オキシベンゾン-3とは…成分効果と毒性を解説

紫外線吸収剤
オキシベンゾン-3
[化粧品成分表示名称]
・オキシベンゾン-3

[医薬部外品表示名称]
・オキシベンゾン

ベンゾフェノン系と呼ばれるベンゾフェノン誘導体のひとつで、UVBからUVAまで吸収波長領域を有する油溶性の紫外線吸収剤です。

化粧品に配合される場合は、日焼け止め製品、メイクアップ化粧品、ネイル化粧品、スキンケア化粧品、香水などに幅広く配合されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

オキシベンゾン-3の配合製品数と配合量の比較調査結果

オキシベンゾン-3はポジティブリストに分類されているため配合上限があり、以下のような配合基準となっています。

粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 配合上限なし
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 5.0g/100g
粘膜に使用されることがある化粧品 5.0g/100g

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オキシベンゾン-3の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

オキシベンゾン-3の現時点での安全性は、皮膚刺激性、光毒性および眼刺激性はほとんどありませんが、まれに皮膚感作(アレルギー)を引き起こす報告があり、さらに濃度や塗布時間に依存して細胞毒性を引き起こすことが明らかになっているため、安全性に問題のある成分であると考えられます。

まれに光感作(光アレルギー)を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

光感作の特徴は、一般的にかゆみを伴う湿疹様反応で、発症までの時間は24~48時間、少量でも反応が生じます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Benzophenones-1, -3, -4, -5, -9, and -11」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 14人の被検者に4%,8%,16%オキシベンゾン-3溶液を24時間単一閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に評価したところ、いずれの被検者も皮膚反応を示さず、この試験物質は皮膚刺激剤ではなかった
  • [ヒト試験] 100人の被検者に25%オキシベンゾン-3を含むワセリンを誘導期間において24時間パッチを週3回合計10回適用し、1週間の無処置期間を設けた後に未処置部位にチャレンジパッチを適用し、パッチ除去後に試験部位を評価したところ、いずれの被検者も皮膚反応を示さず、この試験物質は非刺激剤および非感作剤であると結論づけられた
  • [ヒト試験] 203人の被検者に3%オキシベンゾン-3を含む化粧水を誘導期間において24時間パッチ適用し、パッチ除去後24時間の休息の手順を10回繰り返し、2週間の休息期間の後に72時間チャレンジパッチを未処置部位に適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、いずれの被検者も皮膚反応は観察されず、刺激性および感作性はなしと判断された
  • [ヒト試験] 100人の被検者に3%オキシベンゾン-3を含む日焼け止め製剤を48時間単一パッチ適用したところ、いずれの被検者も皮膚刺激はみられなかった
  • [ヒト試験] 150人の被検者に3%オキシベンゾン-3を含む日焼け止め製剤を誘導期間において24時間パッチを週3回合計10回適用し、1週間の無処置期間を設けた後に未処置部位にチャレンジパッチを適用し、パッチ除去後に試験部位を評価したところ、いくつか非特異反応がみられたが、一次皮膚刺激反応ではなく、皮膚増感剤でもないと判断した
  • [ヒト試験] 150人の被検者に3%オキシベンゾン-3を含む日焼け止め製剤を誘導期間において24時間パッチ適用し、パッチ除去後24時間の休息の手順を10回繰り返し、2週間の休息期間の後に72時間チャレンジパッチを未処置部位に適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、チャレンジパッチにおいて軽度の皮膚刺激が観察されたが、皮膚感作反応ではないと結論付けられた
  • [ヒト試験] 57人の被検者に3%オキシベンゾン-3を含む日焼け止め製剤を誘導期間において24時間パッチを週3回合計10回適用し、1週間の無処置期間を設けた後に未処置部位にチャレンジパッチを適用し、パッチ除去後に試験部位を評価したところ、1人の被検者に感作反応がみられたため、この試験物質は最小限の感作剤の可能性があると判断された

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献2:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた試験においてオキシベンゾン-3適用24および48時間後に軽度から中等の紅斑が認められたとの報告があるが(HSDB,2007)、試験の詳細が不明であり、データ不足である
  • [ヒト試験] オキシベンゾン-3は日焼け止め製剤として使用され、アレルギー反応が報告され(Contact Dermatitis,2006)、Contact Dermatitis(Frosch)(4th,2006)に感作性物質として掲載されている

