ポリアクリル酸Naの基本情報・配合目的・安全性

ポリアクリル酸Na

化粧品表示名称 ポリアクリル酸Na
医薬部外品表示名称 ポリアクリル酸ナトリウム
医薬部外品表示名称(簡略名) ポリアクリル酸Na
化粧品国際的表示名称(INCI名) Sodium Polyacrylate
配合目的 増粘 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表されるアクリル酸重合体(∗1)のナトリウム塩です[1a]

∗1 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指します。

ポリアクリル酸Na

1.2. 物性

ポリアクリル酸Naは、吸湿性が極めて強く、水を加えると徐々に膨潤し、透明なゲルを経て均一な粘稠溶液となります[2a]

1.3. 歴史

国内において1980年頃までは布おむつの使用がほとんどでしたが、1983年に日本触媒によって上市された高吸水性かつ安価なポリマーであるポリアクリル酸ナトリウムが紙おむつの原料として用いられるようになったことで、国内市場において紙おむつの普及が進み、同時に紙おむつの普及が進んでいた欧米市場でも高吸水性ポリマーの使用が増えていった経緯があり、紙おむつ普及のきっかけとなった原料として知られています[3a]

また、現在は紙おむつの用途にとどまらず、農園芸のための保水剤、食品保冷剤、ペット用吸尿剤などをはじめ[3b]、医薬品や食品、化粧品など幅広く用いられています。

1.4. 化粧品以外の主な用途

ポリアクリル酸Naの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
食品 増粘安定剤や品質改良剤として食品に用いられています[4]
医薬品 賦形、湿潤調整、粘稠、粘着・粘着増強、基剤目的の医薬品添加剤として経口剤、外用剤、歯科外用剤および口中用剤などに用いられています[5]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 親水性増粘

主にこれらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、シート&マスク製品、入浴剤などに汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 親水性増粘

親水性増粘に関しては、ポリアクリル酸Naは吸湿性が強く、またその水溶液は粘性が高く、アルカリ領域(pH9-11)で粘度が増大することから、粘度を調整し粘度あるいは製品の乳化安定性を保つ目的で様々な製品に使用されています[1b][2b][6]

3. 配合製品数および配合量範囲

配合製品数および配合量に関しては、海外の1998年および2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗2)

∗2 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ポリアクリル酸Naの配合製品数と配合量の調査結果(1998年および2018年)

4. 安全性評価

ポリアクリル酸Naの現時点での安全性は、

  • 食品添加物の指定添加物リストに収載
  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[7a]によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者の片腕に未希釈のポリアクリル酸Naを塗布した綿布を貼り付け、アルミニウムで覆い48時間保持し、パッチ除去後に試験部位の皮膚反応を評価した。2週間後に反対の腕で同様の手順を繰り返したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作は観察されなかった(Finnegan & Dienna,1953)

このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[7b]によると、

  • [動物試験] 5匹のウサギの片眼の結膜嚢に最大2%までポリアクリル酸Naを点眼し、1時間後に浮腫、後半および分泌物の増加を評価したところ、5匹のうち3匹またはそれ以上で眼刺激を生じなかった(Finnegan & Dienna,1953)

このように記載されており、試験データをみるかぎり濃度2%以下においてほぼ眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「ポリアクリル酸Na」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,897.
  2. ab日光ケミカルズ株式会社(2016)「合成水溶性高分子」パーソナルケアハンドブックⅠ,121-127.
  3. ab富田 純一(2005)「高吸水性ポリマーの製品開発と評価技術」赤門マネジメント・レビュー(4)(10),495-514. DOI:10.14955/amr.041002.
  4. 樋口 彰, 他(2019)「ポリアクリル酸ナトリウム」食品添加物事典 新訂第二版,335.
  5. 日本医薬品添加剤協会(2021)「ポリアクリル酸ナトリウム」医薬品添加物事典2021,560.
  6. 田村 健夫・廣田 博(2001)「合成高分子化合物」香粧品科学 理論と実際 第4版,151-153.
  7. abM.Z. Fiume(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Acrylates Copolymer and 33 Related Cosmetic Ingredients」International Journal of Toxicology(21)(3_Suppl),1-50. DOI:10.1080/10915810290169800.

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