ラウレス硫酸Naとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
ラウレス硫酸Na
[化粧品成分表示名称]
・ラウレス硫酸Na

[医薬部外品表示名称]
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム

ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルと硫酸エステルのナトリウム塩で、わずかに特異なにおいのある無色~淡透明の液体またはワセリン様のアニオン界面活性剤です。

ラウリル硫酸Naと比較されることが多く、どちらも強い洗浄力をもつ洗浄剤ですが、最初に開発されたラウリル硫酸Naは刺激が強すぎるため、分子量を大きくして皮膚への浸透を抑え、皮膚刺激を緩和させたものがラウレス硫酸Naです。

ちなみに、ラウリル硫酸Naは皮膚への刺激が強いため現在ではほとんど使用されておらず、使用されたとしてもごく微量で、顔よりもバリア機能の高い体に使用するボディシャンプーなどに使用されます。

低温での溶解性がよく耐硬水性にすぐれており、油に対する洗浄力が高く、微量配合でクリーミーな泡立ちがつくれるので、製剤に配合しやすく、シャンプーやボディシャンプーをはじめ洗顔料や入浴剤に広く使用されています。

シャンプ-の主剤としてよく使用されていますが、塩化Naを少量加えるとかなり増粘し、シャンプーのドロっとした感触がつくられます。

ただし、近年はコンディショニング効果やさらに刺激を緩和する目的で、塩化Naの代わりにラウレス硫酸アンモニウムやラウレス硫酸TEAの使用も増えてきています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の2007-2008年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ラウレス硫酸Naの配合製品数と配合量の調査結果(2007-2008年)

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ラウレス硫酸Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ラウレス硫酸Naの現時点での安全性は、軽度~中等の皮膚刺激性および眼刺激性がありますが、重大なアレルギー(皮膚感作)および光感作の報告もなく、洗浄剤としてのみの使用であるため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、毎日ラウレス硫酸Naに毎日触れる職業の場合は、長期曝露によって接触性皮膚炎や湿疹の可能性が示唆されているので注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に30%ラウレス硫酸Naの60%水溶液を24時間閉塞パッチ試験を行ったところ、3人が低レベルの皮膚刺激を示したが、残りの17人は反応がなかった
  • [ヒト試験] 20人の被検者に30%ラウレス硫酸Na(18%活性)の60%水溶液を24時間閉塞パッチ試験を行ったところ、11人が低レベルの皮膚刺激を示したが、残りの9人は反応がなかった
  • [ヒト試験] 196人の被検者に0.5%ラウレス硫酸Naを含むシャンプーを繰り返しパッチ適用したところ、一次刺激および皮膚感作はほとんどなかった
  • [ヒト試験] 13人の被検者に1.25%活性ラウレス硫酸Naを含むシャワーゲル製剤を21日間連続でパッチ適用したところ、、累積刺激スコアは最大819のうち697であり、成分によって引き起こされる具体的な詳細は示されていないが、明らかに非常に刺激性であると考えられた
  • [ヒト試験] 10人の被検者の背中に14.3%ラウレス硫酸Naを含む製品の0.5%濃度(0.7%ラウレス硫酸Na)の試験物質を21日間毎日適用し、最後まで試験を完了した4人の被検者を評価したところ、軽度の累積刺激の可能性を示した

A. Mehlingの「Comparative studies on the ocular and dermal irritation potential of surfactants」(文献2:2006)によると、

  • ソープチャンバー試験および上皮パッチ試験で中等の皮膚刺激性

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データーシート(文献3:2010)によると、

  • HSDB(2002)に、ヒトへの毒性影響として「長期間の職業接触による皮膚刺激、皮膚乾燥の報告がある」旨の記述と、動物について「モルモット、ウサギの皮膚に対し、エチレンオキシド鎖が短いものはより刺激性がある」旨の記述があることから区分2(中等の刺激性)とした。 なお、ウサギを用いた24時間Draize試験で「severe(重度の刺激性)」(RTECS(1997))と「moderate(中等の刺激性)」(RTECS(1999))の記述がある

