メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールとは…成分効果と毒性を解説

紫外線吸収剤
メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール
[化粧品成分表示名称]
・メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール

UVAとUVBを領域(吸収極大波長は359nm&305nm)を同時に吸収する、ベンゾトリアゾール骨格を有し、微粒子化された紫外線吸収剤です。

紫外線吸収剤ですが、微粒子化された固体なので、紫外線散乱剤のように表面処理剤で表面処理されて使用されます。

光安定性に優れており、他の紫外線防御剤との組み合わせによって相乗効果が期待できます。

開発元であるBASFによる紫外線吸収剤であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシル5%濃度と他の紫外線防御剤を組み合わせたin vitro試験によると、

メトキシケイヒ酸エチルヘキシルや紫外線散乱剤の酸化チタンと組み合わせたin vitro試験

5%メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(EHMC)単体ではSPF値は5ですが、4%または6%濃度のメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(TINOSORB M)を組み合わせると、SPF値が20または25に向上しています。

また、紫外線散乱剤の酸化チタン(TiO2)との組み合わせでも4%または6%濃度でSPF値は10または15に向上していますが、相乗効果という点ではメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(TINOSORB M)のほうが優れているのが認められます。

微粒子化された原料なので、皮膚への浸透および影響が懸念されていましたが、開発元のBASFによる追加データをもとに2015年3月25日に欧州委員会であるSCCSによって、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは健常な皮膚への10%までの配合は副作用の懸念をもたらさないと結論されています(文献1:2015)

メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールはポジティブリストで配合上限があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 10.0g/100g
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 10.0g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 配合不可

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メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、最小限の眼刺激性が起こる可能性があるものの、皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

微粒子化(ナノ化)の安全性も2015年に欧州委員会のSCCSが10%まではヒト皮膚に副作用がないと結論づけています。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

欧州委員会の”Scientific Committee on Consumer Safety”の「OPINION ON 2,2’-Methylene-bis-(6-(2H-benzotriazol-2-yl)-4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol)」(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 40人の被検者に20%メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール水溶液0.015mLをFinn chamberで24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去1および24時間後に皮膚反応を観察したところ、パッチ除去1時間で3人の被検者に軽度の紅斑が観察され、3人のうち1人は明確な紅斑であったが、1,2および4日以内には反応は消失した。皮膚刺激スコアは6.25であった。対照に用いられたベース溶液および精製水の皮膚刺激スコアはそれぞれ6.25および8.75であった。この結果から水中に処方された微粒化メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは皮膚反応を引き起こす効力を示さなかった
  • [ヒト試験] 40人の被検者に20%メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを含む日焼け止め製剤0.015mLをFinn chamberで24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去1および24時間後に皮膚反応を観察したところ、パッチ除去1時間で1人の被検者に軽度の紅斑が観察されたが、24時間以内には反応は消失した。対照に用いられた製剤では2人の被検者にわずかな紅斑が認められた。この結果から日焼け止め製剤に処方された微粒化メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは皮膚反応を引き起こす効力を示さなかった

開発元のBASFの安全性データシート(文献2:2018)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、非刺激性である

と記載されています。

試験結果では、共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

欧州委員会の”Scientific Committee on Consumer Safety”の「OPINION ON 2,2’-Methylene-bis-(6-(2H-benzotriazol-2-yl)-4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol)(nano-form)」(文献1:2015)によると、

  • [in vitro試験] 畜牛の眼球から摘出した角膜を用いて、角膜表面に微粒化メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(pH11.6およびpH10.5、粒子サイズ:110-130nm)を処理した後、角膜の濁度ならびに透過性の変化量を定量的に測定したところ(BCOP法)、眼の重篤な損傷は引き起こされなかった
  • [動物試験] ウサギを用いた微粒化メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(pH11.6)の眼刺激性試験では、わずかに刺激剤であった

開発元のBASFの安全性データシート(文献2:2018)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECDテストガイドライン405に基づく眼刺激性試験の結果、非刺激性である

と記載されています。

試験結果によると、非刺激性~わずかな刺激性と報告されているため、眼刺激性は非刺激性~わずかな刺激性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

欧州委員会の”Scientific Committee on Consumer Safety”の「OPINION ON 2,2’-Methylene-bis-(6-(2H-benzotriazol-2-yl)-4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol)(nano-form)」(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 20匹のモルモットを用いた非ナノサイズのメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールのMaximization皮膚感作性試験ではチャレンジ後に皮膚反応を示さなかった
  • いくつかの症例報告では、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールに対するアレルギー反応の可能性を示している(Gonzalez-Perez,Contact DERM,2007)が、これはアレルゲンとしてのデシルグルコシドを用いた調製物の組成によるものであることも示唆された(Andrade Contact Dermatitis 2010; O Connell et al Contact Dermatitis,2011)

開発元のBASFの安全性データシート(文献2:2018)によると、

  • [動物試験] モルモットを用いたMaximization皮膚感作性試験の結果、非感作性である

と記載されています。

試験結果では、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

報告のひとつでは、アレルギー反応の可能性が示唆されており、これはデシルグルコシドを用いた調製物によるものが要因であることが可能性として示唆されていますが、これは微粒子化メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの表面処理にデシルグルコシドを使用しているという意味で、またデシルグルコシドの安全性データに皮膚感作性の報告はないため、報告されているデータをみるかぎりでは、やはり皮膚感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール

参考までに化粧品毒性判定事典によると、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは■(∗2)となっていますが、これはポジティブリストであるためだと推測されますが、安全性データをみる限り、微粒子化の問題も10%までは副作用はないと結論づけられているため、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

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メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは紫外線防止成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:紫外線防止成分

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文献一覧:

  1. “Scientific Committee on Consumer Safety”(2015)「OPINION ON 2,2’-Methylene-bis-(6-(2H-benzotriazol-2-yl)-4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol)」, <https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_168.pdf> 2018年2月4日アクセス.
  2. BASF(2018)「Safety Data Sheet Tinosorb M」, <https://worldaccount.basf.com/wa/msds/showpdf/36574200_6536401_20> 2018年2月4日アクセス.

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