酸化亜鉛とは…成分効果と毒性を解説

紫外線散乱剤 着色剤 収れん成分 抗炎症成分
酸化亜鉛
[化粧品成分表示名称]
・酸化亜鉛

[医薬部外品表示名称]
・酸化亜鉛

可溶性亜鉛溶液より塩基性炭酸亜鉛を沈殿させて得る湿式法、または亜鉛鉱石から直接酸化亜鉛をつくる乾式法によって得られる白色結晶の微細な粉末です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、日焼け止め製品、メイクアップ製品、制汗剤、ボディシート、ボディパウダーなどに使用されます(文献1:2006;文献5:2002)

紫外線散乱作用

紫外線散乱作用とは、以下の紫外線散乱剤の仕組み図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線散乱剤の仕組み

紫外線(UVA,UVBの両方)を反射させる性質のことで、紫外線散乱剤を皮膚上に塗布することで、紫外線を反射(遮断)し、紫外線が皮膚まで届くのを防ぎます。

紫外線防止には紫外線散乱剤と紫外線吸収剤がありますが、皮膚への刺激の可能性という点では、紫外線散乱剤のほうが安全性が高く、敏感肌に配慮したり、安全性の高さを強調する日焼け止め製品などは紫外線散乱剤のみの使用が多いです。

代表的な紫外線散乱剤としてほかに酸化チタンがありますが、酸化亜鉛は酸化チタンに比べて、皮膜力は劣るものの白くなりにくく原料コストも高くないため、酸化チタンとセットで使用されることも少なくありません。

白色顔料

酸化亜鉛は紫外線散乱剤のほかにも白色顔料として、おしろいやファンデーションなどに配合されますが、顔料目的で配合されても紫外線散乱剤としての作用はあるため、販売媒体に記載はなくても紫外線散乱作用は有しています。

ただし、紫外線散乱目的でない場合や複数の白色顔料が配合されている場合は、配合量が少ない可能性も高いので酸化亜鉛のみでは十分な紫外線散乱作用は得られない可能性が考えられます。

水分および油分吸着による感触改良・収れん作用

収れん作用に関しては、酸化亜鉛は粉体(パウダー状)で水や脂を吸着し、汗腺にフタをし、汗を止めてサラッとした状態を長持ちさせる効果があり、制汗剤、カラミンローション、ボディシート、ボディパウダーなどに配合されます。

ウロキナーゼ活性抑制による抗炎症作用

ウロキナーゼ活性抑制による抗炎症作用に関しては、2002年に資生堂が第22回IFSCCエジンバラ大会において最優秀賞を受賞した研究成果で、その報告によると、

肌荒れ時の角層表面にはウロキナーゼが存在し、これが活性化因子としてプラスミンを活性化し、初期段階の肌荒れに重要な働きをしていることを見出した。

そこで、本来は表皮内部で活性化されると考えられていたウロキナーゼが角層表面で活性化されることに着目し、肌表面でその活性を取り除くことで肌荒れが防止できるのではと考え、様々な粉体を探索したところ、酸化亜鉛にウロキナーゼ活性抑制作用が、またシリカおよびタルクにウロキナーゼ吸着作用が明らかになった。

これら2種類の粉体をナノレベルで複合化し、パウダーファンデーションに配合して4,039人の女性に3週間連続使用してもらったところ、70%に肌荒れ改善効果が認められた。

このような研究結果が明らかになっており(文献5:2002)、酸化亜鉛にウロキナーゼ活性阻害による肌荒れ防止・抗炎症作用が認められています。

ヒト試験は、ナノ化された酸化亜鉛を使用していることもあって効果が顕著ですが、ウロキナーゼ活性抑制作用は酸化亜鉛が有している特性であるため、一般的な酸化亜鉛でも効果は得られると考えられます。

近年は酸化亜鉛をより細かく広く分散して白浮きしにくく、使用感や紫外線散乱効果を向上させるために、ナノ化(微粒子化)された酸化亜鉛も増えてきています。

ナノ化した酸化チタンや酸化亜鉛は1990年代から使われていたようですが、一般的に目にするようになるのは2004年前後で、その頃からナノ化した微粒子が健康に及ぼす影響への懸念がでてきていましたが、2006年から日本化粧品工業連合会が調査を開始し、2014年6月にはナノ酸化亜鉛をUVフィルター(紫外線散乱剤)として使用することにおいてリスクがない、あるいはそのリスクは限定されたものであると結論づけられています(文献2:2014)

また補足として、ナノ酸化亜鉛の健康に及ぼす懸念というのは、化粧品一般ユーザ-への懸念ではなく、ナノ酸化亜鉛を生産している工場従事者が日々ナノ酸化亜鉛を吸引することによる肺への影響などの懸念であり、一般化粧品ユーザーが化粧品として皮膚に塗布する場合にはもともと問題ないとされていました。

