酢酸セルロースの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | 酢酸セルロース |
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医薬部外品表示名 | 酢酸セルロース末 |
INCI名 | Cellulose Acetate |
配合目的 | 感触改良、研磨・スクラブ など |
1. 基本情報
1.1. 定義
セルロースの酢酸エステルであり、以下の化学式で表されるセルロースのグルコース骨格の2,3,6位のヒドロキシ基(-OH)がランダムでアセチル基(-COCH3)に置換されたセルロース誘導体です[1][2][3]。
1.2. 化粧品以外の主な用途
酢酸セルロースの化粧品以外の主な用途としては、
分野 | 用途 |
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医薬品 | コーティング目的の医薬品添加剤として経口剤に用いられています[4]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
- 潤滑性および展延性による感触改良
- 研磨・スクラブ
主にこれらの目的でメイクアップ製品、化粧下地製品、ピーリング製品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 潤滑性および展延性による感触改良
潤滑性および展延性による感触改良に関しては、酢酸セルロースは適度な吸湿性および保水性を有しており、滑らかな感触および良好な伸び性を付与することから、感触を調整する目的で使用されています[5a][6a]。
2.2. 研磨・スクラブ
研磨・スクラブに関しては、酢酸セルロースは適度な吸油性および吸湿性をもつことから[5b]、球状粒子にしたものが物理的に皮膚の汚れや古い角質を吸着・除去するスクラブ剤としてピーリング製品、ボディケア製品などに使用されています。
3. 配合製品数および配合量範囲
配合製品数および配合量に関しては、海外の2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
4. 安全性評価
- 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:ほとんどなし
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
ダイセルの安全性データ[6b]によると、
- [ヒト試験] 50名の被検者に酢酸セルロース(濃度不明)を対象にHRIPT(皮膚刺激性&感作性試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激および皮膚感作反応を示さなかった
このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
4.2. 眼刺激性
ダイセルの安全性データ[6c]によると、
- [in vitro試験] ヒト3次元培養角膜上皮モデルの上に酢酸セルロースを適用し、一定時間後に角膜上皮細胞の細胞生存率を測定したところ(RhCE法)、この試験物質は非刺激剤であった
このように記載されており、試験データをみるかぎり眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。