プルランの基本情報・配合目的・安全性

プルラン

化粧品表示名称 プルラン
医薬部外品表示名称 プルラン
化粧品国際的表示名称(INCI名) Pullulan
配合目的 感触改良 など

1. 基本情報

1.1. 定義

デンプン分解物(水飴)を基質としてアウレオバシジウム属菌Aureobasidium pullulansの培養によって得られる産生粘質物であり、以下の化学式で表されるグルコースの三量体(∗1)のマルトトリオースが重合度100-5,000で直鎖状に結合(α-1,6結合)したα-グルカン(多糖)かつ微生物系水溶性高分子です[1a][2a]

∗1 重合を行う際の基質のことを単量体といい、単量体が3個結合(重合)したものを三量体といいます。マルトトリオース(maltotriose)は単量体のグルコース(glucose)が3個結合した三量体です。

プルラン

1.2. 分布

プルランは、自然界においてアウレオバシジウム属菌Aureobasidium pullulansの菌体外産生物として存在しています[3]

1.3. 化粧品以外の主な用途

プルランの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
食品 接着目的でとろろ昆布、米菓、豆菓子、ガム、キャンディなどに、皮膜形成目的で味付け海苔、みりん干しなどに、粘着目的でタレ・ソース類、冷凍食品、佃煮、漬物などに用いられています[4][5]
医薬品 基剤、結合、コーティング、糖衣、賦形目的の医薬品添加剤として経口剤、外用剤、歯科外用剤および口中用剤に用いられています[6]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 潤滑性および密着性による感触改良

主にこれらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、マスク製品、洗顔料、クレンジング製品、ボディソープ製品、ヘアスタイリング製品、まつ毛美容液などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 潤滑性および密着性による感触改良

潤滑性および密着性による感触改良に関しては、プルランは高分子多糖の中では粘性が低いですが、ヒドロキシ基(-OH)が多いことから水に溶けやすく、保水性をもつとろみを付与し基剤のなめらかさを向上させることから、感触改良目的で様々な製品に使用されています[7a][8]

また、プルランは密着性・接着性が高いことから[7b]、フェイスマスクの密着性を向上し機能性成分の浸透性を高めたり、ヘアスタイリング剤、まつ毛美容液などに使用されています。

3. 混合原料としての配合目的

プルランは、混合原料が開発されており、プルランと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 NATULIGHTGEL Si
構成成分 リゾレシチンスクレロチウムガムプルランキサンタンガムシリカ
特徴 大豆由来リゾレシチンと、微生物由来のスクレロチウムガム、キサンタンガム、プルランを安定かつ良好な感触になるように調合した天然系増粘乳化剤
原料名 SILIGEL
構成成分 レシチンスクレロチウムガムプルランキサンタンガムシリカ
特徴 耐塩性があり、海水や超硬水もゲル化可能なゲル化剤
原料名 PatcH2O
構成成分 グリセリン、ポリアクリル酸グリセリル、トレハロース尿素セリンペンチレングリコールアルギン酸Naカプリリルグリコールヒアルロン酸Naプルランリン酸2Naリン酸K
特徴 ポリマーネットワークにより角質層に徐々に保湿成分をリリースし即効的かつ持続的な保湿効果を発揮するよう設計された、保湿物質を含むバイオポリマーネットワーク原料

4. 配合製品数および配合量範囲

配合製品数および配合量に関しては、海外の2011-2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗2)

∗2 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

プルランの配合製品数と配合量の調査結果(2011-2012年)

5. 安全性評価

プルランの現時点での安全性は、

  • 食品添加物の既存添加物リストに収載
  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 1986年からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

5.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

食品添加物の既存添加物リストおよび日本薬局方に収載されており、1986年からの使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

5.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

6. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「プルラン」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,854.
  2. ab日光ケミカルズ株式会社(2016)「高分子」パーソナルケアハンドブックⅠ,106-134.
  3. 中村 敏(1984)「プルランの製造と利用」日本化粧品技術者会誌(18)(2),142-145. DOI:10.5107/sccj.18.142.
  4. 樋口 彰, 他(2019)「プルラン」食品添加物事典 新訂第二版,308-309.
  5. 松田 忍(1994)「プルランの食品と医薬品への応用」ファルマシア(30)(10),1173-1178. DOI:10.14894/faruawpsj.30.10_1173.
  6. 日本医薬品添加剤協会(2021)「プルラン」医薬品添加物事典2021,526-527.
  7. ab中村 敏(1984)「プルランについて」有機合成化学協会誌(42)(6),584-588. DOI:10.5059/yukigoseikyokaishi.42.584.
  8. 塩坂 誠(1996)「プルランとその応用」繊維学会誌(52)(1),31-35. DOI:10.2115/fiber.52.P31.

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