ラウロイルラクチレートNaとは…成分効果と毒性を解説

乳化
ラウロイルラクチレートNa
[化粧品成分表示名称]
・ラウロイルラクチレートNa(改正名称)
・ラウロイル乳酸Na(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・ラウロイル乳酸ナトリウム

化学構造的に炭素数12の高級脂肪酸であるラウリン酸乳酸の2量体(∗1)のナトリウム塩をエステル化して得られる、AL(Acyl Lactate:アシル乳酸塩)に分類される分子量366.43の陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)です(文献2:2019)

∗1 2量体とは、2つの同種の分子や単量体が物理的・化学的な力によって結合・重合した化合物のことです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ハンドケア製品、シャンプー製品、洗顔料、クレンジング製品などに使用されています。

乳化

乳化に関しては、まず前提知識として乳化とエマルションについて解説します。

乳化とは、1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献3:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献3:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

また、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標としてはHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)が用いられることが多く、以下の図のように、

界面活性剤のHLB値とその作用、分散・溶解の挙動

HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなり、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます。

ラウロイルラクチレートNaの乳化特性は、

HLB エマルションの種類 可溶化
14.4 O/W型

このように報告されています(文献4:2009;文献5:2017)

ラウロイルラクチレートNaは、主に表皮のラメラ層を形成するように調整されたセラミドのプレミックス原料に配合されていることから(文献6:1999)、セラミドNP(セラミド3)、セラミドAP(セラミド6Ⅱ)およびセラミドEOP(セラミド1)と一緒に化粧品成分一覧に記載されている場合は、セラミドプレミックスによる配合であると考えられます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2017-2019年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ラウロイルラクチレートNaの配合製品数と配合量の調査結果(2017-2019年)

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ラウロイルラクチレートNaの安全性(刺激性・アレルギー)について

ラウロイルラクチレートNaの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:5%濃度以下においてほとんどなし-軽度
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):弱感作反応が起こる可能性あり

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2019)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に2%ラウロイルラクチレートNaを含む軟膏を対象に皮膚刺激性試験を実施したところ、10人の被検者は偽陽性反応(おそらく刺激反応)を示し、残りの15人は皮膚反応を示さなかった(C.D. Jensen et al,2005)
  • [ヒト試験] 26人の被検者に5%ラウロイルラクチレートNaを含む軟膏を対象に皮膚刺激性試験を実施したところ、14人の被検者は偽陽性反応(おそらく刺激反応)を示し、1人は+の皮膚反応を示し、残りの11人は皮膚反応を示さなかった(C.D. Jensen et al,2005)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、5%濃度以下において非刺激-軽度の皮膚刺激性が報告されているため、5%濃度以下において非刺激-軽度の皮膚刺激が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2019)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に未希釈のラウロイルラクチレートNa0.1gを適用し、眼刺激性を評価したところ、3匹に軽度の結膜炎が観察されたが、この試験物質は非刺激性に分類された(International Bio-Research Inc,1974)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2019)によると、

  • [動物試験] LLNA(局所リンパ節試験)において、4匹のマウスの右耳に2.5%,5%,10%,25%および50%ラウロイルラクチレートNa溶液を1,2および3日目に塗布し、6日目に耳介リンパ節を摘出し、皮膚感作性を評価したところ、この試験物質は弱感作性物質に分類された(D.A. Basketter et al,2007)
  • [動物試験] 15匹のモルモットに0.5%ラウロイルラクチレートNaを対象にMaximization皮膚感作性試験をOECD406テストガイドラインに基づいて実施したところ、この試験物質は弱感作剤であった(D.A. Basketter et al,2007)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して弱皮膚感作と報告されているため、弱い皮膚感作が起こる可能性があると考えられます。

∗∗∗

ラウロイルラクチレートNaは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2019)「Safety Assessment of Alkanoyl Lactyl Lactate Salts as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. “Pubchem”(2019)「Sodium lauroyl lactylate」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Sodium-lauroyl-lactylate> 2019年9月5日アクセス.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  4. RITA Corporation(2009)「Pationic 138C」技術資料.
  5. Corbin(2017)「Esterlac SLL」技術資料.
  6. Dr. Wim van der Wilden, 他(1999)「皮膚と同一の脂質混合物」Fragrance Journal(27)(10),71-74.

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