酸化チタンとは…成分効果と毒性を解説

紫外線散乱剤 着色剤
酸化チタン
[化粧品成分表示名称]
・酸化チタン

[医薬部外品表示名称]
・酸化チタン、微粒子酸化チタン

イルメナイトという鉱物を細かく砕いてつくられる白色の紫外線散乱剤(∗1)です。

∗1 紫外線散乱剤はUV-A、UV-Bともに反射します。

現在使用されている紫外線散乱剤は、主に酸化チタンと酸化亜鉛がありますが、酸化チタンのほうが反射率やカバー力が優れており安全性も高く、日焼け止めだけでなくファンデーションにも欠かせない存在となってきています。

紫外線吸収剤の安全性が懸念されたりイメージが悪くなっている中で、ノンケミカルや安全性をウリにしている日焼け止めなどは紫外線防止成分として酸化チタンのみを使うものも増えていますが、通常の酸化チタンのみでは白浮きしたり、伸びがよくないなど使い心地にデメリットがあるため、酸化亜鉛を混ぜて白浮きを抑えたり、微粒子酸化チタンを使用して白さを抑える(∗2)などの技術を取り入れて使用感を向上させているものが増えています。

∗2 通常の顔料の酸化チタンは光の屈折率が大きく、隠蔽力も高く、塗布時の白さが増大しますが、酸化チタンを微粒子にすることで、紫外光はきっちり遮断するとともに可視光は透過するため透明性が高くなり、日焼け止め製品の原料としてはより適したものとなります。

酸化チタンは光を受けると表面で強力な酸化力を発揮し、化学物質や細菌や雑菌を分解する作用がありますが、肌の上でその酸化力を発揮されると困るため、通常は表面コーティング処理を行ってから化粧品に配合されます。

そのため、酸化チタンが表面コーティング処理されている場合は、表示成分一覧に酸化チタンと一緒に以下の成分が末尾に並んでいます(一例です)。

表面特性の撥水性というのは、水をはじく性質で、汗などでも落ちにくいウォータープルーフ特性の日焼け止めに使用されます。

表面処理剤 表面特性
シリカ 親水性
水酸化Al 親水性
水酸化Al、酸化ジルコニウム 親水性
水酸化Al、シリカ 親水性
ジメチコン 撥水性
トリエトキシカプリリルシラン 撥水性
ハイドロゲンジメチコン 撥水性
アルミナ 撥水性
水酸化Al、イソステアリン酸 撥水性
水酸化Al、ジメチコン 撥水性
水酸化Al、ステアリン酸 撥水性
水酸化Al、ハイドロゲンジメチコン 撥水性
水酸化Al、酸化ジルコニウム、ステアリン酸 撥水性
水酸化Al、シリカ、ジメチコン 撥水性
水酸化Al、シリカ、ステアリン酸 撥水性
水酸化Al、シリカ、トリエトキシカプリリルシラン 撥水性

また、現在は酸化チタンのカバー力をさらに上げて白浮きせず伸びがよくなるように、ナノ化する技術も採用され、微粒子酸化チタンとして普及しています。

ナノ化した酸化チタンや酸化亜鉛は1990年代から使われていたようですが、一般的に目にするようになるのは2004年前後で、その頃からナノ化した微粒子が健康に及ぼす影響への懸念がでてきていましたが、2006年から日本化粧品工業連合会が調査を始めており、現在までの調査報告を読む限り、ナノ化された酸化チタンで健康に被害が及んだという報告はありません(文献1:2017)

ナノ化酸化チタンの健康に及ぼす懸念というのは、化粧品一般ユーザ-への懸念ではなく、ナノ化酸化チタンを生産している工場などで働いている方が日々ナノ酸化チタンを吸引することによる肺への影響としての異物発がん性などの懸念であり、一般化粧品ユーザーが化粧品として皮膚に塗布する分には問題ないとされています。

化粧品に配合される場合は、紫外線散乱剤として日焼け止め製品、ファンデーション、チーク、化粧下地などのメイクアップ化粧品に使用されます。

また白色顔料としてアイシャドー、アイライナー、マスカラ、チーク、ファンデーション、口紅などのメイクアップ化粧品、マニキュア、ネイルカラーなどのネイル製品、ほかにも固形石鹸、リップグロスなどに使用されます。

