ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンとは…成分効果と毒性を解説




・ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
油になじみやすい炭化水素基(ラウリル)と水になじみやすいポリエチレングリコール(PEG)とシリコーンになじみやすいシロキサン構造(ポリジメチルシロキシ)の3つが、シリコーン高分子(ジメチコン)のあちこちに枝分かれした分子構造を持つ、シリコーン系乳化剤です。
水、油、シリコーンのそれぞれとなじみが良く、3つの成分をまとめて乳化できる特殊な界面活性剤で、油性成分の増粘性を上げる効果を有し、メイクアップ化粧品の感触を向上させます。
化粧品に配合される場合は、ウォータープルーフ特性のある日焼け止め製品およびファンデーションや化粧下地や口紅などのメイクアップ化粧品に使用されます。
実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンの安全性(刺激性・アレルギー)について
以下は、この結論にいたった根拠です。
安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。
∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。
皮膚刺激性について
“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Polyoxyalkylene Siloxane Copolymers, Alkyl-Polyoxyalkylene Siloxane Copolymers, and Related Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、
- [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に100%ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン0.5mLを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去24および72時間後に観察したところ、ずべてのウサギにおいて24時間で無傷および擦過部位の両方で軽度から中等の紅斑が観察され、72時間では6匹のうち5匹の部位は回復し、残りの1匹は無傷および擦過部位の両方で中等の紅斑およびわずかな浮腫を示した
と記載されています。
試験をみるかぎり、100%濃度で一過性の軽度から中等の皮膚刺激が報告されており、データ不足のため濃度依存的な皮膚刺激かどうかは判断できませんが、化粧品配合量においても、軽度から中等の皮膚刺激が起こる可能性があると考えられます。
眼刺激性について
“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Polyoxyalkylene Siloxane Copolymers, Alkyl-Polyoxyalkylene Siloxane Copolymers, and Related Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、
- [動物試験] 3匹のウサギの片眼にOECDテストガイドライン404に従ってラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを注入し評価したところ1および24時間ですべてのウサギにおいてわずかな結膜刺激が観察され、これは48時間ですべて消失した。ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンはわずかな刺激性であると結論づけられた
と記載されています。
試験結果をみるかぎり、一過性のわずかな眼刺激が報告されているため、わずかな眼刺激が起こると考えられます。
皮膚感作性(アレルギー性)について
“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Polyoxyalkylene Siloxane Copolymers, Alkyl-Polyoxyalkylene Siloxane Copolymers, and Related Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、
- [動物試験] モルモットを用いてラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンの皮膚感作試験を行った結果、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンは皮膚感作物質ではなかった
と記載されています。
試験結果をみるかぎり、皮膚感作物質ではないと報告されており、また重大なアレルギーの報告もないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。
化粧品毒性判定事典による毒性判定について
化粧品成分名 | 判定 |
---|---|
ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン | ■■ |
参考までに化粧品毒性判定事典によると、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンは■■(∗2)となっていますが、これは界面活性剤の共通判定です。
ただし、試験結果をみるかぎりでは、データが少ないので推測になりますが、刺激性に関しては注意が必要な成分であると考えられます。
∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。
∗∗∗
ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンは界面活性剤、安定化成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
∗∗∗
文献一覧:
- “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Polyoxyalkylene Siloxane Copolymers, Alkyl-Polyoxyalkylene Siloxane Copolymers, and Related Ingredients as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR664.pdf> 2018年4月14日アクセス.
スポンサーリンク