PPG-4セテス-20の基本情報・配合目的・安全性

PPG-4セテス-20

化粧品表示名 PPG-4セテス-20
医薬部外品表示名 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(20E.O.)(4P.O.)
部外品表示簡略名 POE(20)POP(4)セチルエーテル
INCI名 PPG-4-Ceteth-20
配合目的 乳化可溶化

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表されるセタノールに酸化エチレン(約20モル)および酸化プロピレン(約4モル)をエーテル結合して得られるエーテルであり、酸化エチレン縮合型のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルに分類される非イオン性界面活性剤(ノニオン性界面活性剤)です[1]

PPG-4-セテス-20

1.2. 性状

PPG-4セテス-20の性状は、

状態 白-微黄色の固体

このように報告されています[2a]

1.3. 化粧品以外の主な用途

PPG-4セテス-20の化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
医薬品 可溶・可溶化、乳化目的の医薬品添加剤として外用剤に用いられています[3]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 親水性乳化
  • 可溶化

主にこれらの目的で、スキンケア製品、マスク製品、クレンジング製品、洗顔料、シャンプー製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、アウトバストリートメント製品、ヘアスタイリング製品、プレスタイリング製品など様々な製品に使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 親水性乳化

親水性乳化に関しては、まず前提知識として乳化、エマルションおよびHLBについて解説します。

乳化とは、互いに溶け合わない2種の液体の一方が微細な液滴(乳化粒子)となり他方の液体中に均一に分散されることをいいます[4][5]

そして、油と水のように互いに溶け合わない2種の液体の一方が微細な液滴(乳化粒子)として他の液体中に分散している乳化物をエマルション(emulsion)といい[6]、基本的なエマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散しているO/W型(Oil in Water type:水中油滴型)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散しているW/O型(Water in Oil type:油中水滴型)があります[7]

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

次に、界面活性剤のように分子内に水になじむ部分と油になじむ部分を併せもつ両親媒性分子は、どちらかといえば水になじみやすいものとどちらかといえば油になじみやすいものがあり、このわずかな親和性の違いが界面活性剤の挙動を劇的に変えることが知られています[8][9a]

このような背景から、界面活性剤の水と油へのなじみやすさの程度を示す指標としてHLB(hydrophile-lipophile-balance:親水性-親油性バランス)が提案・提唱されており、以下の図のように、

界面活性剤のHLB値とその作用、水への分散・溶解の挙動

HLB「7」を基準とし、「7」以上でどちらかといえば親水性を、「7」以下でどちらかといえば親油性を示すことが予想され、またHLB8-18の界面活性剤はO/W型エマルションを、HLB3.5-6の界面活性剤はW/O型エマルションを形成することが知られていることから、界面活性剤型乳化剤の作用を知る上で有用であると考えられています[9b]

PPG-4セテス-20の乳化の特徴は、

乳化の種類 HLB
O/W型乳化 16.5[2b]

このように報告されており、親水性乳化剤としてスキンケア製品、マスク製品、クレンジング製品、洗顔料、シャンプー製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、アウトバストリートメント製品、ヘアスタイリング製品、プレスタイリング製品など様々な製品に使用されています。

2.2. 可溶化

可溶化に関しては、PPG-4セテス-20はHLB16.5の親水性乳化剤であり、可溶化作用をもつことから[2c]、一般に透明の水溶性基剤の中に香料や油性成分を透明かつ均一に溶かし込む目的で使用されています。

3. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗1)

∗1 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

PPG-4セテス-20の配合製品数と配合量の比較調査結果(2013年)

4. 安全性評価

PPG-4セテス-20の現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(PEG/PPGアルキルエーテル)は、アルキルアルコールに1モル以上のPEGおよびPPGが結合したエーテルですが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(PEGアルキルエーテル)と似た物理化学的特性を有しており、PEGアルキルエーテルは非刺激性となるように処方されている場合において安全であることが判明しています[10a]

また、PEGアルキルエーテルとの唯一の違いはポリオキシプロピレン(PPG)の有無ですが、PPGは非刺激性となるように配合されている場合は安全であることが明らかとなっています[10b]

PPG-4セテス-20については、

  • PEGアルキルエーテルおよびPPGはそれぞれ非刺激性となるように処方されている場合に安全性が明らかにされている
  • 構造的に類似しているPPG-5セテス-20ではヒト試験データがあり、皮膚刺激性および皮膚感作性がほとんどないことが報告されている[10c]

これらを根拠として、ならびに20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

5. 参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「PPG-4セテス-20」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,84.
  2. abc日光ケミカルズ株式会社(2021)「ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル」製品カタログ,39-40.
  3. 日本医薬品添加剤協会(2021)「ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル」医薬品添加物事典2021,592.
  4. 薬科学大辞典編集委員会(2013)「乳化」薬科学大辞典 第5版,1150.
  5. 鈴木 敏幸(2003)「乳化」化粧品事典,638-639.
  6. 鈴木 敏幸(2003)「エマルション」化粧品事典,356.
  7. 田村 健夫・廣田 博(2001)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  8. 鈴木 敏幸(2003)「親水性-親油性バランス」化粧品事典,531.
  9. ab野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学 -基礎から応用まで,35-39.
  10. abcM.M. Fiume, et al(2016)「Safety Assessment of Alkyl PEG/PPG Ethers as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(35)(1_suppl),60S-89S. DOI:10.1177/1091581816650626.

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