ラウレス硫酸アンモニウムとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
ラウレス硫酸アンモニウム
[化粧品成分表示名称]
・ラウレス硫酸アンモニウム

ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテルと硫酸のエステルのアンモニウム塩で、アニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤)です。

洗浄力が高く、細かく濃密な気泡が得られることからシャンプーや洗剤の基剤として使用されます。

同じ用途で代表的なアニオン界面活性剤のひとつであるラウレス硫酸Naと比べると、ラウレス硫酸Naよりもラウレス硫酸アンモニウムのほうが化学的に洗浄力および皮膚刺激が少ないという特徴があります。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ラウレス硫酸アンモニウムの配合製品数と配合量の比較調査結果

ラウレス硫酸アンモニウムの配合製品数と配合量の調査結果(2007-2008年)

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ラウレス硫酸アンモニウムの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ラウレス硫酸アンモニウムの現時点での安全性は、1%前後に希釈した配合範囲において、軽度の皮膚刺激および軽度の累積刺激が起こる可能性があり、眼刺激性は非刺激またはわずか~軽度の眼刺激性が起こる可能性があります。

皮膚感作に関しては、アレルギーによる感作および光毒性の報告はありませんが、刺激性の接触皮膚炎が起こる最小限の可能性が報告されているため、総合的に注意が必要な成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 189人の被検者に23%ラウレス硫酸アンモニウムを含むバブルバスの1.25%水溶液(ラウレス硫酸アンモニウム濃度は0.29%)を誘導期間においてパッチ適用(詳細不明)したところ、3分の1の被検者が軽度から中等の刺激を示した。刺激反応を最小にするためにチャレンジパッチでは濃度を下げて0.63%水溶液(ラウレス硫酸アンモニウム濃度は0.15%)を適用したところ、9人の被検者で弱い感作反応が認められた。また86人の被検者に0.115%ラウレス硫酸アンモニウムの活性溶液を適用したところ、同様の結果が認められ、この製剤は刺激性接触皮膚炎を誘発する最小限の可能性があると結論づけられた
  • [ヒト試験] 20人の被検者に23%ラウレス硫酸アンモニウムを含むバブルバス製剤の1.25%水溶液(ラウレス硫酸アンモニウム濃度は0.28%)を24時間単一閉塞パッチ適用したところ、20人のうち4人の被検者で淡い均一の紅斑が観察され、別の4人の被検者で適用範囲をほとんどを覆う穏やかでピンク色の均一な紅斑および浮腫が観察され、別の1人の被検者で丘疹をともなう著しく赤い紅斑が観察された。残りの11人には影響がなかった
  • [ヒト試験] 68人の被検者に22%ラウレス硫酸アンモニウムを含むバブルバスの0.5%溶液(ラウレス硫酸アンモニウム濃度は0.11%)を誘導期間において3週間で合計10回閉塞パッチ適用し、2回目から10回目のパッチ適用前に試験部位を評価し、チャレンジパッチの試験部位は適用48および96時間後に評価したところ、このバブルバス製剤は本質的に非刺激性であった。この製剤の反復適用は68人の被検者のうち11人(約16%)において中等の刺激を生じたが、適用後に感作の兆候は示さなかった
  • [ヒト試験] 12人の被検者の背中の5箇所に0.11%ラウレス硫酸アンモニウムを含む2つのバブルバス製剤を21日間連続で毎日23時間パッチ適用し、パッチ適用24時間後に試験部位の反応を評価したところ、この試験物質は紅斑や丘疹を引き起こした。これらの製剤は継続的な閉塞適用下で軽度の累積刺激を起こす中等の可能性を有していると結論付けられた

と記載されています。

先に補足ですが、各試験でラウレス硫酸アンモニウムを希釈して試験しているのは、ラウレス硫酸アンモニウムが洗剤やシャンプ-など水で薄める前提で使用されるからです。

試験結果をみるかぎり、皮膚刺激に関しては、少なくない被検者に軽度の紅斑および被検者の一部に刺激性の接触皮膚炎が報告されており、また軽度の累積刺激の可能性も示唆されているため、皮膚刺激性は、軽度の一次刺激が生じる可能性があり、また累積使用で皮膚刺激につながる可能性が高くなると考えられます。

皮膚感作(アレルギー)に関しては、アレルギー性の皮膚感作の報告はありませんが、刺激性の接触皮膚炎を誘発する最小限の可能性が報告されているため、刺激性の接触皮膚炎が起こる最小限の可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [動物試験] 18匹のウサギを6匹のウサギ群3グループに分け、それぞれの片眼に7.5%ラウリル硫酸アンモニウム0.1mLを注入し、眼はすすがず、Draize法に従って1,2,3,4および7日後に眼をスコアリングしたところ、眼刺激スコア最大110のうち1日目は3つのグループでそれぞれ15.7,13.3および15.5、2日目は11.8,13.6および8.5、3日目は4.7,7.6および7.3、4日目は1.2,10および2.1、7日目は0,10.1および0であり、この試験物質は軽度の眼刺激剤であると結論付けられた
  • [動物試験] 12匹のウサギを6匹のウサギ群2グループに分け、それぞれの片眼に25%ラウリル硫酸アンモニウム0.1mLを注入し、眼はすすがず、Draize法に従って1,2,3,4および7日後に眼をスコアリングしたところ、眼刺激スコア最大110のうち1日目は2つのグループでそれぞれ25.1,および16.1、2日目は23.3および16.3、3日目は24.7および13、7日目は21.5および4.7であり、この試験物質は非洗眼で重度の眼刺激剤であると結論付けられた

と記載されています。

試験データは希釈されていない場合なので、実際に水で薄めた場合と結論が異なる可能性もありますが、試験データをみるかぎりでは、濃度依存的に眼刺激性が増しており、濃度が低いほど低い刺激性が報告されているため、各製品を水で薄めない場合は軽度~重度の眼刺激性が起こる可能性がありますが、水で薄めた場合(洗浄使用する場合)は非刺激または軽度の刺激が起こる可能性があると考えられます。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者の腕数箇所に0.11%ラウリル硫酸アンモニウムを含むバブルバス0.5mLを5日間連続で23時間閉塞パッチ適用し、各パッチ除去直後に試験部位をスコアリングし、3日目から試験部位の1箇所で各試験物質0.1mLを拭き取り、その部位に直射日光を30分間曝露したところ、中等の皮膚刺激が6人の被検者で観察されたが、刺激は一時的であり、いくつかの例では日光にさらされていなくても生じたため、この試験物質は光毒性を示さないと判断された

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、光毒性を示さないと報告されているため、光毒性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ラウレス硫酸アンモニウム ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ラウレス硫酸アンモニウムは■■(∗2)となっていますが、これは合成界面活性剤の共通判定です。

試験結果をみるかぎりでは、軽度の一次刺激性が起こる可能性、累積刺激が起こる可能性、皮膚刺激による接触皮膚炎の最小限の可能性などが報告されているため、とくに継続して使用する場合は注意が必要な成分であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

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ラウレス硫酸アンモニウムは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Laureth Sulfate and Ammonium Laureth Sulfate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818309142005> 2018年4月19日アクセス.

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