カルボマーNaの基本情報・配合目的・安全性

化粧品表示名称 カルボマーNa
化粧品国際的表示名称(INCI名) Sodium Carbomer
配合目的 増粘 など

1. 基本情報

1.1. 定義

カルボマーのナトリウム塩です[1]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 親水性増粘

主にこれらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、ヘアスタイリング製品、クレンジング製品、メイクアップ化粧品、洗顔料などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 親水性増粘

親水性増粘に関しては、カルボマーは濃度1%水溶液のpHが3.0の酸性であり、これを苛性アルカリまたはアルカノールアミンなどで中和(∗1)することでサラッとした感触の高粘度溶液が得られることから、水溶性増粘剤として広く使用されています[2][3a][4]

∗1 苛性アルカリとしては水酸化Na水酸化Kなどが、アルカノールアミンとしてはTEAAMPなどがよく使用されています。

水溶性高分子の中ではとくに増粘効果に優れており、また経時的な変質および温度による粘度変化が少なく、さらにチキソトロピー性(∗2)が高く、分散安定性に優れているといった特徴を備えています[3b]

∗2 チキソトロピー性とは、混ぜたり振ったり、力を加えることで粘度が下がり、また時間の経過とともに元の粘度に戻る現象をいいます。よく例に出されるのはペンキで、ペンキは塗る前によくかき混ぜることで粘度が下がり、はけなどで塗りやすくなります。そしてペンキは塗られた直後に粘度が上がり(元に戻り)、垂れずに乾燥します。

化粧品表示名称「カルボマーNa」は、カルボマーとアルカリ剤である水酸化Naの反応後の成分名として統合している場合の表示名称です(∗3)[5]

∗3 カルボマーと水酸化Naを中和反応させた場合の表示名称として「カルボマー」「水酸化Na」と別々に表示する場合と「カルボマーNa」のように統合して表示する場合があります。

3. 配合製品数および配合量範囲

配合製品数および配合量に関しては、海外の2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗4)

∗4 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

カルボマーNaの配合製品数と配合量の調査結果(2018年)

4. 安全性評価

カルボマーNaの現時点での安全性は、

  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性(光刺激性):ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

カルボマーNaとしての皮膚刺激性および皮膚感作性に関する評価報告はみあたりませんが、カルボマーは40年以上の使用実績がある中で皮膚刺激および皮膚感作はほとんどないと報告されていることから[6a]、中和反応後の表示名称であるカルボマーNaにおいても化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

カルボマーNaとしての眼刺激性に関する評価報告はみあたりませんが、カルボマーは40年以上の使用実績がある中で眼刺激は最小限と報告されていることから[6b]、中和反応後の表示名称であるカルボマーNaにおいても化粧品配合量および通常使用下において、一般に眼刺激性(アレルギー性)は非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

4.3. 光毒性(光刺激性)および光感作性

カルボマーNaとしての光毒性および光感作性に関する評価報告はみあたりませんが、カルボマーは40年以上の使用実績がある中で光刺激および光感作はほとんどないと報告されていることから[6c]、中和反応後の表示名称であるカルボマーNaにおいても化粧品配合量および通常使用下において、一般に光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

5. 参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「カルボマーNa」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,328.
  2. 日本化粧品工業連合会(2013)「カルボマー」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,327-328.
  3. ab日光ケミカルズ株式会社(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブックⅠ,106-134.
  4. 田村 健夫・廣田 博(2001)「高分子化合物」香粧品科学 理論と実際 第4版,147-153.
  5. 宇山 侊男, 他(2020)「カルボマー類」化粧品成分ガイド 第7版,205-206.
  6. abcR.L. Elder(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Carbomers-934, -910, -934P, -940, -941, and -962」Journal of the American College of Toxicology(1)(2),109-141. DOI:10.3109/10915818209013151.

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