オキシベンゾン-4とは…成分効果と毒性を解説

紫外線吸収 退色防止
オキシベンゾン-4
[化粧品成分表示名称]
・オキシベンゾン-4

[医薬部外品表示名称]
・ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(三水塩)

ベンゾフェノン構造を有する水溶性のベンゾフェノン誘導体(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)です。

オキシベンゾン-4の物性は、

分子量 極大吸収波長(nm)(∗1)
308.3 285 , 320

このように記載されています(文献2:2006)

極大吸収波長とは、最も吸収する紫外線波のことであり、オキシベンゾン-4は285および320の2ヶ所に極大吸収波長を有し、また285および320という数値はUVB波長領域(280-320nm)であることから、UVBを吸収するUVB吸収剤に分類されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、日焼け止め製品、ボディ&ハンドケア製品、スキンケア化粧品、ヘアケア製品、ヘアウォーター&ヘアフレグランスなどに使用されています(文献1:1983)

UVB吸収による紫外線防御作用

UVB吸収による紫外線防御作用に関しては、まず前提知識として紫外線(UV:Ultra Violet)および紫外線の皮膚への影響について解説します。

太陽による照射は、以下の図のように、

紫外線の構造

波長により、赤外線、可視光線および紫外線に分類されており、可視光線よりも波長の短いものが紫外線です。

また紫外線は、波長の長いものから

  • UVA(長波長紫外線):320-400nm
  • UVB(中波長紫外線):280-320nm
  • UVC(短波長紫外線):100-280nm

このように大別され、波長が短いほど有害作用が強いという性質がありますが、以下の図のように、

紫外線波長領域とオゾン層の関係

UVCはオゾン層を通過する際に散乱・吸収されるため地上には到達せず、UVBはオゾン層により大部分が吸収された残りが地上に到達、UVAはオゾン層による吸収をあまり受けずに地表に到達することから、ヒトに影響があるのはUVBおよびUVAになります。

UVAおよびUVBのヒト皮膚への影響の違いは、以下の表のように(∗1)

∗1 ( )内の反応は大量の紫外線を浴びた場合に起こる反応です。

  UVA UVB
紫外線角層透過率
日焼けの現象 サンタン
(皮膚色が浅黒く変化)
サンバーン
(炎症を起こし、皮膚色が赤くなりヒリヒリした状態)
急性皮膚刺激反応 即時型黒化(紅斑)
遅延型黒化(紅斑)
UVBの反応を増強
(表皮肥厚、落屑)
遅延型紅斑(炎症、水疱)
遅延型黒化
表皮肥厚、落屑
(DNA損傷)
慢性皮膚刺激反応 真皮マトリックスの変性 真皮マトリックスの変性
日焼け現象発症時間 2-3日後 即時的
(1時間以内に赤みを帯び始める)

性質がまったく異なっています(文献3:2002;文献4:2002;文献5:1997)

国内の紫外線量の目安としては、2016年に茨城県つくば局によって公開されている紫外線量観測データによると、以下の表のように、

茨城県つくば局における紫外線量(UVA,UVB)年間値(2016年)

2月-10月の期間中とくに4月-9月の期間は、UVAおよびUVBの両方増加する傾向にあるため(文献6:2016)、UVAおよびUVB両方の紫外線防御が必要であると考えられます。

2014年にポーラ化成工業によって報告された紫外線吸収剤の吸収スペクトル資料によると、以下の表のように、

オキシベンゾン-4の紫外線吸収波長

UVBへの吸収作用が明らかにされており(文献7:2014)、オキシベンゾン-4にUVB吸収による紫外線防御作用が認められています。

オキシベンゾン-3は油溶性ですが、オキシベンゾン-4は水溶性であることから、ミスト系日焼け止め製品、ボディ&ヘアミスト、フレグランスミスト、化粧水などに使用されます。

製品自体の退色・変色防止

製品自体の退色・変色防止に関しては、UVB吸収作用を有していることから、紫外線で劣化しやすい着色剤を紫外線から防御する目的でネイル製品に配合されます(文献2:2006)

製品自体の退色・変色防止目的で配合されている場合は、配合量が微量であるため全成分表示欄には末尾に記載されます。

ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸およびその三水塩はポジティブリストであり、化粧品に配合する場合は以下の配合範囲内においてのみ使用されます。

種類 最大配合量(g/100g) その他
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 10 ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸としての合計量とする
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 10
粘膜に使用されることがある化粧品 0.10

ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸は医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量 その他
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 1.0 紫外線吸収剤の合計は10以下とする
育毛剤 1.0
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 1.0
(日焼け止め剤のみ10)
薬用口唇類 0.10
薬用歯みがき類 0.10
浴用剤 1.0

ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(三水塩)は医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量 その他
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 1.0 紫外線吸収剤の合計は10以下とする
育毛剤 1.0
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 1.0
(日焼け止め剤のみ10)
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 1.0

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1983年および2002年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

オキシベンゾン-4の配合製品数と配合量の調査(1983年および2002年)

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オキシベンゾン-4の安全性(刺激性・アレルギー)について

