(カプリリル/カプリル)グルコシドとは…成分効果と毒性を解説

洗浄 起泡 可溶化
(カプリリル/カプリル)グルコシド
[化粧品成分表示名称]
・(カプリリル/カプリル)グルコシド

[医薬部外品表示名称]
・アルキル(8~16)グルコシド

化学構造的に炭素数8の高級アルコールであるカプリリルアルコールおよび炭素数10の高級アルコールであるデシルアルコール(∗1)とグルコースオリゴマー(∗2)のエーテル化物であり、多価アルコール縮合型(∗3)のアルキルグリコシド(∗4)に分類される非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です。

∗1 アルコール類のうち炭素数6以上一価アルコールが高級アルコールに分類されることからデシルアルコールは高級アルコールの一種であり、化学物質名として1-デカノール(1-Decanol)と呼ばれます。

∗2 オリゴマーとは、比較的少数のモノマー(単量体)が結合した重合体のことであり、デシルグルコシドを構成するグルコースオリゴマーは、1-2のグルコースが結合した重合体を指します。

∗3 グルコースは単糖であり、糖は多価アルコールの最初の酸化生成物であることから、非イオン界面活性剤の分類においては多価アルコール関連物質として多価アルコールに分類し、ここでは多価アルコール縮合型としています。

∗4 アルキルポリグリコシドとも呼ばれます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、シャンプー製品、洗顔料、クレンジング製品、ボディソープ製品、スキンケア化粧品、ボディケア製品などに使用されています。

起泡・洗浄

起泡・洗浄に関しては、アルキルグリコシドは非イオン界面活性剤でありながら、すすぎ性に優れたさっぱりとした洗浄力を有しており、陰イオン界面活性剤と同等以上の起泡力および泡安定性・泡持続性を示すことが知られています(文献3:2006;文献4:1993;文献5:2014)

また、金属セッケンの分散能に優れ、硬水中でも使用でき、生分解性にも優れています(文献3:2006)

このような背景から、シャンプー製品、洗顔料、クレンジング製品、ボディソープ製品、ハンドソープ製品などに使用されています。

可溶化

可溶化に関しては、エッセンシャルオイル、香料、防腐剤の可溶化剤として使用されることがあります。

混合可溶化剤としての(カプリリル/カプリル)グルコシド

(カプリリル/カプリル)グルコシドは、他の原料および/または乳化剤と混合することで混合系の特徴を有した原料として配合されることがあり、(カプリリル/カプリル)グルコシドと以下の成分が併用されている場合は、混合系可溶化剤として配合されている可能性が考えられます。

原料名 MAKIGREEN LCS+
構成成分 (カプリリル/カプリル)グルコシドイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジラウラミドグルタミドリシンNa
特徴・主な用途 香料(エッセンシャルオイル)を含むあらゆる油性成分を水に効果的に可溶化する植物物由の可溶化剤

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

(カプリリル/カプリル)グルコシドの配合製品数と配合量の調査結果(2011年)

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(カプリリル/カプリル)グルコシドの安全性(刺激性・アレルギー)について

(カプリリル/カプリル)グルコシドの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:化粧品配合濃度においてほとんどなし-わずか
  • 眼刺激性:3%濃度以下においてほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • タンパク変性:低い
  • 皮膚アミノ酸および脂質溶出性:低い

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの健常な皮膚に3%,9%および27%(カプリリル/カプリル)グルコシド水溶液2mLを2週間の間に10回、6時間開放パッチを適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、適用開始後ではすべての濃度群でわずかな刺激が観察され、3日後では高濃度群に中程度の皮膚刺激が観察された(Rohm and Haas Co,1985)

Loreal USAの安全性データ(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギの皮膚に1.8%質量%以下の(カプリリル/カプリル)グルコシドを適用し、OECD404テストガイドラインに基づいて皮膚刺激性を評価したところ、わずかな刺激に分類された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して1.8%以下でわずかな刺激ありと報告されており、また濃度依存的に刺激性が高くなると報告されているため、皮膚刺激性は濃度依存的に高くなると考えられます。