ナノ化酸化亜鉛が配合される場合は、通常その効果を発揮させるために表面処理(コーティング)されています。

酸化亜鉛が表面コーティング処理されている場合は、表示成分一覧に酸化亜鉛と一緒に以下の成分が末尾に並んでいます(一例です)。

表面特性の撥水性というのは、水をはじく性質で、汗などでも落ちにくいウォータープルーフ特性の日焼け止めに使用されます。

表面処理剤 表面特性
シリカ 親水性
イソステアリン酸 撥水性
ジメチコン 撥水性
トリエトキシカプリリルシラン 撥水性
ハイドロゲンジメチコン 撥水性
シリカ、ジメチコン 撥水性

スポンサーリンク

酸化亜鉛の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

酸化亜鉛の現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006にも収載されており、皮膚刺激性はほとんどなく、軽度の眼刺激性が起こる可能性があるものの、アレルギー(皮膚感作)もほとんど起こらないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] [ヒト試験] ウサギの皮膚 (耳) に酸化亜鉛500 mgを24時間閉塞適用して刺激性なしの結果(EU-RAR (2004))、さらにウサギの背部皮膚に酸化亜鉛0.5 mLを5日間継続し開放または閉塞適用により刺激性なしの結果 (EU-RAR (2004)) に基づき、区分外とした。なお、モルモットおよびマウスに5日間継続的に開放適用して刺激性なし (ACGIH (2003))、また、ヒトでボランティア6人に40%軟膏 を閉塞適用し1人だけ発疹と小胞性膿疱を認めたが、酸化亜鉛によるものかまたは他の刺激によるものか分からないとしている(EU-RAR (2004))

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献4:2005)によると、

  • 酸化亜鉛は刺激性ではない

と記載されています。

試験結果では、共通して皮膚刺激性なしと結論付けられているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] ウサギ3匹の結膜嚢に適用した試験(OECD TG 405)において、角膜混濁は見られず、虹彩炎は適用1時間目のみ1匹だけがスコア1、結膜発赤は全例がスコア1~2で72時間目で完全に回復、結膜浮腫 (分泌物は適用1時間目のみ全例がスコア1) は適用1時間目のみ全例がスコア2であった (EU-RAR (2004)) ことから、区分外とした。なお、ウサギを用いた別の試験でも、適用2日後まで軽度の結膜発赤と浮腫を認めたのみで「刺激性なし」あるいは「軽度の刺激性」と評価されている (EU-RAR (2004))

と記載されています。

試験結果では、72時間以内で回復する軽度の眼刺激が起こる可能性がみられるため、一時的な軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] [ヒト試験] モルモットの皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション試験: Directive 96/54/EC B.6 & OECD TG 406) の結果が3件報告され (EU-RAR (2004))、各試験での陽性率はそれぞれ (1) 試験群:40% (4/10)、対照群:0% (0/5)、(2) 試験群:0% (0/10)、対照群:20% (1/5)、(3) 試験群:0% (0/10)、対照群:0% (0/5)であった。1回目の試験で陽性率40%と相容れない結果となったが、酸化亜鉛が強い感作性を有することを示す証拠ではないと述べられている (EU-RAR (2004))。また接触アレルギーの検討を目的としたヒトパッチテストで、酸化亜鉛のみを使用した場合に被験者の14人全員に陽性反応は認められなかった (EU-RAR (2004))。EU-RAR (2004) では結論として「皮膚感作性について分類・表示すべきでない」と述べている。以上の情報に基づき区分外とした

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献4:2005)によると、

  • 酸化亜鉛は皮膚感作性ではない

と記載されています。

多くの安全性データで皮膚感作性なし結論付けられているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
酸化亜鉛 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、酸化亜鉛は毒性なし(∗1)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

酸化亜鉛は紫外線防止成分、着色剤、収れん成分、抗炎症成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:紫外線防止成分 着色剤 収れん成分 抗炎症成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2006)「粉体および色材」新化粧品原料ハンドブックⅠ,351-352.
  2. “日本化粧品工業連合会”(2014)「ナノマテリアルの安全性」, <https://www.jcia.org/n/all_pdf/nano/2014.pdf> 2017年12月18日アクセス.
  3. “職場のあんぜんサイト”(2014)「安全データシート 酸化亜鉛」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/1314-13-2.html> 2017年12月18日アクセス.
  4. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2005)「初期評価プロファイル 亜鉛カテゴリ」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年12月18日アクセス.
  5. “資生堂”(2002)「新規肌あれ抑制成分スキンケアパウダーの開発」, <https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000000275/275_w5m24_jp.pdf> 2018年8月15日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