ジメチコンクロスポリマーの基本情報・配合目的・安全性

ジメチコンクロスポリマー

化粧品表示名称 ジメチコンクロスポリマー
化粧品国際的表示名称(INCI名) Dimethicone Crosspolymer
配合目的 感触改良ソフトフォーカス など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表されるジメチコンを炭素数3-20(C3-20のアルキル基で架橋した共重合体の微粒子(∗1)です[1][2a]

∗1 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指し、2種類以上の単量体(モノマー:monomer)がつながってできているものを共重合体(copolymer:コポリマー)とよびます。また共重合体を微粒子化したものをクロスポリマー(crosspolymer)とよびます。

ジメチコンクロスポリマー

1.2. 性状

ジメチコンクロスポリマーの性状は、

外観 平均粒子径サイズ(μm)
球状粉体 1-8

このように報告されています[3a]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • パウダリー感付与、なめらかさ向上およびベタつき感軽減による感触改良
  • ソフトフォーカス効果

主にこれらの目的で、メイクアップ製品、化粧下地製品、コンシーラー製品、スキンケア製品、ボディケア製品などに汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. パウダリー感付与、なめらかさ向上およびベタつき感軽減による感触改良

パウダリー感付与、なめらかさ向上およびベタつき感軽減による感触改良に関しては、ジメチコンクロスポリマーは球状シリコーンエラストマーパウダー(∗2)であり、シルクのようなパウダリー感、非常に優れたなめらかさおよびべたつきのない感触を付与することから[3b][4a]、粉体基剤、スティック基剤および乳化物の感触を改良する目的でメイクアップ製品、化粧下地製品、コンシーラー製品、スキンケア製品、ボディケア製品などに汎用されています。

∗2 エラストマー(elastomer)とは、英語の「elastic(弾性がある、伸縮性がある)」と「polymer(重合体)」を組み合わせた造語で、弾性のある高分子の総称であり、シリコーンエラストマーとは、シリコーンポリマーを三次元網目状につないだ架橋ポリマーを指します。シリコーン油などの直鎖状シリコーンポリマーが滑り性やツヤなどの効果を発揮するのに対し、シリコーンエラストマーは弾力感やマットな外観、皮脂の吸収など通常のシリコーンポリマーとは異なる特性を発揮します。

2.2. ソフトフォーカス効果

ソフトフォーカス効果に関しては、まず前提知識として毛穴や小じわと光の関係およびソフトフォーカス効果について解説します。

肌の表面は皮表と呼ばれ、以下の図のように、

皮表の構造

凸部の皮丘と凹部の皮溝で構成された肌理(キメ)構造によって形成されています。

皮丘には多くの光が当たることで明るくなる一方で、皮溝、小ジワ、毛穴などくぼんだ部分には光が当たりにくく影になり、その明度差がくぼみ部分を目立たせることが知られています[5]

このような背景から、くぼみ部分を目立ちにくくさせるには、

  • 皮膚表面の凹凸間の輪郭をぼかすこと
  • 皮膚表面の凹凸間の明度差を減少させること

この2点が重要であるというソフトフォーカス理論が報告され[6]、また以下のソフトフォーカス効果の仕組み図をみてもらうとわかるように、

ソフトフォーカス効果の仕組み

球状という形態から球状粉体が光を乱反射し、この乱反射により肌表面の光情報が隠されて凹凸をぼかすソフトフォーカス効果を発揮することが知られています[7][8]

ジメチコンクロスポリマーは球状粉体であり、ソフトフォーカス効果を有していることから[4b]、ファンデーション製品、コンシーラー製品などに汎用されています。

3. 混合原料としての配合目的

ジメチコンクロスポリマーは、混合原料が開発されており、ジメチコンクロスポリマーと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 DOWSIL 9045 Silicone Elastomer Blend
構成成分 ジメチコンジメチコンクロスポリマー
特徴 パウダリー感のある厚みある化粧膜を形成するシリコーンエラストマー混合物
原料名 DOWSIL 9045 Silicone Elastomer Blend
構成成分 シクロペンタシロキサンジメチコンクロスポリマー
特徴 パウダリー感のある厚みある化粧膜を形成するシリコーンエラストマー混合物
原料名 DOWSIL EL-TIPS Silicone Elastomer
構成成分 シクロペンタシロキサンジメチコンクロスポリマー、(C13-15)アルカン
特徴 パウダリー感のある厚みある化粧膜を形成するシリコーンエラストマー混合物
原料名 DOWSIL 9546 Silicone Elastomer Blend
構成成分 シクロペンタシロキサンジメチコンクロスポリマー(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマージメチコノール
特徴 パウダリー感のある厚みある化粧膜を形成するシリコーンエラストマー混合物
原料名 DOWSIL 9576 Smooth Away Elastomer
構成成分 ジメチコンジメチコンクロスポリマー(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーミツロウシリル化シリカシリカ
特徴 優れたソフトフォーカス効果を発揮するシリコーンエラストマー混合物

4. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗3)

∗3 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ジメチコンクロスポリマーの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

5. 安全性評価

ジメチコンクロスポリマーの現時点での安全性は、

  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

5.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[2b]によると、

  • [ヒト試験] 101名の被検者に100%ジメチコンクロスポリマーを対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、いずれの被検者においても有害な皮膚反応はみられず、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Silicones Environmental Health and Safety Council,-)

このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

5.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[2c]によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に12%ジメチコンクロスポリマーを含むシクロメチコンを点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、この試験物質は眼刺激剤ではなかった(National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme,2000)

このように記載されており、試験データをみるかぎり眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

6. 参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「ジメチコンクロスポリマー」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,506.
  2. abcL.C. Becker, et al(2014)「Safety Assessment of Dimethicone Crosspolymers as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(33)(2_suppl),65S-115S. DOI:10.1177/1091581814524963.
  3. abダウ・東レ株式会社(2019)「DOWSIL EP-9610 Cosmetic Powder」Technical Data Sheet.
  4. ab東レ・ダウコーニング株式会社(2018)「DOWSIL EP-9610 Cosmetic Powder」Fragrance Journal(46)(9),70-71.
  5. 栗林 さつき(2005)「毛穴対策用メイクアップ化粧料」Fragrance Journal(33)(9),33-38.
  6. 中村 直生, 他(1987)「粉体の光学的研究とシワ隠し効果」日本化粧品技術者会誌(21)(2),119-126. DOI:10.5107/sccj.21.119.
  7. 南 孝司(2003)「デフォーカス効果」化粧品事典,610.
  8. 毛利 邦彦(1996)「ファンデーション用粉体の開発動向」色材協会誌(69)(8),530-538. DOI:10.4011/shikizai1937.69.530.

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