オキシベンゾン-4の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:5%濃度以下においてほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 14人の被検者に4%,8%および16%オキシベンゾン-4を含む軟膏を対象に単回皮膚刺激性試験を実施したところ、4人の被検者は16%濃度で皮膚反応を示した。この試験物質は16%濃度で刺激性に分類された(Industrial Biology Labs,1967)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に5%オキシベンゾン-4水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激性および皮膚感作性を示さなかった(Industrial Biology Labs,1962)
  • [ヒト試験] 100人の被検者に25%オキシベンゾン-4を含む軟膏を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激性および皮膚感作性を示さなかった(A M Kligman,1976)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、16%濃度で皮膚刺激が報告されていますが、化粧品配合範囲外なので除外すると、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、化粧品配合範囲内において、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1983)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に4%,8%および16%オキシベンゾン-4を含む軟膏0.1mLを点眼し、点眼1,2,3および7日目に眼刺激性を評価したところ、16%濃度で角膜および結膜刺激が、8%濃度で結膜刺激がみられた(Industrial Biology Labs,1967)
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に5%オキシベンゾン-4水溶液を点眼し、点眼1,2,3,4および7日目に眼刺激性を評価したところ、いずれのウサギにおいても眼刺激性は認められなかった(Industrial Biology Labs,1962)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、5%濃度以下では共通して眼刺激性なしと報告されているため、5%濃度以下において眼刺激性はほとんどないと考えられます。

光毒性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に0.1%オキシベンゾン-4を含む基礎化粧品を対象に日光で光毒性試験を実施したところ、いずれの被検者も光毒性を示さなかった(Hill Top Research Labs,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性なしと報告されているため、光毒性はほとんどないと考えられます。

安全性についての補足

ベンゾフェノン(∗2)は、環境省によって内分泌かく乱物質の疑いがある物質としてリストアップされていますが、スウェーデンのNGO(non‐governmental organization:国際協力に携わる非政府組織)団体である ChemSec が運営する SIN-LIST(Subtitute it Now List)(∗3)にはオキシベンゾン-4はリストアップされていないため、現時点で内分泌かく乱物質の疑いはないと考えられます。

∗2 ベンゾフェノンと記載されていますが、ベンゾフェノン誘導体も試験実施されていることから、ベンゾフェノン誘導体も含まれていると考えられます。

∗3 SIN-LISTは、EUのREACH規則下で使用が法的に制限される可能性がある化学物質リストであり、発がん性、変異原性、生殖毒性、内分泌かく乱の懸念がある物質などがリスト化されています。このリスト化はあくまでも可能性や懸念を元に法的に制限されるよう促す目的のためであり、確定ベースではありません。

内分泌かく乱物質とは、日本国政府において “内分泌系に影響を及ぼすことにより、生体に障害や有害な影響を引き起こす外因性の化学物質” と定義されています(∗4)

∗4 内分泌かく乱物質は、マスコミ向けの造語として「環境ホルモン」ともいいますが、環境ホルモンという単語は不明確な用語であり、正確に伝える必要がある場合は推奨されません。

内分泌かく乱物質によるヒトにおける影響に関しては、国立医薬品食品衛生研究所によると、

Q:内分泌かく乱化学物質はどの様な問題を引き起こすのでしょうか?

A:ヒトでは、環境からの化学物質暴露による内分泌かく乱作用により有害な影響を受けたと確認された事例は今までのところありません。

Q:ヒトに対してどのような影響があるのでしょうか? 特に子供に影響があると聞いて心配です。

A:現在までのところ、内分泌系への薬理作用を期待して医薬品として使用された例を除き、内分泌かく乱化学物質と疑われる物質によりヒトに有害な影響を受けたと確認された事例ありません。

成人の内分泌系は、恒常性維持機能が完成しており、化学物質による内分泌かく乱作用に対して、抵抗性があります。

しかし、内分泌系の未発達な胎児や未熟な幼児、小児ではこの抵抗性が弱い可能性があります。

これは、胎児においては、諸器官の形成に異常や遅滞を来すことにより不可逆的な影響が一生残ってしまう可能性にもつながります。

このような観点から特に子供に影響があるのではないかと危惧されていますが、明白な影響は現在のところ分かっていません。

化学物質の他に、食生活の変動や生活環境の変化等による影響もあり、疫学調査による確認も取れていません。

実験動物を用いた研究等により、胎児や未熟な幼児、小児で起こり得る影響の作用機序の解明を急いでおり、その結果を安全性評価の検討に役立てようとしているところです。

内分泌かく乱化学物質ホームページ「内分泌かく乱物質Q&A」より引用

このような情報が公開されており(文献8:-)、現在までヒトにおける内分泌かく乱による有害な影響の報告はないと記載されています。

∗∗∗

オキシベンゾン-4は紫外線防御成分、安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:紫外線防御成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Benzophenones-1, 3, 4, 5, 9, and 11」Journal of the American College of Toxicology(2)(5),35-77.
  2. 日光ケミカルズ(2006)「紫外線防御剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,445-459.
  3. 朝田 康夫(2002)「紫外線の種類と作用は」美容皮膚科学事典,191-192.
  4. 朝田 康夫(2002)「サンタン、サンバーンとは」美容皮膚科学事典,192-195.
  5. 須加 基昭(1997)「紫外線防御スキンケア化粧品の開発」日本化粧品技術者会誌(31)(1),3-13.
  6. 国立環境研究所 有害紫外線モニタリングネットワーク(2016)「茨城県つくば局における紫外線量(UV-A,UV-B)月別値」, <http://db.cger.nies.go.jp/gem/ja/uv/uv_sitedata/graph01.html> 2019年6月10日アクセス.
  7. 本間 茂継(2014)「化粧品開発に用いられる紫外線防御素材」日本化粧品技術者会誌(48)(1),2-10.
  8. “内分泌かく乱化学物質ホームページ”(-)「内分泌かく乱物質Q&A」, <http://www.nihs.go.jp/edc/question/qanda.htm> 2019年6月12日アクセス.

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