ミリスチン酸Mgとは…成分効果と毒性を解説



・ミリスチン酸Mg
[医薬部外品表示名]
・ミリスチン酸マグネシウム
炭素数14の高級脂肪酸であるミリスチン酸のマグネシウム塩であり、金属セッケン(Metallic Soap)(∗1)に分類される分子量479の陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)です(文献1:2019)。
∗1 金属セッケンは、一般的には「せっけんカス」と呼ばれており、化学構造的にセッケンと本質的な違いがなく、陰イオン界面活性剤に分類されますが、水に不溶であるため洗浄力や起泡力はありません。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、メイクアップ製品、乳化系スキンケア製品などに使用されています。
非水系における顔料の分散
非水系における顔料の分散に関しては、撥水性(耐水性)および潤滑性を有しており、顔料の流動性を向上する働きがあることから、ケーキング防止(∗2)目的で非水系メイクアップ製品に配合されます(文献2:1988;文献3:2015)。
∗2 ケーキングとは、主として固められた粉末化粧品の使用において、スポンジなどで粉末表面をこすった際に粉末と粉末がくっつくことで表面が固まり、使用しにくくなる現象のことです。
潤滑性向上による感触改良
潤滑性向上による感触改良に関しては、皮膚に対して滑らかな感触を付与する目的で、メイクアップ製品に汎用されています(文献2:1988;文献3:2015)。
実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2003年および2006-2008年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
ミリスチン酸Mgの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 40年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
医薬部外品原料規格2021に収載されており、古くからの使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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ミリスチン酸Mgは界面活性剤にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:界面活性剤
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参考文献:
- “Pubchem”(2019)「Magnesium myristate」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Magnesium-myristate> 2019年9月21日アクセス.
- 吉田 時行, 他(1988)「金属せっけん各論」金属せっけんの性質と応用,112-128.
- 宇山 侊男, 他(2015)「ミリスチン酸Mg」化粧品成分ガイド 第6版,181-182.