酸化亜鉛とは…成分効果と毒性を解説

紫外線散乱剤 着色剤 収れん成分
酸化亜鉛
[化粧品成分表示名称]
・酸化亜鉛

[医薬部外品表示名称]
・酸化亜鉛

可溶性亜鉛溶液から合成、もしくは亜鉛鉱石から合成することで得られる白色の微細な粉末(白色顔料および紫外線散乱剤)です。

酸化亜鉛に赤色の顔料である酸化鉄を微量配合したものはカラミンと呼ばれます。

化粧品に配合される場合は、紫外線散乱作用(∗1)があるため、日焼け止め製品に紫外線散乱剤として幅広く使用されています。

∗1 紫外線散乱作用とは、紫外線(UV-AとUV-Bの両方)を反射させる性質のことで、紫外線散乱剤を皮膚上に塗布することで、紫外線を反射(遮断)し、紫外線が皮膚まで届くのを防ぎます。

また、白色顔料としておしろいやファンデーションなどに配合されますが、顔料として配合されても紫外線散乱作用はあるため、記載がなくてもある程度のUV効果は期待できます。

ほかにも収れん作用(制汗作用)として、パウダー状で水や油を吸い取り、汗腺にフタをして汗を止めてサラッとした状態を長持ちさせる効果があるので、カラミンローション、ボディシート、ボディパウダーなどに配合されます。

紫外線防止には紫外線散乱剤と紫外線吸収剤がありますが、皮膚への刺激の可能性という点では紫外線散乱剤のほうが安全性が高く、敏感肌に配慮した日焼け止め製品などは紫外線散乱剤のみの使用が多いです。

代表的な紫外線散乱剤としてほかに酸化チタンがありますが、酸化亜鉛は酸化チタンに比べて、皮膜力は劣るものの白くなりにくく原料コストも高くないため、酸化チタンとセットで使用されることも少なくありません。

また、近年は酸化亜鉛をより細かく広く分散して白浮きしにくく、使用感や紫外線散乱効果を向上させるために、ナノ化(微粒子化)された酸化亜鉛も増えてきています。

ナノ化した酸化チタンや酸化亜鉛は1990年代から使われていたようですが、一般的に目にするようになるのは2004年前後で、その頃からナノ化した微粒子が健康に及ぼす影響への懸念がでてきていましたが、2006年から日本化粧品工業連合会が調査を開始し、2014年6月にはナノ酸化亜鉛をUVフィルター(紫外線散乱剤)として使用することにおいてリスクがない、あるいはそのリスクは限定されたものであると結論づけられています(文献1:2014)

補足ですが、ナノ酸化亜鉛の健康に及ぼす懸念というのは、化粧品一般ユーザ-への懸念ではなく、ナノ酸化亜鉛を生産している工場などで働いている方が日々ナノ酸化亜鉛を吸引することによる肺への影響などの懸念であり、一般化粧品ユーザーが化粧品として皮膚に塗布する分にはもともと問題ないとされていました。

ナノ化酸化亜鉛が配合される場合は、通常その効果を発揮させるために表面処理(コーティング)されています。

酸化亜鉛が表面コーティング処理されている場合は、表示成分一覧に酸化亜鉛と一緒に以下の成分が末尾に並んでいます(一例です)。

表面特性の撥水性というのは、水をはじく性質で、汗などでも落ちにくいウォータープルーフ特性の日焼け止めに使用されます。

表面処理剤 表面特性
シリカ 親水性
イソステアリン酸 撥水性
ジメチコン 撥水性
トリエトキシカプリリルシラン 撥水性
ハイドロゲンジメチコン 撥水性
シリカ、ジメチコン 撥水性

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酸化亜鉛の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

酸化亜鉛の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、軽度の眼刺激性が起こる可能性があるものの、アレルギー(皮膚感作)もほとんど起こらないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] [ヒト試験] ウサギの皮膚 (耳) に酸化亜鉛500 mgを24時間閉塞適用して刺激性なしの結果(EU-RAR (2004))、さらにウサギの背部皮膚に酸化亜鉛0.5 mLを5日間継続し開放または閉塞適用により刺激性なしの結果 (EU-RAR (2004)) に基づき、区分外とした。なお、モルモットおよびマウスに5日間継続的に開放適用して刺激性なし (ACGIH (2003))、また、ヒトでボランティア6人に40%軟膏 を閉塞適用し1人だけ発疹と小胞性膿疱を認めたが、酸化亜鉛によるものかまたは他の刺激によるものか分からないとしている(EU-RAR (2004))

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献4:2005)によると、

  • 酸化亜鉛は刺激性ではない

と記載されています。

試験結果では、共通して皮膚刺激性なしと結論付けられているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] ウサギ3匹の結膜嚢に適用した試験(OECD TG 405)において、角膜混濁は見られず、虹彩炎は適用1時間目のみ1匹だけがスコア1、結膜発赤は全例がスコア1~2で72時間目で完全に回復、結膜浮腫 (分泌物は適用1時間目のみ全例がスコア1) は適用1時間目のみ全例がスコア2であった (EU-RAR (2004)) ことから、区分外とした。なお、ウサギを用いた別の試験でも、適用2日後まで軽度の結膜発赤と浮腫を認めたのみで「刺激性なし」あるいは「軽度の刺激性」と評価されている (EU-RAR (2004))

と記載されています。

試験結果では、72時間以内で回復する軽度の眼刺激が起こる可能性がみられるため、一時的な軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] [ヒト試験] モルモットの皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション試験: Directive 96/54/EC B.6 & OECD TG 406) の結果が3件報告され (EU-RAR (2004))、各試験での陽性率はそれぞれ (1) 試験群:40% (4/10)、対照群:0% (0/5)、(2) 試験群:0% (0/10)、対照群:20% (1/5)、(3) 試験群:0% (0/10)、対照群:0% (0/5)であった。1回目の試験で陽性率40%と相容れない結果となったが、酸化亜鉛が強い感作性を有することを示す証拠ではないと述べられている (EU-RAR (2004))。また接触アレルギーの検討を目的としたヒトパッチテストで、酸化亜鉛のみを使用した場合に被験者の14人全員に陽性反応は認められなかった (EU-RAR (2004))。EU-RAR (2004) では結論として「皮膚感作性について分類・表示すべきでない」と述べている。以上の情報に基づき区分外とした

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献3:2005)によると、

  • 酸化亜鉛は皮膚感作性ではない

と記載されています。

多くの安全性データで皮膚感作性なし結論付けられているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
酸化亜鉛 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、酸化亜鉛は毒性なし(∗3)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

酸化亜鉛は紫外線防止成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:紫外線防止成分一覧

∗∗∗

文献一覧:

  1. “日本化粧品工業連合会”(2014)「ナノマテリアルの安全性」, <https://www.jcia.org/n/all_pdf/nano/2014.pdf> 2017年12月18日アクセス.
  2. “職場のあんぜんサイト”(2014)「安全データシート 酸化亜鉛」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/1314-13-2.html> 2017年12月18日アクセス.
  3. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2005)「初期評価プロファイル 亜鉛カテゴリ」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年12月18日アクセス.

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