タピオカデンプンの基本情報・配合目的・安全性

タピオカデンプン

化粧品表示名称 タピオカデンプン
化粧品国際的表示名称(INCI名) Tapioca Starch
配合目的 感触改良増粘結合 など

1. 基本情報

1.1. 定義

トウダイグサ科植物キャッサバ(学名:Manihot esculenta 英名:cassava)の塊根から得られる粘質物であり、以下の化学式で表されるグルコースが直鎖状にα-1,4結合したアミロース(amylose:下図左)と、同じくグルコースがα-1,6結合によって分枝をもつアミロペクチン(amylopectin:下図右)から成る混合物(多糖)(∗1)かつ植物系水溶性高分子です[1a][2][3a][4a]

∗1 タピオカデンプンは、アミロース含量が17%前後で残りがアミロペクチンとなっています[3b]

タピオカデンプン

1.2. 分布

タピオカデンプンは、自然界においてトウダイグサ科植物キャッサバ(学名:Manihot esculenta)の塊根に存在しています[4b]

1.3. 化粧品以外の主な用途

タピオカデンプンの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
食品 径1-6mmの球状に成形したタピオカデンプンが、スープの浮き身、プディングに用いられるほか、タピオカドリンクとして広く用いられています[5][6]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 展延性および付着性による感触改良
  • 親水性増粘
  • 結合

主にこれらの目的でメイクアップ化粧品、化粧下地製品、ボディ&ハンドケア製品、スキンケア化粧品、洗顔料、シャンプー製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、ヘアスタイリング製品、入浴剤など様々な製品に使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 展延性および付着性による感触改良

展延性および付着性による感触改良に関しては、タピオカデンプンは付着性をもつことから、多面形で平均粒径17μmの粉体が皮膚への付着性や粉体自体の伸びを改良する目的でフェイスパウダーなど粉体系製品に使用されています[7a][8]

2.2. 親水性増粘

親水性増粘に関しては、タピオカデンプンは温水で溶かすとゲル化性を示すことから、ゲル化や粘度調整目的でスキンケア化粧品に使用されています[1b][7b][9]

2.3. 結合

結合に関しては、タピオカデンプンは適度な付着性・接着性をもつことから、粉体原料同士を皿状容器に圧縮成型するとき、粉体原料同士のくっつきをよくしたり、使用時に粉が周囲に飛び散るのを防ぐ目的で主にプレストパウダーや固形入浴剤(バブルバー)などに用いられます[10]

3. 配合製品数および配合量範囲

配合製品数および配合量に関しては、海外の2013-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗2)

∗2 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

タピオカデンプンの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2015年)

4. 安全性評価

タピオカデンプンの現時点での安全性は、

  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

4.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「タピオカデンプン」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,634.
  2. 大木 道則, 他(1989)「デンプン」化学大辞典,1553.
  3. ab町田 誠之・稲野 光正(1966)「デンプンの化学:その工業化学的利用を中心として」化学教育(14)(2),130-137. DOI:10.20665/kagakukyouiku.14.2_130.
  4. ab高橋 伸(1987)「タピオカ澱粉について」熱帯農業(31)(1),72-76. DOI:10.11248/jsta1957.31.72.
  5. 杉田 浩一, 他(2017)「タピオカパール」新版 日本食品大事典,526.
  6. 前原 俊介・朴 壽永(2021)「日本におけるタピオカドリンクブームの発生要因分析」農業情報研究(30)(2),109-120. DOI:10.3173/air.30.109.
  7. ab鈴木 繁男(1966)「デンプンの科学とデンプン粒の特性」高分子(15)(3),222-227. DOI:10.1295/kobunshi.15.222.
  8. 日光ケミカルズ株式会社(2016)「有機天然粉体」パーソナルケアハンドブックⅠ,293-294.
  9. Ng C.F. Grace & C.J. Henry(2020)「The Physicochemical Characterization of Unconventional Starches and Flours Used in Asia」Foods(9)(2),182. DOI:10.3390/foods9020182.
  10. 光井 武夫(1984)「化粧品に用いられる水溶性高分子の重要な機能」新増補 水溶性高分子,210-219.

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