ラウリルヒドロキシスルタインとは…成分効果と毒性を解説

洗浄 起泡 増粘 刺激緩和
ラウリルヒドロキシスルタイン
[化粧品成分表示名称]
・ラウリルヒドロキシスルタイン

[医薬部外品表示名称]
・ラウリルヒドロキシスルホベタイン液

化学構造的に炭素数12の高級脂肪酸であるラウリン酸のジメチルアミンをスルホン化して得られる、スルホベタイン型に分類される分子量351.5の両性界面活性剤です(文献2:2019)

両性界面活性剤はpHによって異なるイオン性を示しますが、スルホベタイン型両性界面活性剤の酸性および塩基性領域における性質は、以下の表のように、

  アミノ酸型 ベタイン型
アミノ酢酸ベタイン型 スルホベタイン型
酸性領域(等電点以下)(∗1) 陽イオン界面活性剤 陽イオン界面活性剤 両性界面活性剤
塩基性領域(等電点以上) 陰イオン界面活性剤 両性界面活性剤 両性界面活性剤
中性領域(等電点) 両性界面活性剤 両性界面活性剤 両性界面活性剤

∗1 等電点とは、両性界面活性剤のようなアニオンになる官能基とカチオンになる官能基の両方を持つ化合物において、ちょうどアニオン性とカチオン性とがバランスする点であり、電離後の化合物全体の電荷平均が0となるpHのことです。

強酸と強塩基の組み合わせであり、いかなるpH領域においても水素イオンの授受は行われず、酸性領域または塩基性領域であってもアニオン性またはカチオン性を示さず、いずれも両性界面活性剤の性質を示すのが特徴です(文献3:2006)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、シャンプー製品、洗顔料、ボディソープ製品などに使用されています。

陰イオン界面活性剤との併用による起泡・洗浄

陰イオン界面活性剤との併用による起泡・洗浄に関しては、ラウリルヒドロキシスルタインは洗浄性および起泡性を有していますが、一般に単独で配合されることはなく、陰イオン界面活性剤と併用することによって洗浄性の増大、キメの細かいクリーミーな泡質および泡安定性の向上が報告されていることから(文献4:1993;文献5:2002;文献6:2009)、陰イオン界面活性剤と併用して洗浄製品に使用されています。

2009年に川研ファインケミカルによって公開された技術情報によると、

ラウリン酸をもつベタイン型両性界面活性剤であるラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルベタインおよびラウリルベタインの起泡力を、濃度0.25%、40℃およびpH7.0の条件で評価したところ、以下のグラフのように、

ラウリン酸ベタイン型両性界面活性剤の起泡力比較

ラウリン酸をもつベタイン型両性界面活性剤は、起泡直後はいずれも同様の起泡力を有していたが、ラウリルヒドロキシスルタインは、5分を超えると泡持続性が低下することがわかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:2009)、ラウリルヒドロキシスルタインに平均的な起泡力および泡持続性が認められています。

また、ラウリル硫酸Naなどアルキル硫酸塩の泡安定性を向上させる効果はラウラミドプロピルベタインなどアミノ酢酸ベタイン型の両性界面活性剤よりも優れていることが報告されています(文献3:2006;文献7:2014)

陰イオン界面活性剤の増粘

陰イオン界面活性剤の増粘に関しては、陰イオン界面活性剤に配合することにより高い増粘性を示すことから、アニオン界面活性剤と併用されます(文献6:2009;文献7:2014)

強陰イオン界面活性剤の刺激緩和作用

強陰イオン界面活性剤の刺激緩和作用に関しては、ラウリル硫酸Naやオレフィン(C14-16)スルホン酸Naなど比較的皮膚刺激性が高い陰イオン界面活性剤と併用することで、エネルギー効果によりタンパク質への吸着量が最小となり、その結果として陰イオン界面活性剤による皮膚や毛髪への刺激性を低下・緩和させることが知られており、多くの処方において陰イオン界面活性剤と一緒に配合されます(文献5:2002)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2017年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ラウリルヒドロキシスルタインの配合製品数と配合量の調査結果(2017年)

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ラウリルヒドロキシスルタインの安全性(刺激性・アレルギー)について

ラウリルヒドロキシスルタインの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 15年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:4%濃度以下においてほとんどなし、28%濃度においてほとんどなし-最小限
  • 眼刺激性(すすがない場合):28%濃度において中程度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、洗浄製品のような短時間の非連続使用として皮膚から完全に洗い流すように設計された製品において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 51人の被検者に4%ラウリルヒドロキシスルタイン0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(Consumer Product Testing Co,2017)
  • [動物試験] 3匹のウサギに28%-32%ラウリルヒドロキシスルタイン水溶液をOECD404テストガイドラインに基づいて4時間半閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、7日目以内で2匹のウサギに非常にわずかな紅斑が観察された(National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme,2011)
  • [動物試験] モルモットを用いて1%ラウリルヒドロキシスルタイン水溶液を対象にMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、皮膚感作性を示さなかった(National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme,2011)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に28%-32%ラウリルヒドロキシスルタイン水溶液を点眼し、眼はすすがず、OECD405テストガイドラインに基づいて眼刺激性を評価したところ、すべてのウサギに結膜刺激、角膜混濁、虹彩炎症を引き起こした。1匹は14日で正常に戻り、もう1匹は21日で正常に戻ったが、残りの1匹は21日後でも角膜混濁が観察された(National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme,2011)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、中程度の眼刺激性が報告されているため、28%濃度において中程度の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

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ラウリルヒドロキシスルタインは界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Alkyl Sultaines as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. “Pubchem”(2019)「Lauryl hydroxysultaine」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Lauryl-hydroxysultaine> 2019年9月13日アクセス.
  3. 日光ケミカルズ(2006)「両性界面活性剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,207-215..
  4. 宮澤 清(1993)「化粧せっけん及びヘアシャンプーの泡立ちとソフト感」油化学(42)(10),768-774.
  5. 刈米 孝夫(2002)「界面活性剤の開発」界面活性剤の応用技術,1-41.
  6. 川研ファインケミカル株式会社(2009)「ソフタゾリン LSB」技術資料.
  7. Kao Chemicals GmbH(2014)「Betadet S-20」技術資料.

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