t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンとは…成分効果と毒性を解説

紫外線吸収剤
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
[化粧品成分表示名称]
・t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン

[医薬部外品表示名称]
・4-tert-ブチル-4′-メトキシジベンゾイルメタン

[慣用名]
・アボベンゾン

t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンは、化学名を4-tert-ブチル-4′-メトキシジベンゾイルメタンと呼び、淡黄色~黄色で水に溶けず油にわずかに溶ける油溶性の紫外線吸収剤(固体)です。

UV-A波の吸収効果に優れており、代表的なUVA紫外線吸収剤ですが、光安定性に課題があり、他の紫外線吸収剤と併用することで光安定性を維持するといった配合が多く、中でもUV-B波を吸収するメトキシケイヒ酸エチルヘキシルと合わせてよく使用されます。

UV-AとUV-Bの違いを簡単に解説しておくと、以下の図のように、

UVAとUVBの違い

UVBは、いわゆる夏の強い日差しによる紫外線のことで、ほとんどが表皮に留まりますが、皮膚に対する刺激はUVAよりも強く、長時間浴びると軽微の熱傷症状や炎症を生じることもあります。

UVAは、年間を通して均一の量を浴びている紫外線で、皮膚の刺激は強くないですが、表皮の最下層である基底層まで達するため、真皮のコラーゲンを壊したり、基底層のメラノサイトの活動を活性化させて、黒色メラニンを増加させるような働きがあり、シミや光老化などの原因のひとつであるといえます。

t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンは、金属結合により着色するため、EDTAなどのキレート剤を配合して金属結合を抑制することが必要で、キレート剤が一緒に配合されていることが多いです。

油溶性のため、多少のベタつきや角層浸透性がありますが、現在は紫外線吸収剤をカプセル化することでベタつきや角層浸透を防止する技術が確立されており、ポリシリコーン-14(シリコーンレジン化加水分解シルク)が一緒に配合されている場合は、このカプセル化の技術が使用されていると考えられます(文献4:2013)

配合規定があり、配合上限は10%です。

t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンはポジティブリストに分類されているため配合上限があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 10.0g/100g
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 10.0g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 10.0g/100g

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t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作(アレルギー)の報告もほとんどありませんが、光感作(光アレルギー)の報告があるため、注意が必要な成分であると考えられます。

光感作の特徴は、通常かゆみを伴う湿疹様反応で、発症までの時間は24~48時間、少量でも反応が生じます。

光感作が起こらない場合は、安全性に問題ないと考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

開発元であるMERCKの安全性データシート(文献1:2017)によると、

  • [in vitro試験] ヒト皮膚モデルを用いてt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンを42分暴露した結果、皮膚刺激なし

開発元であるDSM Nutritionの安全性データシート(文献2:2011)によると、

  • [動物試験] モルモットおよびウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、皮膚刺激性なし

と記載されています。

安全データによると、共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

開発元であるMERCKの安全性データシート(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いてt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンの眼刺激性試験の結果、眼への刺激なし

開発元であるDSM Nutritionの安全性データシート(文献2:2011)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた眼刺激性試験の結果、眼刺激性なし

と記載されています。

安全データによると、共通して眼刺激がないため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

開発元であるMERCKの安全性データシート(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] ヒトでの知見は陰性であった
  • [動物試験] モルモットを用いたt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンのMaximization皮膚感作性試験の結果、陰性であった

開発元であるDSM Nutritionの安全性データシート(文献2:2011)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いた皮膚感作性試験の結果、皮膚感作性なし

と記載されています。

安全データによると、共通して皮膚感作の報告がないため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

光感作性(光アレルギー性)について

2011年に日本臨床免疫学会会誌に掲載された「光アレルギー」(文献3:2011)によると、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンが光接触皮膚炎の主な原因物質のひとつに挙げられているため、まれに光感作(光アレルギー)が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンの毒性は■(∗2)となっていますが、これは紫外線吸収剤の共通判定です。

安全データをみるかぎり刺激性や感作性はほとんどありませんが、まれに光感作(光アレルギー)が起こる可能性があるので、その点で注意が必要であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンは紫外線防止成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:紫外線防止成分一覧

∗∗∗

文献一覧:

  1. MERCK(2017)「Safety Data Sheet Eusolex 9020」, <http://www.merck-performance-materials.jp/country.jp.pm/ja/images/Eusolex%209020_tcm2081_170123.pdf> 2018年2月8日アクセス.
  2. DSM Nutrition(2011)「Safety Data Sheet PARSOL 1789」, <http://www.interplast.com.tr/img/docs/MSDS-AVOBENZONE.pdf> 2018年2月8日アクセス.
  3. 川田 暁(2011)「光アレルギー」日本臨床免疫学会会誌Vol.34(1),p8-12.
  4. 株式会社成和化成(2013)「Silasoma(シラソーマ)とは -肌にやさしいUVカット成分-」, <http://www.seiwakasei.jp/product/seiwa_product/silasoma/> 2018年2月8日アクセス.

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