PEG-10水添ヒマシ油とは…成分効果と毒性を解説

乳化 分散
PEG-10水添ヒマシ油
[化粧品成分表示名称]
・PEG-10水添ヒマシ油

[医薬部外品表示名称]
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油

化学構造的に水添ヒマシ油から得られる脂肪酸およびトリグリセリドに酸化エチレン(約10モル)を付加重合して得られるエーテルおよびエステル混合物であり、酸化エチレン縮合型のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油に分類される非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です。

一般的に化粧品に使用されているポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、

種類 平均酸化エチレン付加モル数 HLB(∗1)
PEG-5水添ヒマシ油 5 親油性

親水性

PEG-10水添ヒマシ油 10
PEG-20水添ヒマシ油 20
PEG-30水添ヒマシ油 30
PEG-40水添ヒマシ油 40
PEG-50水添ヒマシ油 50
PEG-60水添ヒマシ油 60
PEG-80水添ヒマシ油 80
PEG-100水添ヒマシ油 100

∗1 詳しくは後述しますが、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)は、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標であり、HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなります。同じ付加モル数であっても実際のHLB値は原料会社によって異なるため、ここでは付加モル数による親油・親水性の傾向のみを記載しています。

これらの種類があり、酸化エチレンの付加モル数が多いほど親水性が高くなるため、原料や製品の特性に合わせて最適なモル数のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が配合されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でスキンケア化粧品、日焼け止め製品、クレンジング製品、ヘアスタイリング製品、シャンプー製品などに使用されています。

乳化

乳化に関しては、まず前提知識として乳化とエマルションについて解説します。

乳化とは、1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献1:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献1:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

また、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標としてはHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)が用いられることが多く、以下の図のように、

界面活性剤のHLB値とその作用、分散・溶解の挙動

HLB値は、0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなり、また界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が要求されることが知られており、HLB値だけで一義的に界面活性剤の性質が定まるわけではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(文献2:2015)

PEG-10水添ヒマシ油の特性は、

HLB 作用 分散・溶解性
6.5 , 7.0 W/O型乳化 撹拌により分散

このように報告されており(文献3:-;文献4:-)、W/O型乳化剤(親油性界面活性剤)として、主にスキンケア化粧品、日焼け止め製品、クレンジング製品、ヘアスタイリング製品などに使用されています。

分散

分散に関しては、分散性を有することから乳化に顔料などの分散を兼ねた目的で日焼け止め製品、化粧下地などに使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

PEG-10水添ヒマシ油の配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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PEG-10水添ヒマシ油の安全性(刺激性・アレルギー)について

PEG-10水添ヒマシ油の現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1970年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬品添加物規格2018および医薬部外品原料規格2006に収載されており、1970年代からの使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

PEG-10水添ヒマシ油は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  2. 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.
  3. 日本エマルジョン株式会社(-)「EMALEX HC-10」技術資料.
  4. 日光ケミカルズ株式会社(-)「NIKKOL HCO-10」技術資料.

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