PPG-1/PEG-1ステアラミンとは…成分効果と毒性を解説

帯電防止
PPG-1/PEG-1ステアラミン
[化粧品成分表示名称]
・PPG-1/PEG-1ステアラミン

化学構造的に脂肪族アミンの一種であるステアラミンに平均1モルの酸化エチレンと平均1モルの酸化プロピレンを付加したステアラミンのアルコキシル誘導体であり(文献1:2011)、アミン塩型の脂肪酸アミドアミン塩エチレンオキシド付加物に分類される陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でヘアコンディショナー、ヘアトリートメント製品に使用されています。

帯電防止

帯電防止に関しては、まず前提知識として帯電防止について解説します。

水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、

陽イオン界面活性剤の構造図

親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。

そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります(文献2:1990;文献3:2010)

2011年に川研ファインケミカルによって公開された毛髪表面に対するPPG-1/PEG-1ステアラミンの動摩擦への影響によると、

毛髪表面のキューティクルが荒れた状態のダメージヘアにPPG-1/PEG-1ステアラミンをはじめ代表的な帯電防止剤(ベヘントリモニウムクロリドステアルトリモニウムクロリドベヘナミドプロピルジメチルアミンステアラミドプロピルジメチルアミン)をそれぞれ配合したコンディショナーで処理し、動摩擦係数を測定したところ、以下のグラフのように、

カチオン界面活性剤における毛髪表面の動摩擦係数

PPG-1/PEG-1ステアラミンは、他の帯電防止剤と比較して最も優れた指通り向上性を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献1:2011)、PPG-1/PEG-1ステアラミンに毛髪表面の滑らかさおよび指通り性の向上が認められています。

従来の脂肪酸アミドアミン塩(∗1)ではこのような高いコンディショニング効果は実現できませんでしたが、PPG-1/PEG-1ステアラミンの場合は親水基部分に平均1モルの酸化エチレンと平均1モルの酸化プロピレンを付加した特異的な構造をもち、この構造が毛髪の滑らかさおよび指通りの向上やダメージからの保護に作用します(文献4:2015)

∗1 代表的な脂肪酸アミドアミン塩としてはベヘナミドプロピルジメチルアミンステアラミドプロピルジメチルアミンなどが挙げられます。

また、PPG-1/PEG-1ステアラミンと四級アンモニウム塩(∗2)では以下のような使用感の違いがありますが、

∗2 代表的な四級アンモニウム塩としてベヘントリモニウムクロリドステアルトリモニウムクロリドなどがあります。

ベヘントリモニウムクロリドとの併用効果

感触や仕上がりを調整する目的で四級アンモニウム塩と併用されることが多いです(文献4:2015)

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PPG-1/PEG-1ステアラミンの安全性(刺激性・アレルギー)について

PPG-1/PEG-1ステアラミンの現時点での安全性は、

  • 2011年からの使用実績
  • 皮膚刺激性:1%濃度において中程度
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

川研ファインケミカルの安全性データ(文献1:2011)によると、

  • 1%PPG-1/PEG-1ステアラミンの皮膚一次刺激性試験の結果、中程度の刺激剤だと判定された
  • 1%PPG-1/PEG-1ステアラミンの連続皮膚刺激性試験の結果、皮膚刺激性ありと判定された
  • [ヒト試験] 0.1%PPG-1/PEG-1ステアラミンのヒトパッチ皮膚感作試験の結果、この試験物質は陰性であると判定された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作なしと報告されており、皮膚刺激性は1%濃度において中程度の刺激が報告されていることから、化粧品配合量および通常使用下において、皮膚感作性はほとんどなく、また皮膚刺激性は中程度の皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

ただし、PPG-1/PEG-1ステアラミンは主にヘアケア製品のみに配合されることから、化粧品配合量およびリンスオフ製品(∗3)としての通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

∗3 リンスオフ製品とは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

眼刺激性について

川研ファインケミカルの安全性データ(文献1:2011)によると、

  • 未希釈のPPG-1/PEG-1ステアラミンの眼刺激性試験の結果、最小限の眼刺激性と判定された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、未希釈で最小限の眼刺激と報告されているため、一般に眼刺激性は非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

∗∗∗

PPG-1/PEG-1ステアラミンは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. 川研ファインケミカル株式会社(2011)「ヘアコンディショニング剤 カワソフトEP59S」技術資料.
  2. 田村 健夫, 他(1990)「ヘアリンスの主剤とその作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,456-460.
  3. 鐵 真希男(2010)「コンディショナーの配合成分と製剤」化学と教育(58)(11),536-537.
  4. 川研ファインケミカル株式会社(2015)「カワソフトEP59SP」技術資料.

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