オゾケライトの基本情報・配合目的・安全性

化粧品表示名称 オゾケライト
医薬部外品表示名称 オゾケライト
慣用名称 アースワックス
化粧品国際的表示名称(INCI名) Ozokerite
配合目的 固化・増粘 など

1. 基本情報

1.1. 定義

石油産地近辺で産する地ロウと称する飽和炭化水素の混合物であり、化学構造的に炭素数29-53(C29H60-C53H108の飽和炭化水素を主成分とした直鎖、側鎖および環状の炭化水素の混合物を精製したもの(鉱物系または石油系炭化水素)(∗1)です[1a][2a][3]

∗1 石油産地近辺で産する地ロウと称する鉱物から得られるものは鉱物系炭化水素、石油の分留から得られるものは石油系炭化水素に分類されます。

1.2. 物性・性状

オゾケライトの物性・性状は(∗2)

∗2 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

状態 融点(℃) 溶解性
微結晶性の塊 61-90 水、エタノールに不溶、エーテルに可溶、油脂、炭化水素、ロウなどに混和

このように報告されています[4a][5a]

1.3. 化粧品以外の主な用途

オゾケライトの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
食品 チューインガムに柔軟性を付与するとともに食感を改良する目的でガムベースに用いられています[6]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 固化
  • 非水系増粘

主にこれらの目的で、スティック系メイクアップ製品、ペンシル系メイクアップ製品、その他のメイクアップ製品、化粧下地製品などに汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 固化

固化に関しては、オゾケライトは結晶性かつ直鎖、側鎖および環状炭化水素の混合物であり、油に対する親和性が高く、液状の油性成分と加熱混合した後に冷却することによって以下の図のように、

固化のメカニズム

板状のワックス結晶同士が物理的な噛み合わせで結合したカードハウス構造(∗3)を形成し、その結果として油性成分をはじめ着色料や粉体などが各噛み合わせの内部空間に溜まり、物理的に流動性を失うことによって固形状になることから、油性成分と混合し油性固形基剤としてスティック系製品やペンシル系製品を中心に汎用されています[2b][5b][7][8]

∗3 カードハウス構造とは、トランプのカードをタワーをつくるように組み合わせた構造のことをいい、ワックス結晶の結合は実際にはトランプタワーのような規則的な構造ではありませんが、物理的な隙間をつくる構造が類似していることから、このワックス結合の構造もカードハウス構造とよばれています。

2.2. 非水系増粘

非水系増粘に関しては、オゾケライトはわずかに粘稠性をもつことから、油性成分と混ぜて粘度を調整し粘度あるいは乳化物の安定性を保つ目的で主にクリーム系化粧品などに使用されています[1b][5c]

3. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1984年および2002-2003年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

オゾケライトの配合製品数と配合量の調査結果(1984年および2002-2003年)

4. 安全性評価

オゾケライトの現時点での安全性は、

  • 食品添加物の既存添加物リストに収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[4b]によると、

  • [ヒト試験] 20名の被検者5グループにそれぞれ5%オゾケライトを含むリップ製剤の24時間単回パッチテストを実施したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 18名の被検者に13%オゾケライトを含むチーク製剤の24時間単回パッチテストを実施したところ、1名の被検者にほとんど知覚できない紅斑が示されたが、ほかのいずれの被検者も皮膚刺激を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)
  • [ヒト試験] 20名の被検者2グループにそれぞれ28%または29%オゾケライトを含むリップ製剤を24時間単回パッチ適用したところ、これらの試験製剤は皮膚刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1975)
  • [ヒト試験] 201名の被検者に4.5%オゾケライトを含むリップ製剤を対象に1週間の皮膚刺激性および皮膚感作性試験を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激および皮膚感作を誘発しなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 300名の被検者に13%オゾケライトを含むチーク製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)
  • [ヒト試験] 12名の被検者に13%オゾケライトを含むチーク製剤を対象に21日間皮膚累積刺激性試験を実施したところ、皮膚累積刺激スコアは0-756のスケールで1であり、この試験物質は皮膚累積皮膚刺激を示さなかった(Hill Top Research Labs,1976)

このように記載されており、試験データをみるかぎりほぼ共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[4c]によると、

  • [動物試験] 30匹のウサギの片眼に50%オゾケライトを含む溶液0.1mLを適用し、適用後48時間まで眼刺激性を評価したところ、この試験物質はウサギの眼に対して眼刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1972)
  • [動物試験] 18匹のウサギの片眼に50%オゾケライトを含む溶液0.1mLを適用し、適用72時間後まで眼刺激性を評価したところ、48時間で最小限の眼刺激を示し、72時間でこれらの刺激は消失した(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1972)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に4.5%オゾケライトを含むリップ製剤0.1mLを適用し、適用72時間後まで眼刺激性を評価したところ、この試験製剤は眼刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に5%オゾケライトを含むリップ製剤0.1mLを適用し、適用24時間後まで眼刺激性を評価したところ、この試験製剤は眼刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に13%オゾケライトを含むチーク製剤0.1mLを適用し、適用7日後まで眼刺激性を評価したところ、4日目に軽度の眼刺激性が観察された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)

このように記載されており、試験データをみるかぎり共通して非刺激-軽度の眼刺激が報告されているため、一般に眼刺激性は非刺激-軽度の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「オゾケライト」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,256.
  2. ab日光ケミカルズ株式会社(2016)「炭化水素」パーソナルケアハンドブックⅠ,25-31.
  3. エイチ・ホルスタイン株式会社(2015)「ABWax Ozokerite – ABWax Ceresin」ABWax Lineカタログ,22-23.
  4. abcR.L. Elder(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」Journal of the American College of Toxicology(3)(3),43-99. DOI:10.3109/10915818409010516.
  5. abc大石 孔(1983)「オゾケライトとセレシン」ワックスの性質と応用,49-51.
  6. 樋口 彰, 他(2019)「オゾケライト」食品添加物事典 新訂第二版,63.
  7. 柴田 雅史(2017)「ワックスゲルの物性制御と化粧品への応用」オレオサイエンス(17)(12),633-642. DOI:10.5650/oleoscience.17.633.
  8. 柴田 雅史(2019)「油性ゲルの物性制御と化粧品への応用」日本化粧品技術者会誌(53)(1),2-8. DOI:10.5107/sccj.53.2.

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