ペクチンの基本情報・配合目的・安全性

ペクチン

化粧品表示名称 ペクチン
医薬部外品表示名称 ペクチン
化粧品国際的表示名称(INCI名) Pectin
配合目的 増粘 など

1. 基本情報

1.1. 定義

主にバラ科植物リンゴ(学名:Malus pumila 英名:Apple)の果実の細胞膜から得られる果実粘質物であり、以下の化学式で表されるD-ガラクツロン酸が直鎖状にα-1,4結合したガラクツロナン(複合多糖)かつ植物系水溶性高分子です[1a][2]

ペクチン

1.2. 分布

ペクチンは、自然界において柑橘類(学名:Citreae)やリンゴ(学名:Malus pumila)の果実やニンジン(学名:Daucus carota subsp. sativus)など野菜の細胞膜構成成分として存在しています[3a]

1.3. 化粧品以外の主な用途

ペクチンの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
食品 増粘安定目的でゼリー、ジャム、デザート類などに広く用いられるほか、酸性域において酸乳粒子を安定化させることから安定目的で酸性乳飲料に用いられます[4][5a]
医薬品 基剤、結合、懸濁・懸濁化、乳化、粘着、賦形目的の医薬品添加剤として経口剤、外用剤、歯科外用および口中用剤などに用いられています[6]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 親水性増粘およびゲル化

主にこれらの目的で、スキンケア化粧品、ピーリング系製品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、マスク製品などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 親水性増粘およびゲル化

親水性増粘およびゲル化に関しては、ペクチンは液性は酸性であり、化学構造的にガラクツロン酸のメチルエステル化の度合いによって、メトキシ基(CH3O-)7%以上のHMペクチンとメトキシ基(CH3O-)7%以下のLMペクチンに分類され(∗1)、それぞれ以下の表のように、

∗1 「HM」と「LM」はそれぞれ「High Methoxy」「Low Methoxy」の略称であり、HMペクチンは高メトキシペクチン、LMペクチンは低メトキシペクチンともいいます。

項目 HMペクチン LMペクチン
ゲル化因子 糖度60-80%、pH2.6-3.3 2価金属イオン(Ca++
ゲル化性 弾力のあるゲルを形成 柔らかいゲルを形成

ゲル化性を示すことから[3b][5b][7]、ゲル化や乳化安定目的で主に酸性製品やピーリング系製品などに用いられています[1b]

増粘に関しては、ペクチン溶液は他の植物性多糖類と比較すると粘度が低く、一般に増粘剤としての用途は少ないですが[5c]、ゲル化されていない製品に配合されている場合は粘度調整や乳化補助として配合されている可能性が考えられます。

3. 混合原料としての配合目的

ペクチンは、混合原料が開発されており、ペクチンと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 UniqSens SFE System
構成成分 ペクチンキサンタンガムカラギーナン
特徴 ペクチンの親油基が微細分散した油滴表面に結合し(乳化系を形成)、キサンタンガムおよびカラギーナンが乳化安定剤として機能する、天然乳化剤

4. 配合製品数および配合量範囲

配合製品数および配合量に関しては、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗2)

∗2 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ペクチンの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2015年)

5. 安全性評価

ペクチンの現時点での安全性は、

  • 食品添加物の既存添加物リストに収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

5.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

食品添加物の既存添加物リストおよび医薬部外品原料規格2021に収載されており、40年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

5.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

6. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「ペクチン」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,865.
  2. 大木 道則, 他(1989)「ペクチン」化学大辞典,2129-2130.
  3. ab日光ケミカルズ株式会社(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブックⅠ,106-134.
  4. 樋口 彰, 他(2019)「ペクチン」食品添加物事典 新訂第二版,321.
  5. abc唐川 敦(1999)「植物性多糖類」Fragrance Journal臨時増刊(16),40-48.
  6. 日本医薬品添加剤協会(2021)「ペクチン」医薬品添加物事典2021,537-538.
  7. “多糖類.com”(-)「ペクチン」,2021年9月25日アクセス.

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