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性の報告はありませんが、安全データとして比較的新しい”職場のあんぜんサイト”では詳細が不明ですが、皮膚感作性の報告があるため、皮膚刺激性はほとんどありませんが、皮膚感作(アレルギー)を引き起こす可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Benzophenones-1, -3, -4, -5, -9, and -11」(文献1:1983)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に4%,8%,16%オキシベンゾン-3を含む溶液またはワセリン0.1mLを注入し、眼はすすがず、1,2,3および7日目に評価したところ、眼刺激は観察されなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%オキシベンゾン-3(100ng)を注入し、Draize法に基づいて1,2,3,4および7日目に評価したところ、非刺激性であった

と記載されています。

試験では共通して眼刺激はまったくなしと報告されているため、眼刺激性はないと考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Benzophenones-1, -3, -4, -5, -9, and -11」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に2%オキシベンゾン-3を含むローションまたは3.5%オキシベンゾン-3を含むサンタンローションを適用し、UVAおよびUVBを照射した後に試験部位を評価したところ、いずれの被検者も皮膚反応は示さず、光毒性はなかった
  • [ヒト試験] 12人の被検者に3%オキシベンゾン-3を含む日焼け止め製剤を適用し、UVAを照射した後に試験部位を評価したところ、1人の被検者にわずかな刺激が観察されたが、光毒性とは関係なしと判断され、この試験物質は光毒性なしと結論づけられた
  • [ヒト試験] 27人の被検者に3.5%オキシベンゾン-3を含むサンタンローションを適用し、UVAを照射した後に試験部位を評価したところ、1人の被検者に皮膚感作反応がみられたが、UVA照射による反応ではないと判断され、光感作剤ではないと結論づけられた
  • [ヒト試験] 27人の被検者に2%オキシベンゾン-3を含むフェイスローションを適用し、UVAを照射した後似試験部位を評価したところ、3人の被検者に皮膚刺激反応がみられたが、光感作とは関連がないと判断され、この試験物質は光感作剤ではないと結論づけられた
  • [ヒト試験] 25人の被検者に3.5%オキシベンゾン-3を含む化粧水を適用し、UVAを照射した後に試験部位を評価したところ、光感作を引き起こさなかった

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全性データシート(文献2:2012)によると、

  • [ヒト試験] 日光による湿疹様発疹の再発に悩まされていた42歳女性が、光パッチテストにより本物質に対する光感作性を有することが明らかにされた(NTP TOX21,1992)こと、また光感作性の病歴のある62歳男性が本物質を含む遮光剤使用後、接触性皮膚炎を発症し、パッチテストで陽性反応を示した(HSDB,2007)ことからGHS分類で区分1(重度の皮膚感作性)に分類されている

と記載されています。

試験結果としては共通して光毒性および光感作性なしと報告されており、光毒性はほとんどないと考えられますが、2011年に日本臨床免疫学会会誌に掲載された「光アレルギー」(文献6:2011)によると、オキシベンゾン-3は光接触皮膚炎の主な原因物質のひとつに挙げられており、紫外線吸収剤の中でもとくに光アレルギーの報告が多い成分であると記載されているため、光感作が起こる可能性があると考えられます。

また、”職場のあんぜんサイト”によると、個別ケースとして過去に光感作性を発症していたり、日光による皮膚炎などの発症歴のある場合に、オキシベンゾン-3でも光感作性を引き起こすケースが報告されているため、このケースに当てはまる場合は、光感作(光アレルギー)が起こる可能性が高くなると考えられます。

安全性についての捕捉

オキシベンゾン-3は、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の疑いがあり、スウェーデンのNGOであるChemSecのSINリスト(∗2)にも記載されています。

∗2 EUの新たな化学物質政策、REACHの基準による非常に高い懸念のある物質の特別のリストのことです。

Wikipediaによると、内分泌かく乱物質とは、環境中に存在する化学物質のうち、生体にホルモン作用をおこしたり、逆にホルモン作用を阻害するもので、生体に障害や有害な影響を引き起こす外因性の化学物質と日本政府では定義されています。

このように書くと、内分泌かく乱物質であることが確定であるように捉えられるおそれがありますが、環境省が2005年に公開した「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について」という資料(文献3:2005)によると、

ベンゾフェノン類(オキシベンゾン-3を含む)を含む28物質でラットを用いた試験を実施し、いずれの物質でもヒト推定暴露量を考慮した用量では明らかな内分泌かく乱作用は認められないと判断した。

