ミリスチン酸亜鉛とは…成分効果と毒性を解説

分散 増粘
ミリスチン酸亜鉛
[化粧品成分表示名称]
・ミリスチン酸亜鉛

[医薬部外品表示名称]
・ミリスチン酸亜鉛

炭素数14の高級脂肪酸であるミリスチン酸の亜鉛塩であり、金属セッケン(Metallic Soap)(∗1)に分類される分子量520.1の陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)です(文献2:2019)

∗1 金属セッケンは、一般的には「せっけんカス」と呼ばれており、化学構造的にセッケンと本質的な違いがなく、陰イオン界面活性剤に分類されますが、水に不溶であるため洗浄力や起泡力はありません。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品などに使用されています。

非水系における顔料・粉体の分散

非水系における顔料・粉体の分散に関しては、撥水性(耐水性)および潤滑性を有しており、顔料・粉体の流動性を向上する働きがあることから、ケーキング防止(∗2)目的で非水系メイクアップ化粧品に配合されます(文献3:1988;文献5:2015)

∗2 ケーキングとは、主として固められた粉末化粧品の使用において、スポンジなどで粉末表面をこすった際に粉末と粉末がくっつくことで表面が固まり、使用しにくくなる現象のことです。

有機溶媒における増粘

有機溶媒における増粘に関しては、亜鉛セッケンは有機溶媒中で著しい増粘作用を示すことが知られており、増粘目的で乳化系メイクアップ化粧品に汎用されています(文献4:1988)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2006-2007年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ミリスチン酸亜鉛の配合製品数と配合量の調査結果(2006-2007年)

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ミリスチン酸亜鉛の安全性(刺激性・アレルギー)について

ミリスチン酸亜鉛の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • [ヒト試験] 被検者(人数不明)に14%ミリスチン酸亜鉛を含むパウダー製品を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応を示さなかった(Anonymous,2011)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ミリスチン酸亜鉛は界面活性剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Zinc Salts as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. “Pubchem”(2019)「ZINC myristate」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/ZINC-myristate> 2019年9月21日アクセス.
  3. 吉田 時行, 他(1988)「金属せっけん各論」金属せっけんの性質と応用,112-128.
  4. 吉田 時行, 他(1988)「機能的特性」金属せっけんの性質と応用,81-92.
  5. 宇山 光男, 他(2015)「ミリスチン酸亜鉛」化粧品成分ガイド 第6版,182.

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