ラウラミドDEAとは…成分効果と毒性を解説

洗浄 起泡 増粘
ラウラミドDEA
[化粧品成分表示名称]
・ラウラミドDEA

[医薬部外品表示名称]
・ラウリン酸ジエタノールアミド

化学構造的に炭素数12の高級脂肪酸であるラウリン酸を疎水基(親油基)とし、2個の水酸基(ヒドロキシ基)をもつジエタノールアミン(∗1)を親水基としたアミド(∗2)であり、多価アルコールアミド型(∗3)の脂肪酸アルカノールアミドに分類される分子量287.44の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)です(文献3:2019)

∗1 アミンとは、アンモニアの水素原子を炭化水素基または芳香族原子団で置換した化合物の総称であり、置換した数が1つであれば第一級アミン、2つであれば第二級アミン、3つであれば第三級アミンといいます。ジエタノールアミンは、第二級アミンとジオールの有機化合物であり、ジオールは分子内に二つのヒドロキシ基を持つため、2基の水酸基をもつ化合物です。ラウラミドDEAの「DEA」とはジエタノールアミン(Diethanolamine)の頭字語です。

∗2 アミド(酸アミド)とは、脱水縮合した構造のことを指し、脱水縮合とは化学構造的に分子と分子から水(H₂O)が離脱することにより分子と分子が結合する反応(縮合反応)のことです。

∗3 エタノールアミンは、一般的にアミノアルコールに分類されますが、構造的に多価アルコールに類似しているため(文献4:2007)、非イオン界面活性剤においてはアミノアルコールも多価アルコールに分類し、ここでは多価アルコールアミド型としています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、シャンプー製品、ボディソープ製品、ハンドソープ製品、洗顔料などに汎用されています。

陰イオン界面活性剤の洗浄力および起泡力増強

陰イオン界面活性剤の洗浄力および起泡力増強に関しては、脂肪酸アルカノールアミドは主剤である陰イオン界面活性剤と組み合わせることで、陰イオン界面活性剤の洗浄性、泡立ち、泡質を強化・安定化する働きが特徴として知られており(文献5:1996)、また起泡増強効果はコカミドDEAとラウラミドDEAでほとんど差はないことが報告されています(文献7:1962)

陰イオン界面活性剤と脂肪酸アルカノールアミドによる洗浄性および起泡性増強のメカニズムは、これらの分子間化合物の形成による複合効果を利用したものであると報告されています(文献5:1996)

増粘

増粘に関しては、脂肪酸アルカノールアミドは低濃度でも高い粘度の水溶液を得られる増粘効果が特徴として知られており、シャンプー製品、ボディソープ製品、洗顔料などに使用されています(文献6:1970)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ラウラミドDEAの配合製品数と配合量の調査結果(2011年)

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ラウラミドDEAの安全性(刺激性・アレルギー)について

ラウラミドDEAの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 50年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚累積刺激性:ほとんどなし-中程度
  • 眼刺激性(非洗眼):中程度
  • 眼刺激性(洗眼):ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし
  • 発がん性:動物試験において証拠なし

