(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーとは…成分効果と毒性を解説

乳化
(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー
[化粧品成分表示名称]
・(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー

化学構造的にシリコーンの一種であるジメチコンをPEG-10ジアリルエーテルおよびPEG-15ジアリルエーテルで架橋(∗1)したクロスポリマー(∗2)であり、部分架橋型変性シリコーンの部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンに分類されるシリコーン系界面活性剤です。

∗1 架橋とは、主に高分子において分子間に橋を架けたような結合をつくることで、物理的、化学的性質を変化させる反応のことです。(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーは、並列に並んだジメチコンにPEG-10ジアリルエーテルおよびPEG-15ジアリルエーテルで橋を架けたような構造をしています。

∗2 ポリマー(polymer)は、重合体とも呼ばれ、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(一般的に高分子化合物)のことを指します。クロスポリマーとは、ポリマーを微粒子化したものであり、シリコーン樹脂の粉末です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、日焼け止め製品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています。

シリコーン油の乳化によるゲル化

シリコーン油の乳化によるゲル化に関しては、まず前提知識としてシリコーン油(シリコーンオイル)、乳化およびエマルションについて解説します。

シリコーン油とは、ケイ素(Si)と酸素(O)が化学結合により交互に連なったシロキサン結合を主骨格として構成された合成高分子化合物の総称であり、代表的なシリコーンかつ(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーの主骨格でもあるジメチコンは、直鎖状に伸びた Si-O-Si(シロキサン)主鎖に、側鎖として各ケイ素原子に2つのメチル基をもつ高分子化合物です。

シリコーン油は、炭化水素と比較して分子容積が大きく、主鎖の屈曲・回転が容易に起こり、化学反応性の低いメチル基で覆われていることから、安定性および柔軟性が高く、分子間力や表面張力が低いなどの特徴があります(文献2:2012)

このような特徴から、肌表面への拡がり、撥水性(∗3)の付与、低表面張力などに起因するすべり性およびベタつきの防止などの効果が明らかにされており、1950年代から化粧品分野で汎用されています(文献2:2012)

∗3 撥水性とは水をはじく性質のことです。

また、シリコーン油は乳化が困難なオイルであり、感触改良を目的に少量添加する場合はそれほど問題にならないものの、主成分として使用するためには安定な乳化が必要となり、安定に乳化させるためには一般的にポリエーテル変性シリコーンが用いられます(文献2:2012)

次に、乳化とは1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献3:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献3:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

部分架橋型変性シリコーンである(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーは、シリコーン油への膨潤性(∗4)があり、降伏値(∗5)をもつゲル状組成物を形成し、高内水相組成でW/O型エマルションを形成することが知られており(文献4:2009)、以下の表のように、

∗4 膨潤性とは、液体を吸収して膨らむ性質のことです。

∗5 クリーム類や粒子分散系は、そのまま放置した場合は固体と同様に流動しませんが、ある程度の力を加えた場合は流動します。これは小さい応力に対しては固体のように振る舞い流動しませんが、ある応力以上では流動することを示しており、流動し始める応力を降伏値といいます。

原料名 KSG-210
構成成分 ジメチコン(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー
特徴・主な用途 滑らかな感触のW/O型乳化剤
原料名 KSG-240
構成成分 シクロペンタシロキサン(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー
特徴・主な用途 滑らかな感触のW/O型乳化剤
原料名 KGO-225
構成成分 ジメチコンシクロペンタシロキサン(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー
特徴・主な用途 直鎖/分岐型の乳化剤を組み合わせることでより安定性を高め、製剤の感触も調整できる複合W/O型乳化剤

シリコーン類と併用することで、三次元網目構造を活かした膜厚感のあるW/O型エマルション・シリコーンゲルを形成します(文献5:2000)

このような背景から、W/O型エマルション・シリコーンゲル形成目的で、ファンデーション、アイシャドー、UVジェル、ボディジェルクリーム、ハンドジェルクリームなどに使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーの現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に24%以下(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーを含む混合物を閉塞パッチ適用したところ、この試験物質は非刺激性であると結論づけられた(Shin-Etsu,2012)
  • [動物試験] 5匹のモルモットに24%以下(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーを含む混合物を皮内注射によって投与したところ、皮膚感作反応は起こらなかった(Shin-Etsu,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Dimethicone Crosspolymers as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(33)(2_Suppl),65S-115S.
  2. 近藤 秀俊(2012)「パーソナルケア製品におけるシリコーンの利用」化学と教育(60)(7),318-319.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  4. 日本油化学会(2009)「部分架橋型変性シリコーン」界面と界面活性剤 ― 基礎から応用まで 改定第2版,65-68.
  5. 中西 鉄雄(2000)「機能性シリコーンの開発事例」日本化粧品技術者会誌(34)(2),120-126.

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