塩化Naの基本情報・配合目的・安全性

塩化Na

化粧品表示名 塩化Na
医薬部外品表示名 塩化ナトリウム
部外品表示簡略名 塩化Na
INCI名 Sodium Chloride
配合目的 増粘研磨・スクラブ、保温 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表されるナトリウム(元素記号:Na)の塩化物です[1a]

塩化Na

1.2. 物性・性状

塩化Naの物性・性状は、

状態 結晶
溶解性 水、グリセリンに可溶、エタノールに難溶

このように報告されています[2a]

1.3. 分布

塩化Naは、自然界において岩塩(英名:halite)および海水に主成分として含まれています[2b]

また、温泉の一種であるナトリウム-塩化物泉(旧称:食塩泉)の主成分として存在しており、日本では単純温泉についで多く、総源泉数の約30%を占めています[3a]

1.4. 化粧品以外の主な用途

塩化Naの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
医薬品 体内の水分・電解質の不足に応じて電解質輸液の電解質補正に用いられています[4]。また無機塩類は涙に近い組成を補給し、涙液不足による目の疲れや角膜の炎症を改善することから、点眼薬に用いられています[5]。さらに安定・安定化、可溶・可溶化、緩衝、矯味、懸濁・懸濁化、等張化、溶剤、高比重化目的の医薬品添加剤として経口剤、各種注射、外用剤、耳鼻科用剤、歯科外用剤および口中用剤などに用いられます[6]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 親水性増粘
  • 研磨・スクラブ
  • 保温作用

主にこれらの目的で、シャンプー製品、メイクアップ製品、化粧下地製品、コンシーラー製品、スキンケア製品、洗顔料、ボディソープ製品、ボディスクラブ製品、ハンドケア製品、入浴剤など様々な製品に汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 親水性増粘

親水性増粘に関しては、塩化Naは電解質無機塩であり、一定量までは添加量に比例して増粘することから、粘度を調整する目的で主にメイクアップ製品、化粧下地製品、スキンケア製品、シャンプー製品、洗顔料、ボディソープ製品、ハンドケア製品など様々な製品に汎用されています[1b][7]

2.2. 研磨・スクラブ

研磨・スクラブに関しては、塩化Naは海塩の主成分の結晶であり、その硬い結晶構造が他のスクラブ剤よりも刺激が強く、それゆえ物理的に古い角質を除去する効果に優れることから、塩スクラブ剤としてボディスクラブ製品に使用されています。

2.3. 保温作用

保温作用に関しては、昔から食塩泉や温めた海水に入浴した後にかなり長い間からだの芯からの温もりが続き、保温効果が大きいことが経験的に知られており、この保温効果の発現メカニズムは皮膚表面に存在する皮脂やタンパク質などが浴水中の電解質イオンと反応して「錯塩(さくえん)」をつくり、錯塩が皮膚表面に被膜となって覆うことで皮膚表面からの水蒸気の蒸発が妨げられ、体内部からの体温の放散が抑えられるといったものであることが明らかにされています[3b]

このような背景から、主に保温目的でバスソルトや入浴剤に使用されています。

3. 安全性評価

塩化Naの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

日本薬局方および医薬部外品原料規格2021に収載されており、30年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

3.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

4. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「塩化Na」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,234.
  2. ab大木 道則, 他(1989)「塩化ナトリウム」化学大辞典,320-321.
  3. ab阿岸 祐幸(2012)「ナトリウム-塩化物泉(旧食塩泉)」温泉の百科事典,299-301.
  4. 浦部 晶夫, 他(2021)「塩化ナトリウム」今日の治療薬2021:解説と便覧,534.
  5. 折井 孝男・田邉 直人(2021)「眼科用薬」今日のOTC薬 改訂第5版:解説と便覧,428-459.
  6. 日本医薬品添加剤協会(2021)「塩化ナトリウム」医薬品添加物事典2021,90-92.
  7. 河野 隆行・橋本 茂(1992)「シャンプーに用いられる添加剤」最新化粧品科学 改訂増補(2),185-192.

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