ラウロイルサルコシンNaとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
ラウロイルサルコシンNa
[化粧品成分表示名称]
・ラウロイルサルコシンNa

[医薬部外品表示名称]
・ラウロイルサルコシンナトリウム

アミノ酸の一種であるサルコシンとラウリン酸との縮合物で、アミノ酸系アニオン界面活性剤です。

優れた湿潤性と温和な脱脂力も有しており、またアミノ酸系界面活性剤ではめずらしく殺菌作用があり、洗浄力に関しては石けんに劣らず硫酸系と同等の洗浄力があるため、粘膜への刺激性やアレルギー性などから旧表示指定成分でした。

化粧品に配合される場合は、すぐに洗い流せる製品にしか配合が認められていないため、石けん、シャンプー、ボディソープ、洗顔料などに泡立ちと洗浄力を上げる目的で補助的に使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ラウロイルサルコシンNaの配合製品数の比較調査結果

ラウロイルサルコシンNaはネガティブリスト収載成分であり、以下のような配合基準となっています。

石けん、シャンプー等の直ちに洗い流す化粧品以外の化粧品 配合不可
歯磨 0.50g/100g

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ラウロイルサルコシンNaの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ラウロイルサルコシンNaの現時点での安全性は、石けん、シャンプー等の直ちに洗い流す化粧品のみに使用され、皮膚刺激はほとんどなく、一過性の最小限の眼刺激性が起こる可能性があるものの、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなく、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cocoyl Sarcosine, Lauroyl Sarcosine, Myristoyl Sarcosine, Oleoyl Sarcosine, Stearoyl Sarcosine, Sodium Cocoyl Sarcosinate, Sodium Lauroyl Sarcosinate, Sodium Myristoyl Sarcosinate, Ammonium Cocoyl Sarcosinate, and Ammonium Lauroyl Sarcosinate」(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] 200人の被検者の背中に5%ラウロイルサルコシンNaで飽和したリンチンディスクを48時間適用し、パッチ除去後に試験部位を検査したところ、いずれの被検者も一次刺激の兆候を示さなかった。パッチ除去から3週間後に再び5%ラウロイルサルコシンNaで飽和したリンチンディスクを24時間適用し、パッチ除去後に検査したところ、感作の兆候は観察されなかった
  • [ヒト試験] 50人の被検者の背中に5%ラウロイルサルコシンNaで飽和したリンチンディスクを誘導期間において合計15回、1日おきに24時間適用し、試験部位を各パッチ除去後に検査した。最後の誘導パッチ適用から3週間後に24時間チャレンジパッチを適用した。誘導期間ではほんのわずかな散発的な1+反応しか観察されず、チャレンジ期間ではいずれの被検者も感作反応はみられなかった
  • [ヒト試験] 750人の被検者を用いて歯肉、口腔粘膜および舌に刺激を引き起こす2%ラウロイルサルコシンNaを含む歯磨き剤の刺激可能性を評価した。被検者は歯磨き剤で毎日2回30日間にわたって歯を磨いた。被検者の口を毎日検査したところ、試験期間中に刺激の兆候は認められなかった

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Fatty Acyl Sarcosines and Sarcosinate Salts as Used in Cosmetics」(文献2:2016)によると、

  • [in vitro試験] 再構築されたヒト表皮角化細胞を用いて、ラウロイルサルコシンNaの刺激性をIn vitro Skin Corrosion Human Skin Model Test(OECD431テストガイドライン)に従って評価した。0.9%塩化ナトリウム中の試験物質20mgを組織に3,60および240分適用し、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム臭化物を添加して組織生存率を調査したところ、試験物質は再構築されたヒト表皮細胞に対して非腐食性であった
  • [個別事例] 慢性手湿疹を有する女性患者はラウロイルサルコシンNaを含む液体洗浄剤の半閉塞パッチ適用に対して陽性反応を示した。陽性反応は0.1%,0.5%および1%水溶液でのフォローアップパッチ試験で観察され、98時間でこれらの濃度でスコアはそれぞれ-,+/-,+であった

と記載されています。

ラウロイルサルコシンNaは石けん、シャンプーなどの直ちに洗い流す製品および歯磨き剤のみに配合されますが、試験結果は5%以下濃度で刺激なしと報告されているため、化粧品配合範囲内において、皮膚刺激性はほとんどなしと考えられます。

また、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなしと考えられます。

個別試験データはあくまでまれな事例であり、事例数が少ないことから総合的な安全性の結論に影響を与えないと判断し、総合的な安全性の結論からは除外しています。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Cocoyl Sarcosine, Lauroyl Sarcosine, Myristoyl Sarcosine, Oleoyl Sarcosine, Stearoyl Sarcosine, Sodium Cocoyl Sarcosinate, Sodium Lauroyl Sarcosinate, Sodium Myristoyl Sarcosinate, Ammonium Cocoyl Sarcosinate, and Ammonium Lauroyl Sarcosinate」(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] 10匹のウサギの片眼に5%ラウロイルサルコシンNa0.1mLを点滴し、瞼をマッサージして角膜の表面上に試験物質を均一に広げた。点滴から2,4および24時間後に各ウサギの目を検査し、Draize法およびWoodard法に従って結膜、虹彩および角膜の反応を評価したところ、2時間後でいくつかの最小結膜刺激が観察されたが、この刺激は残留損傷の兆候なしに数日以内に消失した。角膜に明らかな損傷は観察されなかった(Technology Sciences Group Inc.,1994)

と記載されています。

試験結果はひとつですが、いくつかの一過性の最小限の結膜刺激が報告されているため、一過性の最小限の結膜刺激が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ラウロイルサルコシンNa ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ラウロイルサルコシンNaは■■(∗2)となっていますが、これは合成界面活性剤の共通判定であり、試験結果をみるかぎりでは安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ラウロイルサルコシンNaは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Cocoyl Sarcosine, Lauroyl Sarcosine, Myristoyl Sarcosine, Oleoyl Sarcosine, Stearoyl Sarcosine, Sodium Cocoyl Sarcosinate, Sodium Lauroyl Sarcosinate, Sodium Myristoyl Sarcosinate, Ammonium Cocoyl Sarcosinate, and Ammonium Lauroyl Sarcosinate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810152902547X> 2018年4月26日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2016)「Amended Safety Assessment of Fatty Acyl Sarcosines and Sarcosinate Salts as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR719.pdf> 2018年4月26日アクセス.

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