メイクアップ製品の場合で白色顔料として使用される場合は、UV効果などをアピールしないものも少なくありませんが、紫外線散乱作用は有しています。

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酸化チタンの安全性(刺激性・アレルギー)について

酸化チタンの現時点での安全性は、一般ユーザーが化粧品で使用する場合において、通常の酸化チタンまたは微粒子酸化チタン(ナノ化酸化チタン)を問わず、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗3)やレポートを参照しています。

∗3 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

– 酸化チタン(ナノ粒子除く) –

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献4:2017)によると、ナノ粒子でない通常の酸化チタンでは、

  • [動物試験] ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、わずかな刺激性や刺激性なしとの記載(SIDS (2015))より、区分外(皮膚刺激性なし)とした

厚生労働省の詳細リスク評価書(文献2:2016)によると、ナノ粒子でない通常の酸化チタンでは、

  • [ヒト試験] ヒト皮膚に行ったDraize局所性刺激試験で、300μgを3日間塗布したところ、軽微な反応が認められた
  • [ヒト試験] 50人のボランティアによるパッチテストにおいて、50%酸化チタンを含むワセリンは皮膚刺激性を示さなかった
  • [動物試験] 3匹のウサギの剃毛した背部に0.5g酸化チタンを含む脱イオン水0.25mLを半閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に温水で洗浄し、1,24,48および72時間後にDraize法に従って皮膚反応を観察したところ、いずれの観察時間においても皮膚刺激性はみられなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの剃毛した背部に0.5g酸化チタンを含む脱イオン水を4時間にわたって半閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に温水で洗浄し、1,24,48および72時間後にDraize法に従って皮膚反応を観察したところ、1時間後で2匹に軽度の紅斑と1匹に中等の紅斑が、24時間後には3匹で軽度の紅斑が、48および72時間後には1匹で軽度の紅斑がみられたが、これらの影響には回復性がみられ、いずれの観察時間においても浮腫はみられなかった。酸化チタンは刺激性なしと考えられた

– 酸化チタン(ナノ粒子) –

厚生労働省の詳細リスク評価書(文献3:2015)によると、酸化チタン(ナノ粒子)では、

  • [動物試験] ウサギの皮膚に粒径140±44nmの微粒子酸化チタンを含む蒸留水0.5gを4時間塗布し、その後72時間までDraizeスコアを評価したところ、皮膚刺激性は認められなかった(Warheit et al.,2007a)
  • [動物試験] ヘアレスラットの皮膚に微粒子酸化チタン(1次粒子径26.7nm、2次粒子径391.6nm)を単回塗布したところ、微粒子酸化チタンは毛包間表皮の剥離層および毛漏斗角質化層に局在していたが、表皮にお生細胞領域には認められず、細胞の変化も観察されなかった(Adachi et al. ,2010)

と記載されています。

試験結果では、通常の酸化チタンおよび微粒子酸化チタン(ナノ化酸化チタン)の両方で皮膚刺激性なしと結論づけられているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

– 酸化チタン(ナノ粒子除く) –

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献4:2017)によると、ナノ粒子でない通常の酸化チタンでは、

  • [動物試験] ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG 405)で、適用24時間後に3例中2例に軽度の結膜潮紅が認められたが、48時間以内に消失したとの報告や、適用24時間後にわずかな刺激性が認められたが、48及び72時間後には刺激が認められなかったとの報告(SIDS (2015))がある。これらの試験で認められた刺激は、物理的な刺激によるものとも考えられたが、粒子形状を確認できなかったため分類できないとした

厚生労働省の詳細リスク評価書(文献2:2016)によると、ナノ粒子でない通常の酸化チタンでは、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢に約57mgの酸化チタンを適用し、適用後1,24,48および72時間後の角膜、虹彩、結膜の反応をDraizeに従ってスコア化したところ、1および24時間後の観察で3匹すべてのウサギに結膜の発赤(スコア1または2)がみられたが、24あるいは48時間後には正常な状態に回復した。フルオレセイン(蛍光)染色検査において角膜の傷害はみられなかった。このほかの2試験においても眼刺激性はみられなかった

