ラウリル硫酸Naとは…成分効果と毒性を解説

界面活性剤
ラウリル硫酸Na
[化粧品成分表示名称]
・ラウリル硫酸Na

[医薬部外品表示名称]
・ラウリル硫酸ナトリウム

[慣用名]
・SLS

ラウリルアルコールの硫酸エステルのナトリウム塩で、古くから使用されていた代表的なアニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤)です。

洗浄力が高く、泡立ちも優れていることから、以前はシャンプーや洗剤の基剤としてよく使用されていましたが、脱脂力および刺激が強いため、現在はほとんど使用されていません。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ラウリル硫酸Naの配合製品数と配合量の調査結果

また、ラウリル硫酸Naは皮膚浸透性を高めて感作を促進するため、皮膚感作試験においてテストアレルゲンを適用する前に前処理として、または界面活性剤とアレルゲンの間に非相溶性が存在しなければ試験アレルゲンと組み合わせて使用されています。

“化粧品成分オンライン”の各成分の皮膚感作試験データにもラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を使用する記述がよくでてきます。

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ラウリル硫酸Naの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ラウリル硫酸Naの現時点での安全性は、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性の報告はありませんが、多くの皮膚刺激性が報告されており、濃度依存的に軽度から重度までの眼刺激性が起こるため、安全性の低い成分であると考えられており、現在はほとんど使用されていません。

皮膚炎を有している場合は、皮膚刺激が起こりやすくなります。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Lauryl Sulfate and Ammonium Lauryl Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 28人の女性被検者の背中に0.25%,0.5%,1.0%濃度のラウリル硫酸Na水溶液0.3mLを7日以内に3回の24時間パッチを適用し、刺激スコアは1回目のパッチ除去72時間後および2回目および3回目のパッチ除去48時間後に読み取ったところ、0.25%および0.5%濃度ではほとんど知覚できない紅斑が生じ、最大刺激スコア4.0のうちそれぞれ0.20および0.36であった。1.0%濃度は、淡い紅斑を示し、最大刺激スコア4.0のうち0.74であった
  • [ヒト試験] 20人(男性10人、女性10人)の背中に0.25%,0.5%,1.0%,2.0%濃度のラウリル硫酸Na水溶液を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去24,48および72時間後に試験部位を観察したところ、濃度依存的に強い反応を示し、24および72時間後よりも48時間後でより強い反応を示した。最も強い反応は明るい紅斑および湿潤を含んだ刺激反応であった
  • [ヒト試験] 12人の男性被検者を2人ずつ6つのグループに分け、0.1%,1.0%,2.0%,4.0%,6.0%および8.0%濃度のラウリル硫酸Na溶液0.2mLを各被検者の背中に24時間パッチ適用し、パッチ除去30分後に試験部位を評価する手順を21日間繰り返した。スコアは0(無反応)~4(水疱性反応)で採点し、累積最大刺激は84(4×21日)としたところ、0.1%濃度は84のうち14.5であり、1.0%濃度は71、2.0%および4.0%濃度はそれぞれ77および78.5であった。これより高い濃度はあまりに刺激が高く試験を途中で中断した
  • [ヒト試験] 10人(男性5人、女性5人)の被検者の前腕に10%ラウリル硫酸Na水溶液25μLを24時間パッチ適用し、パッチ適用24,26,28,30,48,72および96時間後に段階的に試験部位を評価したところ、すべての試験部位において炎症反応を発症し、26および28時間後のスコアは24時間(パッチ除去直後)よりも有意に高かった。48および72時間のスコアは24時間のスコアと類似しており、96時間のスコアは24時間よりも有意に低かった
  • [ヒト試験] 57人の被検者に各1.26%ラウリル硫酸Naを含む2種のシェービングクリーム製剤を誘導期間においてそれぞれ8回にわたって24時間閉塞パッチ適用し、最後のパッチから2週間休息期間を設けた後に24時間チャレンジパッチを適用した。誘導期間においてパッチ除去後に評価した試験部位は刺激反応の数および重症度が回数を増すごとに増加した。詳細として19人の被検者が軽度の紅斑を示し、12人の被検者が中等の紅斑を示し、3人の被検者は重度の紅斑を示し、1人は浮腫を示した。チャレンジパッチ後は適用後47時間で6人、50時間で4人、53時間で2人の被検者がわずかな紅斑を示した。これらの反応は一次刺激であるとは考えられなかった
  • [ヒト試験] 12人の被検者(男性3人、女性9人)の背中に14.5%ラウリル硫酸Naを含むシャンプーの10%水溶液(ラウリル硫酸Na濃度が1.45%にあんるように調整されたもの)0.4mLを21日間にわたって毎日23時間パッチ適用し、同時にベビーオイルと脱臭剤を適用して低刺激性および高刺激性の基準を設けたところ、各製品の累積刺激スコアはベビーオイル:1.67、シャンプー:460、脱臭剤:610.1であり、シャンプー製品は刺激剤であると結論づけた

