ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルとは…成分効果と毒性を解説

紫外線吸収剤
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
[化粧品成分表示名称]
・ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル

UVA(354nm)に最大吸収波長領域を有する光安定性が高い油溶性の紫外線吸収剤です。

従来のUVA紫外線吸収剤は光安定性が優れないことが課題でしたが、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの最大の特徴は光安定性が極めて高いことであり、光安定性の試験結果では6時間の光照射でも97.5%が壊れずに残存することが明らかにされています(文献1:2004)

また、他のUVB吸収剤と併用することの安全性も明らかにされており、併用により高いSPFが得られます。

代表的なUVA紫外線吸収剤といえばt-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)でしたが、光安定性に課題があるため、新しいまたはリニューアルされた日焼け止め製品のUVA吸収剤はジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルが使用されている割合が増えてきています。

化粧品に配合される場合は、油溶性で水や汗に強いので、ウォータープルーフ(耐水性)のフェイス用またはボディ用日焼け止め製品に使用されたり、成分自体の劣化や退色(∗1)を防止するためにネイル製品、香水、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品などに使用されます。

∗1 退色とは、日光などにさらされて色がだんだん薄くなること、色があせることです。

ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルはポジティブリストに分類されているため配合上限があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 10.0g/100g
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 10.0g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 10.0g/100g

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ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの現時点での安全性は、配合範囲内において、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もなく、光毒性および光感作性の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

開発元のBASFのポジティブリスト収載に関する資料(文献1:2004)によると、

  • [ヒト試験] 44人の被検者の上腕内側に100%ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル0.01gをFinn Chamberを用いて24時間閉塞貼付し、除去1および24時間後に皮膚の状態を観察して判定したところ、除去1時間後に1人の被検者に軽度の紅斑が認められたほかはすべて陰性であり、除去24時間後の反応はすべて陰性で異常は認められなかったため、この試験物質は刺激反応を惹起する可能性は低いと考えられた(日本毛髪科学協会:2004a)
  • [ヒト試験] 45人の被検者の上腕内側に10%ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを含む化粧品0.01gをFinn Chamberを用いて24時間閉塞貼付し、除去1および24時間後に皮膚の状態を観察して判定したところ、除去1時間後の反応はすべて陰性であり、除去24時間後の反応もすべて陰性で異常は認められなかったため、この試験物質は刺激反応を惹起する可能性は低いと考えられた(日本毛髪科学協会:2004b)
  • [動物試験] 3匹のウサギにジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル0.5gをOECDテストガイドライン404に基づいて閉塞性包帯下で4時間単回適用し、0~4の皮膚刺激スケールで評価したところ、適用した日に2匹のウサギで軽度の紅斑が観察され、浮腫は観察されなかった。別の1匹は皮膚反応を示さなかった。紅斑は遅くともパッチ除去48時間以内に回復した。24~72時間までの平均刺激スコアは紅斑で0.1、浮腫で0.0であり、刺激スコアだけでなく、観察した皮膚反応も考慮し、試験物質はこの試験条件下で皮膚に刺激特性の兆候を示さないと結論づけられた(BASF,2000a)
  • [動物試験] 1群あたり3匹のモルモット2群のわき腹にそれぞれ20%または10%ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル溶液を2週間にわたって合計14回4時間解放パッチ適用し、それぞれ適用後24時間で0~4の皮膚刺激スケールで皮膚反応を評価したところ、紅斑あるいは浮腫は観察されたが、すべて刺激スコア2以下であり、この条件下で各濃度の試験物質は溶媒対照群と比較して異なるものではなく、強い皮膚反応もみられなかったため、試験物質の刺激性は特に問題となるものではないと判断された(BASF,2004)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

開発元のBASFのポジティブリスト収載に関する資料(文献1:2004)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼にOECDテストガイドライン405に基づいてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル40mgを単回適用し、適用24時間後に目を水道水ですすいだ。目を評価したところ、適用した日にすべてのウサギで軽度~中度の結膜発赤が観察され、さらに1匹でわずかな分泌物が認められたが、遅くとも適用後48時間以内にすべてのウサギの眼は回復した。24~72時間の平均刺激スコアは、角膜混濁、虹彩、結膜水腫で0.0、結膜発赤で0.3(軽微)であり、スコアだけでなく観察した眼反応も考慮した結果、試験物質はこの条件下で刺激特性の兆候を示さないと結論づけられた(BASF,2000b)

と記載されています。

試験では眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

開発元のBASFのポジティブリスト収載に関する資料(文献1:2004)によると、

  • [動物試験] 20匹のモルモットにOECDテストガイドライン406に基づいて、誘導期間において皮下誘発として5%ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを含むオリーブオイルまたはフロイントアジュバントおよび0.9%食塩水溶液を皮内注射し、皮上誘発として25%ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを含むオリーブオイルを適用し、チャレンジ期間において25%ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを含むオリーブオイルを適用し、各適用後に評価したところ、皮下誘発によって中度の紅斑および腫脹、あるいは強い紅斑および腫脹が発生した。皮上誘発によってすべてのモルモットに中度の紅斑および腫脹に加え、皮下誘発によって部分的に開口した痂皮形成が観察された。チャレンジ期間ではパッチ除去24および48時間後においていずれのモルモットにも皮膚反応は認められなかったため、この試験物質はこの条件下でのMaximization試験において感作作用を有さないと結論付けられた(BASF,2000c)

と記載されています。

試験では共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

開発元のBASFのポジティブリスト収載に関する資料(文献1:2004)によると、

  • [動物試験] 1群(5匹、照射対照群),2群(5匹、試験物質を処置した群),3群(10匹、試験物質で処置し、照射した群),4群(5匹、溶媒オリーブ油対照群)の4群に分けた25匹のモルモットに10%ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル溶液0.2mLを単回適用または照射、あるいはその両方を実施し、1,4および24時間後に光毒性を評価したところ、4群ほとんどすべてのモルモットに1日目および2日目で観察された皮膚反応は、紅斑誘発照射量以下の照射で弱い紅斑反応が観察されたが、対照群と同じ発生率であり、試験物質の光刺激性に起因する皮膚反応は観察されなかったため、この条件下で試験物質の適用はモルモットにおける光毒性を誘発しないと結論づけられた(Centre International De France,2000a)
  • [動物試験] 上記と同じモルモット群の前肩甲部の2~8日目の誘導期間に5回の試験物質適用または照射、あるいはその両方を行ない、次いで20日の休息期間を設けた後の29日目にモルモットの両脇腹後部にチャレンジパッチ適用または照射(右脇腹:UVA、左脇腹:UVB)あるいはその両方を実施し、1,4,24および48時間後に全群のモルモットについて評価したところ、4群ほとんどすべてのモルモットに29日目で観察された皮膚反応は、紅斑誘発照射量以下の照射で弱い紅斑反応が観察されたが、対照群と同じ発生率であり、試験物質の光感作性に起因する皮膚反応は観察されなかったため、この条件下で試験物質の適用はモルモットにおける光感作性を誘発しないと結論づけられた(Centre International De France,2000b)

と記載されています。

試験では光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 掲載なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは掲載なしとなっています。

∗∗∗

ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは紫外線防止成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:紫外線防止成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. BASF(2004)「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 資料」, <https://cosmetic-ingredients.org/ref/2004_uvinul_a_plus.pdf> 2018年2月16日アクセス.

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