせて回答を得ない限り基本的には不明です。

ただし、ハッカ油は共通してメントールが主要成分であり、基本的に化粧品においてはメントールの作用となります。

メントールは、清涼感の強い成分で、約26℃で冷たいという信号を発する冷刺激受容体に作用して、より高い温度でも冷たく感じさせ、成分が肌の上にある間は効果が持続します。

化粧品に配合される場合は、清涼効果があるので感触的にスッキリした化粧品に使用されたり、また頭皮用では、清涼感や抗菌によるかゆみ防止目的でシャンプーやヘアローションなどに使用されます。

清涼感目的の場合は、清涼感を調整するためにエタノールやメントールなど他の清涼成分と組み合わせて使用されることも多いです。

医薬部外品の化粧品に配合される場合は、日本薬局方の規格において以下のような配合範囲となっています。

化粧水 0.4%

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ハッカ油の安全性(刺激性・アレルギー)について

ハッカ油の現時点での安全性は、化粧品に配合されている場合のほとんどは1%未満であり、健常な皮膚において皮膚刺激(燃焼感覚)はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足で詳細不明ですが、重大な皮膚感作(アレルギー)もほとんど報告がないため、安全性に問題ない成分であると考えられます。

ただし、皮膚バリア機能が低下している場合または皮膚炎や湿疹を有している場合は皮膚刺激が起こる可能性があり、まれに皮膚感作が起こる可能性があるため、注意が必要な成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

また、ハッカ油そのものの安全データだけでなく、メントールの安全データも根拠のひとつとしています。

皮膚刺激性について

-メントール-

Cosmetic Ingredient Reviewの「Final Report on the Safety Assessment of Mentha Piperita (Peppermint) Oil, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Extract, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf, and Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Water」(文献2:2001)によると、

  • [ヒト試験] 5%および10%メントールは強い燃焼感覚を生じ、刺激性が示された。メントールは冷刺激受容体を刺激するだけでなく、その後に血管拡張性ペプチドを放出する侵害受容器を刺激することが示唆された。局所的に適用された成分や薬物の浸透率の増加は、血管拡張とメントールの親油性の組み合わせによってもたらされた可能性がある
  • [動物試験] ウサギの無傷および擦過した皮膚へ8%および10%メントールを含むタイガーバーム製剤を23時間閉塞パッチ下で合計21回適用し、Draize法に基づいて刺激性を評価したところ、8%メントールはウサギにほとんど無害であったが、10%ではわずかに刺激が認められた。皮膚を顕微鏡検査したところ、重度の損傷は認められず、毒性の兆候も認められなかった(Guppy, Lowes, and Walker,1982)

-ハッカ油-

健栄製薬株式会社の安全データシート(文献3:2016)によると、

  • 区分2(中等の皮膚刺激性)

と記載されています。

試験結果をみるかぎりでは、5%以上の濃度のメントールで皮膚刺激がみられますが、メントールの刺激性は清涼感による燃焼感覚がほとんどで、配合量が少なければ少ないほど刺激性もなくなり、ハッカ油に含まれるメントールを50%とすると化粧品においてハッカ油を10%配合することで皮膚刺激に値すると考えられますが、化粧品へのハッカ油の配合はほとんどの場合1%未満であるため、化粧品に配合される場合は1%未満であるため、健常な皮膚では皮膚刺激はほとんど起こらないと考えられますが、バリア機能が低下している場合または皮膚炎などを有している場合は1%未満でも皮膚刺激が起こる可能性があると考えられます。

健栄製薬株式会社の安全データシートでは中等の皮膚刺激性があると記載されていますが、この安全データシートは健栄製薬株式会社のハッカ油(濃度100%、メントール30%以上)の製品のものであり、製品としてのハッカ油(100%)を1%濃度以上の割合で配合する場合は健常な皮膚でも皮膚刺激が起こると可能性があり、その可能性は濃度依存的に高くなると考えられます。

眼刺激性について

-ハッカ油-

健栄製薬株式会社の安全データシート(文献3:2016)によると、

  • 区分2A(中等~重大な眼刺激性)

と記載されています。

現時点で安全データに記載されているメントールおよびハッカ油はすべて濃度が高く、参考になるとはいえないため、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

-メントール-

Cosmetic Ingredient Reviewの「Final Report on the Safety Assessment of Mentha Piperita (Peppermint) Oil, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Extract, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf, and Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Water」(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] アレルギー性接触皮膚炎を患う3人の患者にペパーミントオイルの個々の成分をパッチテストしたところ、メントールがアレルゲンであったことが明らかになった(Saito and Oka,1990)
  • [ヒト試験] アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息性皮膚炎および湿疹を患う877人の患者に5%メントールを含むパラフィンをパッチテストしたところ、96時間以内に患者の1%において皮膚反応が認められた(Rudzki and Kleniewska,1970)
  • [動物試験] SIDS (2004) には、ビューラー試験、LLNA試験、改変ドレイズ試験の結果が記載されている。ビューラー試験 (OECD TG 406準拠) では10匹の全ての動物に対し陰性である。1群あたり6-8匹の動物を用いたLLNA試験では陰性の結果が得られている。改変ドレイズ試験では再惹起、感作のみ陽性で不明瞭な結果としている。SIDS (2004) ではこれらの結果に基づき、本物質は感作性なしと評価していることから区分外(皮膚感作性なし)とした

-ハッカ油-

健栄製薬株式会社の安全データシート(文献3:2016)によると、

  • 区分1(重大な皮膚感作性)

と記載されています。

メントールの動物試験の結果では、共通して皮膚感作性なしとなっていますが、ヒト試験をみるかぎり、アレルギーおよびアレルギー性皮膚炎を有する方は、まれに皮膚感作反応(アレルギー)が起こる可能性が報告されており、皮膚感作(アレルギー)が起こる可能性があると考えられます。

健栄製薬株式会社の安全データシートでは重大な皮膚感作性があると記載されていますが、この安全データシートは健栄製薬株式会社のハッカ油(濃度100%、メントール30%以上)の製品のものであり、化粧品に配合されている場合(1%未満)においては、ごくまれにかぶれや接触性皮膚炎の症状が起こる可能性はありますが、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告があるわけではないため、皮膚感作(アレルギー)はごくまれに起こる可能性があり、とくにアレルギー性皮膚炎を有する場合は注意が必要だと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ハッカ油

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ハッカ油は△(∗2)となっており、化粧品に配合される場合は安全性に問題ないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ハッカ油は温冷感成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:温冷感成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 株式会社北見ハッカ通商(2011)「ハッカ成分」,<http://www.hakka.be/knowledge/component.html> 2018年3月21日アクセス.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Mentha Piperita (Peppermint) Oil, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Extract, Mentha Piperita (Peppermint) Leaf, and Mentha Piperita (Peppermint) Leaf Water」International Journal of Toxicology(20)(3_Suppl),61-73.
  3. 健栄製薬株式会社(2016)「安全データシート」,<http://www.kenei-pharm.com/cms/wp-content/uploads/2017/07/fe512ae70b8384e6a8d52bec3857f0d4.pdf> 2018年3月21日アクセス.

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