ラウリン酸PEG-2の基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | ラウリン酸PEG-2 |
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医薬部外品表示名 | ラウリン酸ジエチレングリコール |
部外品表示簡略名 | ラウリン酸ジグリコール |
INCI名 | PEG-2 Laurate |
配合目的 | 増粘 |
1. 基本情報
1.1. 定義
以下の化学式で表されるラウリン酸のヒドロキシ基(-OH)に酸化エチレン(2モル)をエステル結合して得られるエステルです[1]。
∗1 モノエステルとは分子内に1基のエステル結合をもつエステルであり、通常はギリシャ語で「1」を意味する「モノ(mono)」が省略され「エステル結合」や「エステル」とだけ記載されます。2基のエステル結合の場合はギリシャ語で「2」を意味する「ジ(di)」をつけてジエステルと記載されます。
1.2. 物性・性状
ラウリン酸PEG-2の物性・性状は(∗2)、
∗2 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。
状態 | 無色-淡黄色の液体 |
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融点(℃) | 17-18 |
このように報告されています[2]。
2. 化粧品としての配合目的
- 増粘
主にこれらの目的で、シャンプー製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 増粘
増粘に関しては、ラウリン酸PEG-2は液体洗浄剤に対して優れた増粘を示すことから、粘度の調整目的でシャンプー製品に使用されています[3]。
3. 安全性評価
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 15年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
- 皮膚感作性(皮膚炎を有する場合):詳細不明
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
ただし、試験データはないものの、構造的に関連する成分を考慮した際に損傷した皮膚を有する場合において皮膚感作の懸念が払拭されていないことから、皮膚損傷や皮膚炎などを有する場合においては注意が必要である可能性があると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
医薬部外品原料規格2021に収載されており、15年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量(濃度25%以下)および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
ただし、試験データはないものの、構造的に関連する成分を考慮した際に損傷した皮膚を有する場合において皮膚感作の懸念が払拭されていないことから[4]、皮膚損傷や皮膚炎などを有する場合における皮膚感作性に関するヒト試験データが必要であると考えられます。
3.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。
4. 参考文献
- ⌃日本化粧品工業連合会(2013)「ラウリン酸PEG-2」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,1030.
- ⌃日光ケミカルズ株式会社, 他(1991)「ラウリン酸ジエチレングリコール」化粧品原料辞典,506.
- ⌃Clariant International Ltd.(2010)「Genapol DEL」Personal Care Catalog,27-28.
- ⌃Cosmetic Ingredient Review Expert Panel(2000)「Final Report on the Safety Assessment of PEG (Polyethylene Glycol)-2, -4, -6, -8, -12, -20, -32, -75, and -150 Dilaurate; PEG-2, -4, -6, -8, -9, -10, -12, -14, -20, -32, -75, -150, and -200 Laurate; and PEG-2 Laurate SE(∗3)」International Journal of Toxicology(19)(2_suppl),29-41.
∗3 PCPCのアカウントをもっていない場合はCIRをクリックし、表示されたページ中のアルファベットをどれかひとつクリックすれば、あとはアカウントなしでも上記レポートをクリックしてダウンロードが可能になります。