このような結果となっており、洗浄製品のような短時間の非連続使用として皮膚から完全に洗い流すように設計された製品において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 19人の被検者に1.25%ラウラミドDEAを含むシャンプー水溶液を対象に24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去2および24時間後にPII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を0-4のスケールで評価したところ、PIIは0.96であり、軽度の皮膚刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)
  • [ヒト試験] 18人の被検者に1.25%ラウラミドDEAを含む入浴剤水溶液を対象に24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去2および24時間後にPII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を0-4のスケールで評価したところ、PIIは0.92であり、軽度の皮膚刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [ヒト試験] 17人の被検者に1%ラウラミドDEAを含む製剤水溶液を対象に24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去2および24時間後にPII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を0-4のスケールで評価したところ、PIIは0.59であり、最小限の皮膚刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1981)
  • [ヒト試験] 12-15人の被検者の前腕に3つの1.25%ラウラミドDEAを含む液体セッケン水溶液100μLを対象に5日間連続開放パッチ適用(1つは24時間、残りの4つは6時間)し、最後のパッチ除去36時間後に皮膚刺激性を0-10のスケールで評価したところ、刺激スコアはそれぞれ0.58,1.2および1.28であり、1つは非刺激で残りの2つは軽度の皮膚刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980;1982)
  • [ヒト試験] 7人の被検者に8つの1.25%ラウラミドDEAを含む液体セッケン水溶液を対象に21日間累積刺激性試験を実施し、累積刺激スコアを個別では0-84のスケールで、総合では0-588のスケールで評価したところ、個別累積刺激スコアは13-57(平均32.3)の範囲であり、また総合累積刺激スコアは226.5であった。ラウラミドDEAを含むセッケンは中程度の累積刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、1.25%濃度以下において皮膚一次刺激性は非刺激-軽度と報告されており、累積刺激性は中程度と報告されているため、1.25%濃度以下において皮膚一次刺激性は非刺激-軽度の皮膚刺激を引き起こす可能性があり、累積刺激性は非刺激-中程度の刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に20%ラウラミドDEA水溶液0.1mLを点眼し、眼はすすがず、Draize法に基づいて点眼1および7日後に眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、平均眼刺激スコアは1および7日目でそれぞれ17および2であり、中程度の眼刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1976)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に10%ラウラミドDEA水溶液0.1mLを点眼し、眼はすすがず、Draize法に基づいて点眼1および7日後に眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、平均眼刺激スコアは1および7日目でそれぞれ22および6であり、中程度の眼刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1976)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に8%ラウラミドDEAを含むシャンプー製剤0.1mLを点眼し、眼はすすがず、Draize法に基づいて点眼1および7日後に眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、平均眼刺激スコアは1および7日目でそれぞれ36および14であり、中程度の眼刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に8%ラウラミドDEAを含むシャンプー製剤0.1mLを点眼し、眼はすすぎ、Draize法に基づいて点眼7日目まで眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、平均眼刺激スコアは1および2日目でそれぞれ1および0であり、実質的に非刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に6%ラウラミドDEAを含むシャンプー製剤0.1mLを点眼し、眼はすすがず、Draize法に基づいて点眼1および7日後に眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、平均眼刺激スコアは1および7日目でそれぞれ41および16であり、中程度の眼刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に6%ラウラミドDEAを含むシャンプー製剤0.1mLを点眼し、眼はすすぎ、Draize法に基づいて点眼7日目まで眼刺激スコアを0-110のスケールで評価したところ、平均眼刺激スコアは1および2日目でそれぞれ1および0であり、実質的に非刺激剤に分類された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非洗眼の場合は中程度、洗眼した場合は非刺激と報告されているため、眼刺激性は非洗眼の場合は中程度の刺激を引き起こす可能性があり、洗眼した場合はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 159人の被検者に1%ラウラミドDEAを含む液体セッケン水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において20人の被検者にひとつ以上の皮膚反応が観察され、そのうち2人は重度であった。チャレンジ期間において5人の被検者に軽度の皮膚反応が観察されたが、これらの反応は刺激反応であり、この試験物質は皮膚感作剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 41人の被検者に1%ラウラミドDEAを含む液体セッケン水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において13人の被検者に軽度の刺激反応が観察され、チャレンジ期間において1人の被検者に軽度の反応が観察されたが、これらの反応は刺激反応であり、この試験物質は皮膚感作剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 86人の被検者に0.25%ラウラミドDEAを含む液体セッケン水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において2人の被検者にほとんど知覚できない紅斑が観察され、チャレンジ期間において1人の被検者に軽度の反応が観察された。チャレンジ期間に反応を示した1人の被検者に再チャレンジパッチを適用したところ、陰性であった。この試験物質は皮膚感作剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [ヒト試験] 52人の被検者に0.25%ラウラミドDEAを含むクレンジング水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において9人の被検者にほとんど知覚できない紅斑が観察され、チャレンジ期間において2人の被検者にほとんど知覚できない紅斑が観察された。チャレンジ期間に反応を示した2人の被検者に再チャレンジパッチを適用したところ、1人は陰性であった。この試験物質は皮膚感作剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者の背中2箇所に1%ラウラミドDEAを含む液体セッケン水溶液2μLを適用し、1箇所は覆い、もう1箇所は1MED(最小紅斑線量)のUVライトを照射し、試験部位を直後,24および48時間後に皮膚反応を評価した。いずれの被検者も照射直後に皮膚反応はなかったが、照射24および48時間後ですべての被検者に照射および未照射部位の両方に軽度の紅斑反応がみられた。この紅斑は照射によるものではなく、この試験物質は光毒性ではないと結論づけられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 25人の被検者の背中2箇所に1%ラウラミドDEAを含む液体セッケン水溶液を適用し、24時間後に1箇所の試験部位と未処置部位にUVライトを30秒照射するという工程を3週間の間に5回繰り返し、各UVライト照射後すぐに皮膚反応を評価した。最後の工程から10日の休息期間を設けた後にチャレンジパッチおよびUVライト照射を実施し、照射24および48時間後に皮膚反応を評価したところ、誘導期間において9人の被検者に軽度の紅斑が観察され、チャレンジ期間において4人の被検者に軽度の紅斑が観察された。これらの紅斑はUV照射によるものではなく、この試験物質は光感作剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

発がん性について

世界保健機関(WHO)の一機関であるIARC(International Agency for Research on Cancer:国際がん研究機関)は、ヒトに対する発がん性に関する様々な物質・要因を評価・リスト化していますが、ラウラミドDEAは現時点ではリストに含まれておらず、発がん性リスクの対象物質ではないと考えられます。

また、NTP(National Toxicology Program:米国国家毒性プログラム)によって1999年に公開された動物試験によると、いずれの試験データも発がん性の根拠・証拠はないと結論づけられています(文献2:1999)

∗∗∗

ラウラミドDEAは界面活性剤、安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤 安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1986)「Final Report on the Safety Assessment of Cocamide DEA, Lauramide DEA, Linoleamide DEA, and Oleamide DEA」Journal of the American College of Toxicology(5)(5),415-454.
  2. National Toxicology Program(1999)「Toxicology and Carcinogenesis Studies of Lauric Acid Diethanolamine Condensate in F344/N Rats and B6C3F1 Mice (Dermal Studies)」NTP TR-480.
  3. “Pubchem”(2019)「N,N-Bis(2-hydroxyethyl)dodecanamide」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/N_N-Bis_2-hydroxyethyl_dodecanamide> 2019年10月29日アクセス.
  4. 藤本 武彦(2007)「脂肪酸アルカノールアミド」界面活性剤入門,70-75.
  5. 矢作 和行, 他(1996)「香粧品における界面活性剤の応用」日本油化学会誌(45)(10),1133-1143.
  6. 広田 博(1970)「酸化エステル縮合型」化粧品のための油脂・界面活性剤,125-130.
  7. 矢野 弥, 他(1962)「界面活性剤-アルキロールアミド2成分系界面活性剤の起ホウ性」油化学(11)(5),243-246.

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