ただし、海外の統計データをみるかぎり、リーブオン製品において最大0.8%濃度以下、リンスオフ製品において最大3%濃度以下で使用されているため、化粧品配合量および通常使用下において、皮膚刺激性は非刺激-わずかな刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] 12匹のウサギを2匹ずつに分け、それぞれ0.1%,0.5%,1.0%,5.0%,10%および20%(カプリリル/カプリル)グルコシド溶液0.1mLを点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、0.1%-5.0%濃度は非刺激-最小限の刺激であった。10%濃度は4時間で角膜刺激を示し、72時間で中程度の眼刺激であった。20%濃度は中程度の眼刺激であった(Rohm and Haas Co,1982)
  • [動物試験] 24匹のウサギを6匹ずつに分け、それぞれ0.5%,1.0%,5.0%および10%(カプリリル/カプリル)グルコシド溶液0.1mLを点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、0.5%および1.0%濃度は非刺激であった。5%濃度では4時間で角膜刺激を示し、72時間以内にすべて消失した。10%濃度では中程度の刺激を示し、72時間ですべて解消した(Rohm and Haas Co,1983)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、実際に使用される濃度(リーブオン製品で0.8%以下、リンスオフ製品で3%以下)において非刺激-わずかな眼刺激が報告されているため、3%濃度以下において、眼刺激性は非刺激-わずかな眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Loreal USAの安全性データ(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] マウスに1.8%質量%以下の(カプリリル/カプリル)グルコシドを適用し、OECD429テストガイドラインに基づいて皮膚感作性を評価したところ、皮膚感作性なしに分類された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

タンパク質変性について

アルキルグリコシドは、非イオン界面活性剤ではあるものの洗浄剤に応用されており、化粧品における洗浄剤の対象である毛髪や皮膚の最外層はケラチンタンパク質であるため、これらタンパク質に対するアルキルグリコシド類の影響は重要です。

花王のタンパク質変性試験データによると、

陰イオン界面活性剤であるラウレス硫酸Naと非イオン界面活性剤であるアルキルグリコシド類のタンパク質に対する変性作用を比較検証した。

水溶性タンパク質であるミオグロビンを用いてラウレス硫酸Na水溶液および各アルキルグリコシド水溶液を添加し、UV吸収量によってタンパク質量を測定したところ、ラウレス硫酸Na添加時ではUV吸収が減少し、タンパク変性が起きていることが確認されたが、アルキルグリコシド水溶液の添加では変化しないことが確認された。

このように報告されており(文献4:1993)、アルキルグリコシドはタンパク質変性に対して影響が少ないことが認められています。

この結果は、陰イオン界面活性剤が静電気的および疎水的な相互作用によってタンパク質に結合するのに対して、非イオン界面活性剤は疎水的相互作用および水素結合による結合であるため、結合エネルギーとしてタンパク質変性させるポテンシャルは、陰イオン界面活性剤のほうが高いためと考えられています(文献4:1993)

皮膚のアミノ酸および脂質溶出について

ラウリル硫酸Naなどに代表されるAS系は、皮膚の角質層において水分要素である天然保湿因子やバリア機能を構築しているコレステロール、また皮脂腺由来のスクワレンなどを多く溶出することが知られており、皮膚のアミノ酸や脂質を溶出する洗浄剤の連用はバリア機能の低下や皮膚の乾燥による落屑などにつながる可能性が高まることから、健常な皮膚構成成分の溶出性の低い洗浄剤を使用することが重要であると考えられています。

1993年に花王によって報告されたデシルグルコシドによる皮膚からのアミノ酸、脂質溶出の影響検証によると、

ヒト前腕部に、陰イオン界面活性剤としてラウリン酸Na(石鹸)およびラウレス硫酸Naを、アルキルグリコシドとしてデシルグルコシドおよびラウリルグルコシドを、比較対照としてを用いた洗浄試験を実施し、各溶液における皮膚のアミノ酸および脂質(スクワレン、コレステロール)溶出量を評価したところ、以下のグラフのように、

陰イオン界面活性剤とアルキルグリコシドのアミノ酸溶出量比較

陰イオン界面活性剤とアルキルグリコシドの脂質溶出量比較

アミノ酸溶出量はラウリン酸Naが、脂質溶出量はラウレス硫酸Naが最も高く、非イオン界面活性剤でありアルキルグリコシドであるデシルグルコシドはどちらも陰イオン界面活性剤よりも溶出量は低い値を示した。

このように報告されており(文献4:1993)、デシルグルコシドおよびラウリルグルコシドと類似したアルキルグリコシドである(カプリリル/カプリル)グルコシドは、皮膚からのアミノ酸および脂質類の溶出量がデシルグルコシドと同様に低いと考えられます。

また、アルキルグリコシドは皮膚への吸着性も低いことが確認されています(文献4:1993)

∗∗∗

(カプリリル/カプリル)グルコシドは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2013)「Safety Assessment of Decyl Glucoside and Other Alkyl Glucosides as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(32)(5 suppl),22S-48S.
  2. Loreal USA(2016)「Redken Glow Dry Conditioner」Safety Data Sheet.
  3. 日光ケミカルズ(2006)「アルキルポリグルコシド」新化粧品原料ハンドブックⅠ,237-238.
  4. 亀谷 潤, 他(1993)「糖系非イオン性界面活性剤アルキルサッカライドの特性とシャンプーへの応用」日本化粧品技術者会誌(27)(3),255-266.
  5. 東西田 奈都子, 他(2014)「糖系非イオン性界面活性剤アルキルグルコシドの特性と応用」オレオサイエンス(14)(11),473-477.

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