– 酸化チタン(ナノ粒子) –

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献5:2017)によると、ナノ粒子の酸化チタンでは、

  • [動物試験] 動物に対して眼刺激性は認められなかったとの記載(産衛学会許容濃度提案理由書 (2013))から、区分外とした

厚生労働省の詳細リスク評価書(文献3:2015)によると、酸化チタン(ナノ粒子)では、

  • [動物試験] ウサギの片眼に粒径140±44nmの微粒子酸化チタン57mgを点眼し、その後72時間まで、結膜、虹彩、角膜を評価したところ、急性期に結膜の発赤(スコア1~2)が認められたが、可逆的であり、24および48時間後には正常に戻った。有意な所見は認められなかった(Warheit et al. ,2007b)

と記載されています。

試験結果の多くでは、通常の酸化チタンおよび微粒子酸化チタン(ナノ化酸化チタン)の両方で皮膚刺激性なしと結論づけられているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

– 酸化チタン(ナノ粒子除く) –

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データシート(文献4:2017)によると、ナノ粒子でない通常の酸化チタンでは、

  • [動物試験] モルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法、OECD TG 406) 及びマウスを用いた皮膚感作性試験 (LLNA法、OECD TG 429) はいずれも陰性であり、本物質には皮膚感作性はないと判断されている(SIDS (2015))ことから、区分外とした

厚生労働省の詳細リスク評価書(文献2:2016)によると、ナノ粒子でない通常の酸化チタンでは、

  • [ヒト試験] 290人の皮膚疾患患者に、ワセリンに5%の濃度で調製した二酸化チタンのパッチテストを行ったが接触性皮膚炎はなかった
  • [動物試験] 20匹のモルモットを用いたBuehler法皮膚感作試験において、チャレンジパッチ適用24および48時間後に皮膚反応を観察したところ、20匹のすべてにおいて皮膚感作性はみられなかった
  • [動物試験] マウスを用いたLLNA(マウス局所リンパ節増殖試験)において0%,5%,25%,50%または100%濃度の酸化チタン25μLをマウスの耳介に3日間にわたって塗布した後5日目にRI標識物質(3H-チミジン)20μCiを静脈内投与し、投与5時間後に耳介リンパ節を採取した。RI標識物質の取込量を測定したところ、SI(Stimulation index)は3.0(陽性と判断される基準)以下であり、酸化チタンは皮膚感作物質ではないと考えられた(SIDS(2013))

– 酸化チタン(ナノ粒子) –

厚生労働省の詳細リスク評価書(文献3:2015)によると、酸化チタン(ナノ粒子)では、

  • [動物試験] 粒径140±44nmの微粒子酸化チタンを含む蒸留水をLLNA(局所リンパ節試験法)で評価した。ウサギの両耳に試験物質を3日間連続塗布し、耳介リンパ節における³H-Thymidineの取り込みを測定したところ、微粒子酸化チタンに皮膚感作性は認められなかった

と記載されています。

試験結果では、通常の酸化チタンおよび微粒子酸化チタン(ナノ化酸化チタン)の両方で皮膚感作性なしと結論づけられているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
酸化チタン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、酸化チタンは毒性なし(∗4)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗4 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

酸化チタンは紫外線防止成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:紫外線防止成分一覧

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文献一覧:

  1. “日本化粧品工業連合会”(2017)「ナノマテリアルの調査」, <https://www.jcia.org/n/biz/info/nano/> 2017年12月17日アクセス.
  2. “厚生労働省”(2016)「詳細リスク評価書 酸化チタン(ナノ粒子除く)」, <http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000145962.pdf> 2017年12月17日アクセス.
  3. “厚生労働省”(2015)「詳細リスク評価書 酸化チタン(ナノ粒子)」, <http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000375tx-att/2r98520000037650.pdf> 2017年12月17日アクセス.
  4. “職場のあんぜんサイト”(2017)「安全データシート 酸化チタン(ナノ粒子以外)」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/13463-67-7b.html> 2017年12月17日アクセス.
  5. “職場のあんぜんサイト”(2017)「安全データシート 酸化チタン(ナノ粒子)」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/13463-67-7.html> 2017年12月17日アクセス.

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