– 皮膚炎を有するヒト試験 –

  • [ヒト試験] 職業性接触皮膚炎および累積傷害性皮膚炎を有する495人の患者および健常対照者に5%ラウリル硫酸Na水溶液を適用したところ、刺激反応は皮膚炎患者の52%および健常対照者の12%で起こった。刺激反応が起こった皮膚患者のうち12人にクレッシェンド反応が起こり、これらの患者は以前に家庭用および化粧品中のラウリル硫酸Naを使用した経験があった。これら12人の患者に0.1%ラウリル硫酸Na水溶液をパッチ適用したところ、2人の患者に湿疹反応が起こった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、ラウリル硫酸Naは多くの試験で皮膚刺激剤として報告されており、また現在においてほとんどの製品で使用が控えられているため、皮膚刺激剤であると考えられます。

また、皮膚炎を有している場合は刺激が起こる確率がかなり高くなります。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Lauryl Sulfate and Ammonium Lauryl Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [動物試験] 5匹のウサギの左眼に25,10%および20%ラウリル硫酸Na水溶液0.1mLをそれぞれ滴下しDraize法に従って1,24,48,72時間および4および7日後に評価したところ、2%濃度は1時間後で軽度の刺激(Draizeスコア=21)であり、7日後では実質的に非刺激であった。10%濃度で1~24時間で中等の刺激、7日後で軽度の刺激であった。20%濃度では24時間で重度の刺激、7日後で軽度の刺激であった
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に1%,5%および25%ラウリル硫酸Na水溶液を2滴適用し、1匹の眼のみ30秒以内に目を流れる水道水で2分間洗浄し、他の2匹は洗浄せず、1,24および48時間および7日後に眼を観察したところ、洗浄および非洗浄の両方の眼で1%濃度において非常にわずかな結膜炎を示し、5%および10%濃度ではわずか~中等の角膜損傷が認められた
  • [動物試験] 3匹のウサギの眼に10%ラウリル硫酸Na水溶液を点眼し、眼はすすがず評価したところ、10%濃度は24時間ですべてのウサギの角膜に混濁、点描、赤色腫脹および結膜炎を引き起こした。次いで100%ラウリル硫酸Naを点眼し、4秒後に眼をすすいでから眼を評価したところ、すべてのウサギで角膜混濁および白斑が観察され、24時間で虹彩炎、腫脹および赤色結膜が観察された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、洗眼および非洗眼を問わず、濃度依存的に軽度~重度までの眼刺激が報告されているため、軽度から重度までの眼刺激が起こると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Lauryl Sulfate and Ammonium Lauryl Sulfate」(文献1:1983)によると、

  • [ヒト試験] 599人の背中に2.5%ラウリル硫酸Naを含むメイクアップ製品を48時間閉塞パッチ適用し、同時に48時間解放パッチを手首に適用した。10日間の休息後に感作性を評価するために48時間チャレンジパッチを適用し、次いでこの部位に300~370nmの連続発光を有するUVランプ(<150W)を約30cmの距離で1分間照射した。これらの試験部位は48時間後にスコアリングされた。最初のパッチ適用後に22人の被検者で弱い非小胞性の反応が起こり、第2のパッチは26人の被検者に弱い反応を引き起こし、2人の被検者で強い浮腫性または小胞状の反応を引き起こした。また6人の被検者でUV照射後に弱い反応が認められた。これらの結果からラウリル硫酸Naを含むメイクアップ製品は非刺激性、非感作性および非光感作性であると結論付けられた
  • [ヒト試験] 12人の被検者(男性3人、女性9人)の背中に14.5%ラウリル硫酸Naを含むシャンプーの10%水溶液(ラウリル硫酸Na濃度が1.45%にあんるように調整されたもの)0.4mLを21日間にわたって毎日23時間パッチ適用し、同時にベビーオイルと脱臭剤を適用して低刺激性および高刺激性の基準を設けたところ、各製品の累積刺激スコアはベビーオイル:1.67、シャンプー:460、脱臭剤:610.1であり、シャンプー製品は刺激剤であると結論づけた。またこのシャンプーを同じ濃度で102人(男性12人、女性90人)の被検者の腕に閉塞適用したところ、刺激性の反応は認められたが、感作性は示されなかった
  • [ヒト試験] 249人の被検者に2.5%ラウリル硫酸Naを含む基礎製剤を誘導期間において10回にわたって24時間パッチを適用し、その後2~3週間の休息後に24時間チャレンジパッチを適用した。同時に24時間解放パッチ適用も行った。光感作性を評価するために誘導期間の1,4,7および10回目のパッチ後とチャレンジパッチ後に試験部位に照射したところ誘導期間で軽度の非小胞性反応が12人程度で起こり、1人により強い反応が認められた。チャレンジパッチでは6人の被検者で弱い反応を示したが、この反応は感作の兆候であるとは考えられなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、皮膚感作性および光感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ラウリル硫酸Na ■■

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ラウリル硫酸Naは■■(∗2)となっていますが、これは合成界面活性剤の共通判定です。

ただし、試験結果をみるかぎりでは刺激性が強く、安全性が低いため、現在はほとんど使用されなくなっています。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ラウリル硫酸Naは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Lauryl Sulfate and Ammonium Lauryl Sulfate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818309142005> 2018年4月17日アクセス.

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