アルギン酸の基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | アルギン酸 |
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INCI名 | Alginic Acid |
配合目的 | 増粘、結合 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
種々の褐藻(学名:Phaeophyceae)からアルカリ抽出により得られる海藻抽出物であり、以下の化学式で表されるD-マンヌロン酸のみが直鎖状に1,4結合した部分、L-グルロン酸のみが直鎖状に1,4結合した部分および両者が直鎖状に1,4結合した部分の繰り返し単位で構成された3種のブロックから成るグリクロノグリカン(複合多糖)かつ海藻系水溶性高分子です[1a][2a][3]。
1.2. 分布
アルギン酸は、自然界においてコンブ、ワカメ、アラメなどの褐藻(学名:Phaeophyceae)の細胞膜にカルシウム塩として存在しています[2b]。
1.3. 化粧品以外の主な用途
アルギン酸の化粧品以外の主な用途としては、
分野 | 用途 |
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食品 | 増粘性や保水性に優れ、デンプンの老化防止効果があるため、主に麺類、パン類の改質改良に使用されるほか、安定化目的でアイスクリームに、増粘目的でジャム、デザート類に用いられています[4]。 |
医薬品 | 賦形、崩壊・崩壊補助、結合、持続化目的の医薬品添加剤として経口剤、眼科用剤などに用いられています[5]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
- 親水性増粘
- 結合
主にこれらの目的で、メイクアップ製品、化粧下地製品、スキンケア製品、クレンジング製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 親水性増粘
親水性増粘に関しては、アルギン酸はそのままでは水に溶けず、水中に分散したアルギン酸にアルカリを加えることで徐々に膨潤をはじめ、中和することで溶解して粘性を示すことから、粘度を調整する目的でごくまれに使用されますが、多くの場合は水溶性のアルギン酸Naが使用されます[1b][6]。
2.2. 結合
結合に関しては、アルギン酸は粉体原料同士を皿状容器に圧縮成型するとき、粉体原料同士のくっつきをよくしたり、使用時に粉が周囲に飛び散るのを防ぐ目的で主にプレストパウダーなどに用いられます[1c]。
3. 配合製品数および配合量範囲
配合製品数および配合量に関しては、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗1)。
∗1 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
4. 安全性評価
- 食品添加物の既存添加物リストに収載
- 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
- 40年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
食品添加物の既存添加物リストおよび医薬品添加物規格2018に収載されており、40年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
4.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。