動物試験であるからには、飼料から完全に除去することができず定量に制御することもできない物質(たとえば植物由来のエストロジェン作用を持つ物質やフタル酸エステル類など )が存在する中での試験であり、現実的には作用物質の暴露量ゼロであるような対照群を設定することはできない中で、ヒト推定暴露量を考慮した用量のレベルにおいてこれ以上精密に変化を捉えることには限界があることが明らかとなった。

今後は、ヒトが暴露する可能性がある用量だけでなく、各種の毒性評価の手法も参考とした用量設定の検討が必要である。

と記載されており、2005年時点では試験方法が適切ではないことを明記しつつ、オキシベンゾンにおける内分泌かく乱作用は認められておらず、また、2016年時点でも、オキシベンゾンにおける内分泌かく乱作用は認められていないため、現時点では内分泌かく乱物質だとは認められないといえます(文献4:2016)

ただし、2005年に東京都健康安全研究センターによって公開されている「2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン (紫外線吸収剤)は中間代謝物を介してエストロゲン様作用を誘導する」(文献5:2005)によると、

  • 代謝実験において、経口あるいは経皮的に取り込まれたオキシベンゾン-3は肝臓で迅速に代謝を受けたのち、尿及び胆汁を経て体外に排泄される。
  • オキシベンゾン-3がラット肝細胞において暴露濃度と時間に依存した細胞毒性を惹起し、同時に細胞内ATP(アデノシン三リン酸)の枯渇を伴うことを示している。
  • このオキシベンゾン-3による肝細胞傷害の発現は、肝臓が同化合物の標的器官のひとつであることを支持しており、また細胞内ATPの急激な枯渇は、オキシベンゾン-3の標的部位がミトコンドリア呼吸系であることを示唆している。
  • 化学物質の体内動態が投与経路に大きく依存するという事実は、オキシベンゾン-3のエストロゲン様作用が経皮的に比べ経口的摂取で強く誘導することを示唆する。

かなり専門的な論文ですが、重要なのは、

  • 経皮的に取り込まれたオキシベンゾン-3であっても肝臓で代謝を受けるということ
  • ラットでの実験ですが、肝細胞において暴露濃度と時間に依存した細胞毒性を惹起すること
  • 細胞毒性の惹起と同時に細胞内ATPの枯渇を伴うこと

という部分で、経口だけでなく経皮からでも肝臓で代謝され、肝臓で濃度と塗布時間に比例した細胞毒性が生じることが明らかになっているため、化粧品で使用されるオキシベンゾン-3も対象となります。

ただし、厚生労働省が定めた配合上限として洗い流さないもの(皮膚に塗布するもの)は5%までは安全とされているため、配合上限内であれば安全なのか、5%未満でも細胞毒性の危険があるのかは明らかにされていないため、現時点では使用を避けたほうがいいと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
オキシベンゾン-3

参考までに化粧品毒性判定事典によると、オキシベンゾン-3の毒性は■(∗3)となっていますが、これはポジティブリストに分類されている紫外線吸収剤共通の判定です。

安全性に関する資料の中で、細胞毒性を引き起こすことが明らかになっており、これが配合上限未満であれば安全なのかどうか現時点で明らかでないため、使用を避けたほうがいい成分であると考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

オキシベンゾン-3は紫外線防止成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:紫外線防止成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Benzophenones-1, -3, -4, -5, -9, and -11」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818309140714> 2018年2月8日アクセス.
  2. “職場のあんぜんサイト”(2012)「安全データシート (2‐ヒドロキシ‐4‐メトキシフェニル)(フェニル)メタノン」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/131-57-7.html> 2018年2月8日アクセス.
  3. 環境省(2005)「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について-ExTEND2005-」, <http://www.env.go.jp/chemi/end/extend2005/01.pdf> 2018年2月13日アクセス.
  4. 環境省(2016)「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対-ExTEND2016-」, <http://www.env.go.jp/chemi/end/extend2016/HP_EXTEND2016re3.pdf> 2018年2月13日アクセス.
  5. “東京都健康安全研究センター”(2005)「2-ヒドロキシ -4-メトキシベンゾフェノン (紫外線吸収剤)は中間代謝物を介してエストロゲン様作用を誘導する」, <http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/journal/2005/pdf/56-60.pdf> 2018年2月13日アクセス.
  6. 川田 暁(2011)「光アレルギー」日本臨床免疫学会会誌Vol.34(1),p8-12.

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