と記載されています。

皮膚刺激試験のほとんどは皮膚に付けっ放しにする前提のものが多いので、洗浄剤にのみ使用されるアニオン界面活性剤であるラウレス硫酸Naは付けっ放しにすることによって皮膚刺激性があるのは当然なのですが、洗浄ベース製品用の刺激性を試験するソープチャンバー試験でも付けっぱなしと同じように中等の皮膚刺激性と結論づけられているため、中等の皮膚刺激性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [動物試験] 3つの9匹のウサギ群に1.3%ラウレス硫酸Na0.1mLを点眼し、それぞれ眼すすぎなし、30秒後にすすぎあり、4秒後にすすぎありで眼刺激性を1,2,3,4,5,6,7,10および14日に評価したところ、眼すすぎなしの場合で1日目のみ一過性の軽度の眼刺激がみられたが、他は眼刺激性が観察されなかった(CPTC,1976)
  • [動物試験] 3匹のウサギに1.5%ラウレス硫酸Naを点眼し、眼刺激性を1,2,3,4,5,6,7,10および14日に評価したところ、1日目に重度の眼刺激性が観察されたが4日目までには消失した(AVON,1971)
  • [動物試験] 9匹のウサギに5%ラウレス硫酸Naを点眼し、それぞれ眼すすぎなし、30秒後にすすぎあり、4秒後にすすぎありで眼刺激性を1,2,3,4,5,6,7,10および14日に評価したところ、眼すすぎなしの場合で1匹のみ一過性の知覚可能な結膜炎がみられたが、他は眼刺激性が観察されなかった(LEBERCO LABS,1977)
  • [動物試験] 2つの3匹のウサギ群に10%および10.5%ラウレス硫酸Naを点眼し、眼刺激性を1,2,3,4,5,6,7,10および14日に評価したところ、刺激スコアは1つ目のグループは1日目32、2日目30、3日目21、4日目20、7日目10で、2つ目のグループは1日目25、2日目25、3日目15、4日目10、7日目7で、中等の眼刺激性があると結論づけられた(AVON,1975)

A. Mehlingの「Comparative studies on the ocular and dermal irritation potential of surfactants」(文献2:2006)によると、

  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、ラウレス硫酸Naを処理したところ(HET-CAM法)、中等の刺激性が予測された

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データーシート(文献3:2010)によると、

  • ウサギを用いた24時間Draize試験で「moderate」(RTECS(1997))、「severe」(RTECS(1999))の記述がある。また、本物質は皮膚刺激性物質であることから、国連GHS改訂2版に従って、区分2(中等の眼刺激性)とした

と記載されています。

試験結果や安全データシートをみる限り、軽度から中等の眼刺激性があると判断されるため、軽度~中等の眼刺激性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者の前腕または背中に14.3%ラウレス硫酸Naを含むバブルバス製剤を48時間間隔で1日おきに5回にわたって閉塞パッチ適用したところ、この試験物質は接触感作を示さなかった

厚生労働省が運営する”職場のあんぜんサイト”の安全データーシート(文献3:2010)によると、

  • 「長期の職業ばく露による接触性皮膚炎、湿疹」(HSDB(2002))との記述があるが、詳細が不明であり、他にデータがないため、分類できない

と記載されています。

試験結果はひとつですが、皮膚感作性を示さなかったと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、ラウレス硫酸Naと毎日接触する職業の場合は、長期曝露による接触性皮膚炎や湿疹の可能性が示唆されています。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 113人の被検者の背中上部と右手首の手のひら側に0.07%ラウレス硫酸Naを含むバブルバス製剤を48時間閉塞パッチ適用し、14日後に再パッチを行ない検査した。パッチ後に被検者の背中に30cmの距離で1分間UVライト(波長3,600A)を照射し、48時間後に評価したところ、103人の被検者のうち4人は弱い非小胞性反応を示したが、他の被検者はすべて陰性であった
  • [ヒト試験] 56人の被検者に上記と同様の繰り返しパッチ試験において週3回合計10回の閉塞パッチ試験を行ない、14日の休息期間後に単一のチャレンジ解放および閉塞パッチ適用し、48時間後に30cmの距離で1分間UVライトを照射し、UV照射の反応を照射48時間後に検査したところ、56人の被検者のうち2人は特定されていないタイプの軽度の反応を示したが、他の被検者は皮膚反応を示さなかった

と記載されています。

試験結果では、ほとんどの被検者が光感作反応を示さなかったと報告されているため、光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ラウレス硫酸Na ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ラウレス硫酸Naは■■(∗2)となっており、界面活性剤ということで毒性の懸念ありとなっています。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ラウレス硫酸Naは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818309142005> 2017年12月30日アクセス.
  2. A. Mehling(2006)「Comparative studies on the ocular and dermal irritation potential of surfactants」, <https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691506003140> 2017年12月30日アクセス.
  3. “職場のあんぜんサイト”(2010)「安全データシート ポリ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/9004-82-4.html> 2017年12月30日アクセス.

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