ラウレス-23とは…成分効果と毒性を解説

乳化 洗浄
ラウレス-23
[化粧品成分表示名称]
・ラウレス-23

[医薬部外品表示名称]
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル

化学構造的に炭素数12の高級アルコールであるラウリルアルコールに酸化エチレン(約23モル)をエーテル結合して得られるエーテルであり、酸化エチレン縮合型のポリオキシエチレンアルキルエーテルに分類される分子量1199.5の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です(文献2:2019)

一般的に化粧品によく使用されているポリオキシエチレンラウリルエーテルは、

種類 平均酸化エチレン付加モル数 HLB(∗1)
ラウレス-2 2 親油性

親水性

ラウレス-3 3
ラウレス-4 4
ラウレス-7 7
ラウレス-9 9
ラウレス-16 15
ラウレス-21 21
ラウレス-23 23
ラウレス-25 25

∗1 詳しくは後述しますが、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)は、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標であり、HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなります。同じ付加モル数であっても実際のHLB値は原料会社によって異なるため、ここでは付加モル数による親油・親水性の傾向のみを記載しています。

これらの種類があり、酸化エチレンの付加モル数が多いほど親水性が高くなるため(文献3:1990)、原料や製品の特性に合わせて最適なモル数のポリオキシエチレンラウリルエーテルが配合されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でシャンプー製品、ヘアケア製品、ボディケア製品、デオドラント製品などに使用されています。

乳化

乳化に関しては、まず前提知識として乳化とエマルションについて解説します。

乳化とは、1つの液体にそれと溶け合わない別の液体を微細な粒子の状態に均一に分散させることをいいます(文献4:1990)

そして、乳化の結果として生成された分散系溶液をエマルションといい、基本的な化粧品用エマルションとして、以下の図のように、

エマルションの基本構造

水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)と、それとは逆に油を外部相とし、その中に水が微細粒子状に分散している油中水滴型(W/O型:Water in Oil type)があります(文献4:1990)

身近にあるO/W型エマルションとしては、牛乳、生クリーム、マヨネーズなどがあり、一方でW/O型エマルションとしてはバター、マーガリンなどがあります。

また、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す指標としてはHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance:親水親油バランス)が用いられることが多く、以下の図のように、

界面活性剤のHLB値とその作用、分散・溶解の挙動

HLB値は、0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなり、また界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が要求されることが知られており、HLB値だけで一義的に界面活性剤の性質が定まるわけではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(文献5:2015)

ラウレス-23の特性は、

HLB 作用 分散・溶解性
16.9 O/W型乳化 , 可溶化 透明溶液

このように報告されており(文献7:-)、O/W型乳化剤(親水性界面活性剤)として、主にシャンプー製品、ヘアケア製品、ボディケア製品などに使用されています。

洗浄

洗浄に関しては、ラウレス-23自体はHLB16.9であることから洗浄性を有していませんが、HLB9.7であるラウレス-4とラウレス-23を40:60の比率で組み合わせると、洗浄に適したHLB13.8を実現できることが明らかにされており(文献1:1983)、ラウレス-4とラウレス-23が組み合わせてシャンプー製品やボディソープ製品に配合されている場合は、洗浄力増強・調整目的である可能性が考えられます。

複数の乳化剤を組み合わせて最適なHLBに調整して配合する理由は、多くの場合、1種類の乳化剤を配合するよりも、HLB値の異なる乳化剤を複数併用することで界面膜に並ぶ乳化剤密度が増し、その結果として乳化安定性が向上するためであり(文献6:2016)、こういった処方技術は様々な乳化系製品に汎用されています。

混合乳化剤としてのラウレス-23

ラウレス-23は、他の乳化剤と混合することで混合系の特徴を有した原料として配合されることがあり、ラウレス-23と以下の成分が併用されている場合は、混合系乳化剤として配合されている可能性が考えられます。

原料名 CERASYNT 945 HLB
構成成分 ステアリン酸グリセリルラウレス-23
特徴・主な用途 O/W型基本乳化剤。鉱物油を併用し不透明なジェルの形成が可能

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の1981年および2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ラウレス-23の配合製品数と配合量の調査結果(1981年および2010年)

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ラウレス-23の安全性(刺激性・アレルギー)について

ラウレス-23の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1960年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に60%ラウレス-23水溶液を72時間閉塞パッチ適用し、1週間の休息期間を設けた後に再び72時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、いずれの被検者も両方のパッチ適用で皮膚反応はみられなかった(ICI Americas,1973)
  • [ヒト試験] 168人の被検者に25%ラウレス-23水溶液0.1mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応を示さなかった(Food and Drug Research Laboratories,1982)
  • [ヒト試験] 103人の被検者に3%ラウレス-23水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1982)
  • [ヒト試験] 24人の被検者に2.5%ラウレス-23を含むデオドラント製品を対象に21日間HRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、3人の被検者にわずかな紅斑がみられたが、他の21人は皮膚反応を示さなかった。この製品は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1983)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの両眼に4%ラウレス-23を含む洗浄剤を点眼し、片眼を4秒後にすすぎ、もう片方の眼はすすがず、眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、眼刺激スコアは洗眼した眼において1時間で2.6、それ以後は0であり、非洗眼においては1および24時間で5.6および1.2であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-最小限の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 29人の被検者に25%ラウレス-23溶液を対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施し、紫外線照射については20人にUVAを、残りの9人にUVAおよびUVBを照射したところ、この試験物質は光感作剤ではないと結論付けられた(Food and Drug Research Laboratories,1982)
  • [ヒト試験] 27人の被検者に0.899%ラウレス-23を含むアイメイクアップ製品を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に処置部位および未処置部位にUVライトを30秒間照射した。照射後に皮膚反応を評価したところ、いずれの被検者も皮膚反応を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ラウレス-23は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Laureths -4 and -23」Journal of the American College of Toxicology(2)(7),1-15.
  2. “Pubchem”(2019)「Polyoxyethylene (23) lauryl ether」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Polyoxyethylene-_23_-lauryl-ether> 2019年11月17日アクセス.
  3. 田村 健夫, 他(1990)「高級アルコール酸化エチレン縮合物」香粧品科学 理論と実際 第4版,143-144.
  4. 田村 健夫, 他(1990)「乳化作用」香粧品科学 理論と実際 第4版,270-273.
  5. 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.
  6. 太陽化学株式会社(2016)「HLB値の利用方法」, <https://www.taiyokagaku.com/lab/emulsion_learning/06/> 2019年11月18日アクセス.
  7. neochem gmbh(-)「SABOWAX LM 23」技術資料.

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